第14話 現状の確認
クラスチェンジを果たし、動力室を出ることにする。
動力室にはこの核シェルターのメイン電源となるレーザー核融合炉があったが、動かすには専門的な知識が必要なようで動かせなかった。
テクノシャーマンの力なら、と魔力を送ってみたが反応は返ってこない。
電力が入っておらず、動かない状態では作用しないようだ。
エレベーターホールは、燃料を燃やした時の火災はすでに消え、非常灯の明かりは薄暗い。
「確か、ここら辺のはずだが……」
壊れたロボAの近くを探す。
ダンジョンボスの大クモから魔素は吸い取ったが火が残ってた為、ドロップアイテムはまだ手に取っていない。
「わん!」
ポチが黒い石を咥えて来た。
石は黒曜石の様な材質で、それに黄金の筋がクモの巣のように入っていた。
「よしよし、よくやった」
ポチを撫でる。
「ハッハッ…」
ポチもそれをうれしそうに受け入れた。
そのままコントロールルームにまで戻ってきた。
ロボCも連れてきたかったが重く、動かせなかったので、しばらくエレベーターホールに居てもらうことにした。
「さて、まずは食事にするか」
食事の用意をしているとポチが僕の足元をうろちょろしてくる。
「ポチ、おいで。……やっぱし、電源ケーブルが無くなってるな」
ポチのお腹には、以前は電源ケーブルが格納されていたが今は無い。
試しにチョコバーを近づけてみたところ、しっぽを振りながらうれしそうにパクついた。
「食事でエネルギーを補給するようになったのか、そうなると食事の心配も出てきたか……」
今ある食料は13日分、ポチと半分こにするなら6日半になる。
食事を終え、コントロールユニット等を調べてみるが、やはり予備電源が壊れた現状では動かない。
「予備電源が壊れたのは痛かったな……。
……とりあえず地下4階を見に行ってみるか。ポチ、おいで」
ポチを連れ、4階へと続く階段へ向かう。
非常灯の灯る薄暗い廊下を歩き、階段の前まで来た。
ポチが階段に向かって、唸る……
階段の近くに魔物が居るのかもしれない。
バールを抜き、慎重に階段を上がる。
階段に伏せるようにして4階を探ると……居た。
近くの部屋のドアに寄りかかる様に豚の魔物が寝ている。
あれは確か、オークとか言うやつか?
危険度はリザードマンと同じくらいだったはずだが、寝てる今がチャンスか?
「いや、他にも居るはず。囲まれたらお終いだぞ……」
このまま4階で戦うのはリスクが高すぎる。
なので誘き寄せることにした。
バールで床を軽く叩いて、音を出してみたが……反応が薄い。
オークの耳がピクピクしたが目覚めるまではいかなかった。
「ダメか。そういえば豚は鼻が良いって聞くな」
ポケットには水とチョコバーを入れてある。
チョコバーの包装を開け、香りが向こうに届くように手で扇いでみた。
オークの鼻はしきりにピクピク動き始め、目が薄っすらと開いてきた。
効果有りのようだ。
チョコバーの端を千切り、オークの前に投げる。
オークの目が完全に覚め、左右を見渡している。
チョコバーの欠片を見つけると、床に頭から突っ込むようにして食いついていた。
今度は階段の手前、階段の中程、と下に誘導するように置いていく。
階段の下に残ったチョコバー本体を置き、僕とポチは階段の左右に身を潜める。
階段から、ぶひぶひと鳴き声が聞こえてくる。
徐々に近づいてくる……。
階段の入り口からヌっと豚の頭が出てくる。
オークは僕らに気づくことなく、チョコバーに夢中で喰らいつく。
間近で見るオークは身長160cmぐらいで体は太く、腕は僕の足ほどの太さがある。
ポチに目で合図を送る。
そっとオークに近づく。
四つん這いになっているオークに向かって、釘抜きが刺さるようにバールを振り下ろす!
「ブヒ?」
当たる直前にオークがこちらに向いた。
釘抜きがオークの丸い頭蓋骨に沿うように滑っていく。
「ブヒィィ!?」
突き刺さることは無かったが、頭の肉を抉られ派手に出血した。
オークの憎悪の目がこちらに向く。
オークが立ち上がりながら、腕を振り回してきた!
それをバールで受ける……が、壁まで押し飛ばされる!
すごい力だ、そのまま向かってこようとするオークに向かって構えるが。
オークの後ろから銀の牙が迫る。
オークの首筋に後ろからポチが噛み付き、そのまま噛み千切った!
首を失い、オークが倒れる。
その体はすぐに紫の魔素の霧と変わった。
「おお……、ポチ強いなぁ」
「わん!」
寄って来たポチを撫で、二人で魔素を吸い取る。
レベルアップはしなかったが、ポチも魔素を吸収できるようだ。
オークのドロップは太い骨だった、後でポチにあげるかな。
「さて、ここからどうするか?」
オークの強さはリザードマンと同等か、それより少し下がるといった様に見えた。
一対一ならともかく、集団で出てきたらヤバそうだ。
特にリザードナイトのような上位種が居ないとも限らない。
「やっぱしガンタレットで安全に倒していくのがベストだよなぁ。
それには4階の予備電源を入れれば、なんとかなるか?」
コントロールユニットを使えなくなってしまったが、今はテクノシャーマンの力がある。
電源さえ入れば、操れるはず?
予備電源のある場所を見つけるため地図を探す。
コントロールルームを漁ったが地図は無かった。
「他にありそうな場所というと……あそこか!」
エレベーターホールに近い、個室の部屋へと向かう。
ここには本棚があり、資料と思われるファイルもたくさんあった。
その中から、この核シェルターの見取り図を見つける。
「むむ、見つけたが……階段から遠いな」
地下4階の予備電源はL字に曲がった廊下の突き当たりの近くの部屋にあった。
「オークに見つからずに何とか行くルートは……あった」
別の見取り図から隠れて進む方法を見つける。
地図をスマホのカメラで撮り、コントロールルームに戻り、今日はもう休む。
明日は地下4階の攻略だ。




