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最弱だろうと冒険者でやっていく~異世界猟騎兵英雄譚~  作者: きりま
【挿話:冒険者街の記憶】

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英雄シャソラシュバル・前編

 広大な平原には、まばらに低木の密集地があり、それらを避けるように一本の道が伸びている。草の絨毯を削り取っただけの街道に無粋な音を響かせているのは、一台の幌馬車だ。


 見渡す限りの青々とした大地と、淡い水色の空の境を遠目に見送りながら、荷台の後部に腰かけた男はただ揺られるままでいた。未だに、この地に立ち、この旅に参加することが叶ったのは信じ難い幸運に思えるのだ。たとえ、その理由が全ての不運の始まりだったとしても。


 他にも同乗者はいるし、短い間ながら使命を共にした仲だが、誰もが疲れたように口を閉ざしている。長い旅だったのだ。所在なげに道具をいじったりしながらも、表情の険しさから各々が今後のことへと思いを馳せているのが窺えた。


 長く緩やかな上り坂を、ただひたすらに馬車は走り続ける。道の先はジェネレション領だ。しかし彼らの目的地は、その向こうにある。

 ジェネレション領を示す道標を過ぎると、やや急な坂が続き、再び緩やかになるのは台地になっているためだ。

 ほとんど平坦に思えるほど緩やかに盛り上がった台地の中心を、割る様にして聳える山がある――。


「見えて来たわ。ジェッテブルク山よ」


 一人の森葉族の女性から誰にともなくかけられた声に、後部にいた男も皆と同様に、進む先へと頭を巡らせた。幌の開口部から御者の脇に目をやる。

 高い空の上に、薄っすらと黒みを帯びた先端が見えるだけだが、それでも彼らの中に緊張は戻った。




 ほどなくして城壁が景色を遮る。ジェネレション領の端に位置する街に到着したのだ。

 街へ入り広めの道をさらに進むと、土を被ったように古びた壁が見えてくる。四角く切り出した石を積み上げた砦だ。近づくと印象とは違い、手入れは行き届き、頑丈さも見て取れるようだった。


 御者が札を見せ応答した兵士が掛け声を上げると、黒ずんだ木の門は重々しい音を立てて開かれ馬車を通した。

 内側に広さはなく、草のまばらな広場が見えたと思えば新たな扉が待ち構えていた。御者は馬に止まるよう合図を送る。

 いななきと共に、別の叫びが重なった。


「こらーカイ! 止まる前に飛び降りるなって、いつも言ってるでしょ!」


 馬車から乗り出して叫ぶのは大きな杖を持つ森葉族の女性で、ディプフ王国より使命を託された使者の一人である、シルバリース・ウディエストだ。


「いやぁようやく、まともな寝床で眠れるなあ」


 面倒くさそうにシルバリースの文句を無視し、真っ先に馬車を飛び降りて伸びをしたのは炎天族の男性だ。こちらはパイロ王国からの使命を託された使者の一人で、カイ・ファイリーという。


「そう言いながら貴女も乗り出すでない、ウディエスト」

「カイにも文句を言ってよ。リベレスったら、カイには甘くなぁい?」


 ウディエストが頬を膨らませて、窘めた女性に呼びかける。

 このリベレス・ハゾゥドも森葉族ではあるが、レリアス王立研究院に属する研究員の一人であり、希少となった聖質の魔素を扱うことのできる聖者と呼ばれる存在だ。国より使命を受けてこの旅を先導した者でもある。いや、お守りという方が正しいかもしれない。


「そうではないウディエスト、見ておれ。カイ・ファイリー、まずはジェネレション高爵に挨拶へ参る。逃げれば食事はないぞ」

「げっ、それはないぜリベレス!」


 開かれた正面の扉を横目に、どこぞかへ逃げ出そうとしていたカイは即座に振り返ると、さっさと室内へと歩き去るリベレスの後を追いかけた。


 兵の一人が案内する後をリベレスは黙々と歩くが、そのすぐ後ろに並んだシルバリースとカイは、馬車での静けさが嘘だったかのように騒がしい。


「カイには呆れるわ。同じく、国の使者という立場だけれど、こんな奴と同じと思われるのは癪ね」

「おいおい、仕事にゃ真剣に取り組んでっだろ? 他所の国の流儀が面倒なだけでだな……」

「はいはい、カイくんはなんでも面倒くさいお年頃なのよねー」

「んだと、喧嘩売ってんのか?」


 いつも二人はこの調子だ。旅路での騒ぎを思い返して、彼らの最後を歩く物静かだった男も、とうとう苦笑を漏らした。

 それを聞き逃さなかったシルバリースは、振り返って男を軽く睨むと口を尖らせる。


「なによ、また笑って。英雄様は、いっつも他人事みたいなんだから」

「ごめん。悪かった。だからシルバリース、その呼び方はやめてくれ」


 シルバリースは本気で文句を言っているのではなく、からかっているだけだ。それを知っているため、断りをいれつつも、英雄と呼ばれた男の緩んだ口元は戻らない。戻らないが、男の笑みはシルバリースにも誰にも見えない。


 男は、顔まで隠れるような兜で頭部を覆っていた。

 頭部だけでなく、体もマントに包まれ人種的な特徴も分かり辛い。


 真顔になったシルバリースは、じっと物言いたげに男を見たが、ふいと視線を外した。前を見れば、兵が目的の扉の前で立ち止まったのだ。室内には客だけが通され、兵らは退室した。




 通された部屋の奥に扉があり、慌ただしく開かれる。現れた壮年の男性は笑顔を浮かべ、よく響く声で朗らかに呼びかけた。


「おお、聖者リベレス・ハゾゥド殿、大森林の使者シルバリース・ウディエスト殿、熱き地の使者カイ・ファイリー殿……そして、シャソラシュバル殿。よくぞ参られた!」


 彼らとジェネレション高爵の面会は初めてではない。

 いずれは再び会うことになるだろうとは考えていた。できれば、会うことなく終わりたかったのが彼らの本音だ。


 この砦からも僅かに見えるジェッテブルク山だが、そこにはある変化があった。

 平坦な地だ。以前であれば、この距離からでも、もう少し山の姿が拝めたのだ。

 それが、突如現れた山脈により半ばから遮られている。それらは邪竜の力によって変えられたものだ。

 そして、その山脈が現れたのは二度目だった。


 一度目に現れたのは、ジェッテブルク山のすぐ外側を囲む、低くなだらかな山並みだ。

 二度目は、ジェネレション領のすぐ側に現れた。間違いなく、地上へ及ぼせる力を増している。


 直接に邪竜が何かをしたと目撃した者はないが、誰もがそう信じて疑わない。山脈からは膨大な邪質の魔素が撒き散らされているのだ。前回の復活前に近隣諸国が合同で、広く行われた調査により、邪竜が邪質の魔素を司る権化であるのは確かだろうといった報告がある。ならば、マグの流れる魔脈を操ることも可能だろうというわけだ。


 そんなものは前線に立つ者たちにとって、わざわざ調べるまでもない事だ。無駄金だ、それより一人でも多く兵を送れと、腹を立てる者も多かったと聞く。

 しかし、研究院が対策を練るには裏付けが必要だったのだ。そして、さらなる情報を欲していた。幸いにも優秀な研究家がいたようで、多くの手がかりを得ることができ、それらを元に研究員らは検討し、どうにか一筋の光を見出した。


 この使者一団は、それを成した者たちだ。

 その手段を投じるべく、彼らは急ぎ訪れた。


 リベレスは同じく笑みを浮かべて高爵との再会を喜び、労いながらも、苦い胸の内が言葉には滲む。


「邪竜が復活したとあっては、我らだけ王都で安穏と暮らしている場合でもない」


 使者らが安穏と過ごしていたわけではないことは、高爵も知るところだ。

 季節が一巡りする前に、彼らは王都で顔を合わせていた。


 シルバリースが、兜の男にもの言いたげな視線を寄越したのも、王都での出来事について思い出していたからだ。

 彼らの脳裏に、王都での出来事が甦る。



 ◇◇◇



 レリアス王立研究院の休憩室で、兜の男とシルバリースは茶で喉を潤していた。

 男が現れたとき、研究員ではディプフとパイロの使者らも共に、様々な場所を調べていた。男は聖者リベレスの一声で、彼女の班に遅れて加わることになる。その班の仲間の一人がシルバリースだ。


 突然リベレスはそれまで調べていたことを中断し、隠れ里を調べると言い出したから班の者も驚いたが、兜の男の素性を知って無理もないと判断に従う。

 彼らは固く口止めされ、また立場上、簡単に漏らすつもりもない。


 休憩中の二人から肩の力が抜けて見えるのは、次の段階へと進む目処が立ったからだ。

 シルバリースは、嫌でも素性について気にせずにいられないものに言及した。


「まさか、それ、王様の前でも外さないつもりなの?」

「さすがに難しいだろうね。けれど、なるべく外す気はないよ」


 シルバリースは、冗談半分で男の兜を指差した。だが、実際に男はそのつもりでいたようだ。


「あっきれた!」


 あんぐりと口を開き、シルバリースは素っ頓狂な声を上げる。遠慮を知らない森葉族の人間だが、だからといって他国に出向いてまで自らの流儀を押し通すつもりはない。知らず知らずの失敗はあるが、弁えているつもりではいた。


 岩腕族には他国よりも明確な階級差があるのだが、それに加えて頑固で融通の利かない性格を持つのだ。違いを知りながら、気遣うことを怠って無駄な争いを起こしたくはない。


「もちろん僕だって、無礼を働いて怒りを買いたいわけじゃないよ。きちんとレリアス王へは事情を伝えたいさ。ただ、出来得る限り人は減らしてもらうつもりだ」


 至極まじめに男は答える。


「そのために、まずは研究員の中でも信頼できる者にお願いして――これはリベレスだが、彼女からジェネレション高爵を頼ったんだ。高爵家は王の血族から成る家だ。そしてジェネレション領は……最も、危険を知る場所だろう?」


 ジェネレション領は立地上、常に争いの前線に立たされる。最も危険を肌身で理解する者たちのはずだ。


 そして力添えを得るのに男がディプフ王国でもパイロ王国でもなく、レリアスを選んだのは、どこよりも早く率先して対策を立てているからだ。

 他種族や文化を、互いを隔てつつも共生する道を選んだレリアス王国だ。男の懸念も理解してもらえるのではないかとの期待があった。


「とにかく会ってくれるというんだ。この機会を逃したくはない。精一杯やるよ」


 男は不安を呑み込み、そう答えた。



 ◇



 ジェネレション高爵と聖者リベレス・ハゾゥドの口添えにより、レリアス王は男の願いを聞き入れ、秘密裏の会談と相成った。通された部屋は玉座ではなく、貴族向けの応接室のようだ。


 素朴ながらしっかりとした作りである布張りの椅子に座す王の向かいには、同様の長椅子にジェネレション高爵と聖者ハゾゥドが座り、男はその傍に立った。

 王とは旧友でもある高爵との面会に、男は側付きとして立ち会ったという体だ。


 シルバリースは男の姿を無礼だと考えたようだが、高爵を護衛する側付きの兵士と考えるならば、そうおかしくはない恰好である。それは、そのような装備を高爵が整えてくれたからでもあった。


 王は高爵と旧交を温めると、そのついでのように男へと質問を投げる。


「なぜ、姿を隠す」

「これを、全体のものと考えて欲しくはないのです。恐らく、二度と私のような者は現れないでしょうから」


 男は隠れ里から来たと語ったが、どこからとは言わなかった。ただ念を押してから、ようやく兜とマントを取り去った。


 そこにあるのは、なんの変哲もない黒に近い茶の髪に瞳を持つ素朴な顔立ち。どこからどう見ても、ただの人族の若い男だ。

 だがレリアス王の表情は険しさを増した。

 人族の、男なのだ。

 聖者が情報を加える。


「彼の体には聖質の魔素も流れております。しかも、恐らく邪質と半々の割合で」


 マグを感知する力は森葉族に及ばない岩腕族だが、そのレリアス王にさえ、男の異様なマグの流れは感じ取れるほどだった。恐らく誰もが、この男を森葉族と判断するだろう。王は考え込むように目を細める。


「ただの、人族のはずがない」


 全身の隅々にマグの流れを持つ――どんな異常が起ころうとも、人族には在り得ないことだった。体内にマグの力を多く持つほど、それを支えるために強靭な肉体が必要だと、研究家アゥトブ・レークの持ち込んだ報告にあるのだ。それを裏付けるように、瞬発的ながら異様な力を発揮し狩猟に活かして来たという炎天族は巨体だ。


 岩腕族をはじめ他の種族は、それらの負荷を一部にかけるように進化したのではないかと書かれてある。


 そして進化を諦めたのか、マグの内在に耐えられなかったのか、全体的に小柄な人族だけが、体のどこにも特徴的な部分が表面上はない。

 ただし、疲れ知らずの行動を見れば、それこそが変化なのだと気付く。そして、どういった理由かは分からないが、マグを取り込みづらい体質のようなのだ。


 その点から件の研究家は、人類の中で人族だけが邪竜の生まれる遥か昔より、邪竜による危険を察知していたのではないかと手記に残している。残念ながら、それらを解明する前に研究家は亡くなった。資料を受け継いだ研究員の中には細々と調べ続ける者もいるが、成果は芳しくない。他に、優先的に成さねばならないことがあるからでもある。

 聖者が付け加える。


「お伺いする前に調べるべきかと、報告が遅れたことはお詫び申し上げます」


 今は、刻々と近付く邪竜復活のために、準備を急がねばならない時期に来ているのだ。

 そんな切迫したさなかに、到底無視のできない者が忽然と現れたのだ。内心では浮き立ったのだろうが、扱いをどうすべきかと研究員らの頭を悩ませただろうことは想像に難くない。


 ただマグを多く内在するだけでなく、今や希少な聖質の魔素さえ併せ持つ人族。

 どのような偶然が起これば、そのようなことになるというのだろうか。


「ありえん。人族では、耐えられるはずがないのだ」


 王は、記憶を手繰るようにして低く呟いた。




 王のするどい視線に束の間、男はたじろぐ。

 男がレリアスならばと考えたのは、人族を、直接的には邪竜との戦闘に役に立たないからと排斥はしなかったためだ。


 だから男が、このように無謀な行動を起こしたのは、初めは単純な理由だ。

 同じ人族だからということもあるが、男は身寄りがない上に、おかしな体質を持つ己を受け入れてくれた隠れ里の皆へと、恩返しがしたかった。


 だが、男が選んだのはあまりに過酷な道だ。隠れ里だけでなく、全ての人族のために働くような行動は、恩義のためだけではないのだろう。


 男は、この危機に際して、ようやく自身の力が役立つ場があるのだと知った。

 他種族のようには表立って動けない皆の代わりに、代表として立てるのだ。ならば自らの意思を押し殺してでも、成さねばならないことのように思えた。

 特別、義理人情に厚いつもりはなく、信仰心もないはずだが、どこか天より課された使命のように感じられたのだ。


 男はレリアス王国が、聖質の魔素を扱える者に研究職を用意しているという話を聞いた。それまでは何かしたいと思えはすれど、何ができるか明確ではなかったため、これなら役立てるのではと直感して赴いた。

 だから王の強張る声音を聞いて、男の胸に、やはり忌まわしい力なのかと不安が戻る。


 しかしマグを扱えるはずのない、人族という身が問題になるのではと考え、慎重すぎるほどに行動した。それは結果的に良かったのだろう。一つ、男には知りようもない事があったのだ。


「その比重は、始祖人族だけが持つもの」


 そう王は言葉を発して、目で聖者に肯く。言葉の意味を、聖者が引き継いで説明した。


「遠い過去には、我ら全ての人種が同種族だったという説がある。バカバカしいと思うだろう? そう我らも考えていたのだ……最近まではな」


 元は、全ての人類が一つの種から枝分かれしたのではないかという説を、誰も真面目に受け止めはしなかった。なるべく客観的な見方をするよう努める研究員だが、それぞれが育った土壌もあれば、個々の信念もある。先入観など持たないと思う方が傲慢だ。

 しかし、どんな説であろうとも提出されたものには目を通し、保管してある。


 大々的にマグの調査に乗り出した結果、そんなバカにされていた幾つかの説が、真実味を帯びてきたのだ。またレリアス王は、そういったことも逃さず調べるように指示していた。

 人々が、長い争いの末に下された神罰ではないかと、信じるともなく口にしてしまう邪竜などという存在が現れてしまってからは、たんにバカげているとは言えなくなってしまったのだ。




 聖者は王へも、調査結果と私見を述べる。

 ふいに訪れた男の話を聞いた聖者は、男の了承を得て人族の隠れ里を調べるために研究員を派遣した。しかし魔脈は遠く、かといって聖魔素が吹き溜まっているでもない場所だ。


 いや、逆ではないかと聖者リベレスは考えた。

 隠れ里と言えども、木々の上などに隠れ住むことのできる首羽族ならばともかく人族だ。少人数の集落を維持し長い期間を安全に生き延びたのは、遠い昔の人族が危機を察知していたからではないかと思えたのだ。そこで他の隠れ里へも調査の手を伸ばし、共通点を探った。

 聖者の予想通りに、どの場所も魔脈を離れた、もしくは狭間の隔絶された地域だった。




 簡単な説明を終えたのち、場を沈黙が支配する。

 黙した王の前で、男は聞いた話による内心の焦りを悟られまいと、毅然と立っていた。


 聖者は隠れ里を調査する際に、人族へ無礼な振る舞いをしないよう調査員や随行する兵らに言い聞かせていたし実行した。それで男も信頼に足ると判断した。

 しかし今、初めて聞かされた事実がある。これが現在においては機密なのか、発表できる段階ではないのかなど、知ることは出来ない。


 男が恐れたのは、他の人族へと手が回ることだ。もしこれが先祖返りならば、王が人族全体に起こり得ると考えればどうなるか。


 そんなことを信じて実験などを強要されては、人族など酷い立場に追い込まれてしまう。さらには、そのような力を持ちながら、なぜ戦わないのかと他の民に迫害されては絶滅しうる。




 男の隠した狼狽は、固めた拳に見てとれた。

 その心配を読み取りつつ王が考えていたのは、邪竜が現れてより活性化し続ける魔脈に当てられて世代を重ねた結果、始祖人族へと先祖返りした可能性だ。


 ならば、男が案ずるように実験しようとも無意味だろう。今すぐに効果が出ないならば、このまま時に任せるのも同じだ。それどころか、今後は他の種族へも影響を及ぼすことがありうる。

 邪竜が復活し続ける限り、地上に溢れる邪質の魔素は増えていくのだから。


 問題は、その時まで、人類の中に聖魔素が残っているかどうかなのだ。



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