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第11話 記憶 前編

 下記が貴方の適性クラスになります。


 ■テクノシャーマン

 ■サイキックウィザード

 ■リジェネレートソルジャー

                           」



 アデプトシステムからクラスチェンジの提案を受ける。

 ダンジョンコアの魔素が多すぎたために、クラスチェンジで消費しないとまずいことになるようだ。

 さて、3つの新しいクラスが提示されたが、どれにするか?

 3つのクラスの簡単な説明を見る。

 ポチも興味があるのか、びっこを引きながら僕の横にやって来た。

 その姿を見て、僕の考えは決まった。


コレ(・・)にするか」


 1つの選択肢を選び、タップする。

 スマホの画面には魔方陣が映る。

 それが画面から浮き上がり……拡大しながら、10の魔方陣に分裂した。

 魔方陣は僕に重なり、足元から頭頂部までに均等に並ぶ。

 そのまま光を強めながら、回転をし始めた。

 それと同時に体内の魔素が暴れ始める。


「ぐぅっ……!!」


 体内に熱湯を流されているようだ、その熱さと痛みが胸を中心に全身へと広がっていく。

 熱さの線は体内にアリの巣でも作るかのごとく、螺旋状に絡み合いながら伸びていく。

 じっと耐える、が幸いなことに1分ほどで終わった。


「……これで終わりか?」

 胸に手を当てる。


 胸の奥から感じる魔素は大分薄くなった気がする。

 それと体が一新され、生まれ変わったような。

 頭がすっきりして、以前にあった頭の奥のもやもやが消えた……


「……思い出した」


 何故、僕が一人でここに居るか。


 僕を嵌めた、あいつを。











 -- 100年前 ケリュネイア連邦 ニュータイタン州 --


 空は晴れ日は頂点に位置し、その強い光を地上へと落としていく。

 山野の木々や草花はその強い生命力を誇示する様に、張りの有る深い緑の葉の表面で鏡のように日光を照り返す。

 その様な輝きが山のいたるところで見え、この山の自然が豊かなのだと誰にもわかるだろう。

 そんな山の石畳で舗装された山道を、学生の集団が登っていく。


「今時、移動教室で山ん中の教会訪ねるなんてだりぃよなー?」

 金髪の顔つきは整っているが、軽薄な目つきをした男子学生が言う。


「だよねー、ジェフ君♪」

 赤髪の学生にしては派手な化粧をした女子学生が返す。


「ふ、二人ともそんなこと言ってはダメですよー。

 それと今から行くところはタイタニア聖堂と言って、オリンポス教会の中でも特に古く……」

 付き添いの教員がおどおどしながらも学生をたしなめる。

 彼女は緑の長い髪を三つ編みにして背中に流し、メガネを掛けている。


「メイアーちゃんマジメー??」

 赤髪の女生徒がからかう。


「セイカーさん、メイアーちゃんではなく、ナイン先生と呼んでください」


「ええー!? あたしはシーマちゃんでいいよー?

 だから、あたしもメイアーちゃんて呼ぶしー?」


「そうそう! ナインちゃんよりメイアーちゃんの方がカワイイし」

 金髪のジェフと呼ばれた学生が合いの手を入れる。


「あなたたちは……、はぁ……」


「それでこの山を登ってどうするんだ?」

 今まで黙っていた茶髪の体格の良い男子学生が尋ねる。


「今日は社会科見学の一環で、タイタニア聖堂で司祭様がオリンポス教会の成り立ちから連邦にどの様に広まっていったかをお話してくださるのですよ」


「「「うわ……、めんどくせぇ……」」」

 3人の声がハモった。




 そんな風に前の方では騒がしくしている。

 僕、アルス・クレートは列の後尾に付きながらゆっくりと山を登って行った。

 前の方でふざけてるのは僕の居る1年3組のクラスメイトだ。

 ただし、僕とはあまり接点は無い。

 彼らはいわゆるリア充というやつで、クラスの頂点に立っていると自称し、自分たちになびく奴等以外を下に見ている。

 僕も友達とゲームの話をしていただけで、オタクのレッテルを貼られクラスの最下層なんだそうな。

 そんな訳だから、僕は彼らとは仲が良くない。



 山の頂上に着いた。

 頂上には薄く茶色がかった、古く大きな石造りの聖堂が建っている。

 元は白かったと思われる外装は、長年の風雨と汚れで茶色に褪せてしまった様だ。

 高さ10フィート(≒4m)もある大きな扉をくぐり、中へと招かれる。

 中には白い祭服を着たおじいさんが祭壇で待っていた。


 中は外壁と違い、白い漆喰が塗られ明るい。

 頭上より色鮮やかなステンドグラスが、花びらが舞い散るように室内に光を落としていた。

 幻想的な光景に、敬虔な信徒とは言えない僕でも胸を打たれる。

 それは他の生徒も同じようで、皆一様に黙り、室内を見渡していた。


「さぁ皆さん、端の方から順番に席についてください。」

 メイアー先生が室内に並べられた長机とイスを指す。


 皆が静かに席についていき、それを見届けた先生が司祭様に一礼する。

 それを見た司祭様が挨拶を始めようとした、その時。


 遠くから低く唸るような警報音が鳴り響く……


 間を空けずに、皆の持っているスマホからも甲高い警報音が一様に鳴り響く!

 厳かな聖堂内は甲高い警報音と僕らのどよめきで満たされていく。


「え!? なに? なに?」

「なんだ、この音!? 切れないぞ!」

「え? メールがいっぱい着てるんだけど……」

「な!? おい! 公共放送にアクセスしてみろ!」

「え? え? え……!?」



「核ミサイルが発射されたって……どういうことだよ」


 スマホの画面には核ミサイルが発射されたとのニュースが映り、避難勧告のメールが何通も入ってきていた。



明日には過去偏は終わらせます。

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