第18話 地下3階の攻略
地下3階の薄暗い廊下。
奥からケタケタ笑いながらゴブリンがやって来る。
まだ気づかれていない。
この廊下の奥に予備電源がある事務室がある。
ここは一気に押し通る!
「…テックブースト」
新しく覚えた強化魔術をポチに掛ける。
ポチの下に魔方陣が出たと思ったら、そこから青く光る文字列が浮き出てポチに絡みつく。
光りの文字列はポチに吸収され、ポチが薄っすらと青い光りを放つ。
その光を見られたか、ゴブリンが怪鳥のような鳴き声を上げながら寄ってくる。
「わん!」
ポチが弾丸の様に飛び出し、前足による一撃!
ゴブリンの頭がもげ、ボールの様に飛び跳ねていく。
残された体からは青い血が吹き出て、やがて魔素へと変わった。
ゴブリンが消えた辺りから、チャリン……と音が鳴る。
ポチの力強さに驚き、ステータスを覗く。
ステータス
Name ポチ
Age 0
Class サイバードッグ
Lv 5
HP 950/950 [生命力]
MP 70/70 [魔力量]
Str 140+42 [筋力]
Vit 210+63 [耐久力]
Mag 28+8 [魔力制御力]
Dex 70+21 [器用さ]
Agi 100+30 [素早さ]
ポチのステータスが3割り増しになったようだ。
Magはあまり変わらないが元々大きいStrやVitはかなりの伸びを示す。
レベルで言えば、4つ上がったぐらいの上昇値だ。
「良し! ポチ、先頭を頼む。一気に行こう!」
「わん!」
廊下のドアからゴブリン共がぞろぞろ出てきたが、それらを次々とポチが弾き飛ばす!
ポチに弾き飛ばされたゴブリンは壁に叩きつけられ、そのまま崩れ落ちる。
邪魔とばかりに踏みつけられたのは、ハンマーで打ちつけられたように胸が陥没し、そのまま魔素へと変わる。
ポチの強さにびっくりしながら、その後ろに遅れないよう必死に走って付いていく。
角を曲がり、突き当りが見えてきた。
あそこが事務室だ。
「アクセス!」
事務室のドアにアクセスして、ロックの有無の確認。
掛かってない。
そのまま開閉ボタンを押して、開けようとするが……開かない?
もう一度、アクセス。
ロックが掛かっている?
魔術で遠隔操作して、解除。
開閉ボタンを押して、開けようとするが……やはり、開かない?
「ケタケタ……!」
ドアの向こう側から笑い声が聞こえてくる。
「あ、中にゴブリン居るのか!」
どうやらロックを解除するたびに、また掛けられてしまうようだ。
鬱陶しい……
どうする?
と、言ってもやる事は1つしか思い浮かばない。
「ポチ、破ってくれ!」
僕の後ろでゴブリン達を相手にしている、ポチに声を掛ける。
「わん!」
ポチが振り返り、僕の横を通って、そのまま勢い良くドアに体当たりする!
ゴォン!!と車が壁に衝突したような音が響き、ドアが歪む。
場所を入れ替わり、バールを構える。
目の前には細いこん棒を持った10体のゴブリン。
廊下の奥からはまだ続々とやって来ている。
ちんたらしている暇は無い!
僕の方から切り込む。
バールを全力で横に薙ぐ!
先頭の1体に当たる、ゴン!と軽い音を立ててゴブリンが崩れ落ちた。
そのままバールを息継ぐ間も無く振り回し、ゴブリン達を葬っていく。
攻撃の合間にこん棒で叩き返されるが……これなら耐えられる。
レベルアップで僕の筋力と体力は大人の倍以上はあるはずだから、力の弱いゴブリン程度なら僕でもあしらえるぞ。
イケル!と思いゴブリン達と叩き合いをしてるところ、奥からガチャガチャ……と聞こえてくる。
ん?とそちらを向けば、非常灯の明かりに反射する銀色の影。
銀色の盾と剣で武装したゴブリン達がやって来た。
「うわわ!? アレはまずい、ポチ! 急いでくれ!」
「わん!!」
ポチがぐっと体を沈み込め、一気に加速!
砲弾の様に突き進み、ドアをぶち破る!
それに続いて僕も中に入っていく。
倒れたドアの陰から魔素が漂う。
中でロックをしていた奴は下敷きになったか。
薄暗い事務室の中、悠長にスイッチを探している暇は無い。
「アクセス!」
魔力を広げ、部屋を精査する。
部屋の隅に予備電源を発見、すぐにスイッチを入れる。
ビーッ!という警告音と共に、ドッドッドッ!とエンジン音の様なものが聞こえてきた。
ッ、パッ……!パッ……!と、非常灯から天井の照明に切り替わる。
振り返る、明るくなったことではっきりと分かる、廊下はゴブリン共でごった返していた。
ポチが部屋の入り口でゴブリンが入ってこないように番をしている。
「アクセス!」
廊下の3台のガンタレットを起動。
まずは剣と盾で武装したゴブリンを狙う。
ダダダッ!と3連射、キンッ!と甲高い音を立てながら盾に弾かれる。
ならば!と操作切り替え、ゴブリンの後ろのガンタレットから射撃、フルオートで撃ち込み消滅させる。
盾持ち相手でも前後から撃ち込めば殺れるが、操作の切り替えが面倒だな。
ちょっと試してみるか。
「テックブースト!」
3台のガンタレット相手に掛ける。
ガンタレットのステータスは見れないが、操作性が向上したのがなんとなくわかった。
それと…何か別の新しい魔力ラインが繋がった?
魔力ラインを探る……、《命令待ち》と心に浮かぶ。
「!? …命令する、廊下の敵を全て撃ち砕け!」
頭の中で地図を展開、廊下を真っ赤に塗りつぶし、《キルゾーン》と書き込む。
3台のガンタレットはすぐに行動する。
赤いレーザー光が宙を泳ぐ。
廊下を巡回するように射線を動かし、フルオートで撃ち続ける!
轟音、悲鳴、青い血しぶき、怨嗟、硝煙の煙が廊下を満たす。
ガンタレットの連射力は秒間20発。
装弾数300発をたったの15秒で撃ち出す。
15秒の後に廊下は紫の霧で満たされ、立つ者の影は無く。
ポチを連れ、廊下へと踏み出す。
アクセス、テックブースト、命令、居住区の大広間を《キルゾーン》に。
通路の奥のドアの向こうから、4台のガンタレットが動いているのが魔力ラインを通してわかる。
くぐもった轟音と悲鳴が廊下の向こうから伝わってきた。
ポチと共に廊下をゆっくりと歩み行く。
端に着き、居住区のドアを開ける。
中では、静かに魔素の霧が広がっていた。




