鬼の探偵
とある少女が死んだ。何故死んだのか。誰も気にも止めなかった。彼女以外は……。
これは事件を追う1人の少女のお話。
︎︎゛森の屋敷には近づくな。そこには鬼が住んでいる。︎︎゛
そう言い伝えられた町にとある少年が1人引っ越してきた。水森 晶は念願の一人暮らしするためにこの町へとやってきた。そして、そんな伝承をマンションに荷物を運びながら耳をした。子供達が話しているのが聞こえたのだ。この時は気にもとめなかった。後に運命だと思わされることになる。荷物を入れるとすぐに学校へ登校する。学校の図書室によって見ることにした。本を読むのが好きというわけではないが、本に囲まれるのは好きだからだった。図書室を散策していると、本棚に持たれかかって本を読む1人の少女がいた。 偶然目が合う。美人だがどことなく不思議な雰囲気である。
「何?」
「へ?」
「なんで私の事見てるの?」
「え、いや、その。別に……」
「用がないならこの場からさる事ね。」
「え?」
「じゃないと︎︎゛鬼︎︎゛に食べられるわよ?」
「?」
そう言った少女は本を持って去っていった。
「変な子……」
そして、時計を見る。
「やっば!そろそろ行かないと!」
慌てて職員室へと向かった。
☆☆☆☆☆
「おはよう!静かにしろー!」
教室に先生が入ると生徒達は話すのをやめる。生徒達が静まり返ると担任の西崎先生は話しはじめた。
「今日は皆に転校生を紹介するぞ!入って!」
ガラッと音を立てて部屋に入る。
「転校生の水森 晶です!よろしくお願いします!」
「水森の席は……鬼川の隣が空いてるな!」
先生が指す方向を見て絶句した。そこにいたのはさっきの不気味な少女である。恐る恐る彼女の隣に座る。
「あら、さっきぶりね。」
「あ、う、うん。よろしく。」
「よろしくするつもりは無いわ。」
「へ?」
「仲良く群れる気なんてないもの。」
なんだろう。凄くいやなやつかもしれない。そう思った。そうしてホームルームが始まった。ホームルームが終わると俺の元にわんさかと友達が来た。何人と連絡先を交換しただろう。結構な数である。
「人気者はつらいわね。」
「ああ、そうかも……」
その会話を聞いていた男子の1人が間に立った。
「お前!」
「?」
「お前知らないのか?鬼川は鬼なんだぞ?」
「は?」
「森野屋敷に住んでる怪しいやつなんだよ!それにあいつに関わるとろくな事にならない。話しかけない方がいいぜ?」
「へー……」
なんて話をされた。1日が過ぎる。放課後になると一緒に帰ろうと沢山の声を貰った。俺は出来たばかりの友達達と帰る事になった。帰り際、教室を見ると1人の少女が女子グループに囲まれているのが窓の外から見えた。
「掃除当番変わってくれない?」
「いやよ。」
即答である。
「はぁ?あんた生意気なのよ!」
鬼川はグループのリーダーらしき女に突き飛ばされる。さらに殴られそうになった。
「やめっ……」
俺が声を出すより先に少女が動いた。
「いいのぉ?」
「は?何が?」
「これ、撮ってるけど?」
「は?!やめなさいよ!!」
「あ、動かないで?どっかに投稿しちゃうかも?」
「っ!」
「わかったら離してくれる?」
「……覚えてなさいよ!!」
「それはこっちのセリフよ。」
と、言って鬼川は教室から出た。水森と鉢合わせる。
「あ、その……」
「助けなんて不必要よ。バカ。」
なんて捨て台詞を言って帰っていった。その次の日、事件は起こる。 朝、学校に行くとパトカーが並んでいた。先生に聞いてみる。
「これは?」
「あ、水森くん。今日はお休みよ?」
「え?何かあったんですか?」
「それが……」
「それが、あのいじめっ子の濱田ユリさんが死んだのよ。」
淡々と少女はそう言った。
「鬼川……」
するとそこに濱田ユリの取り巻き達が鬼川に詰め寄る。
「あんたなんでしょ!ユリを殺したの!」
「ハッキリいいなさいよ!この人殺し!!」
鬼川はしばらく沈黙した後に笑いだした。
「私が犯人ならこんなお粗末な殺し方しないわ。」
「なんですって?!」
「あんたが死ねば良かったのよ!人殺し!!」
「こらこら!落ち着きなさい!鬼川がしたって決まってないだろ!!」
先生が宥めるが取り巻き達は納得のいかない様子だった。
「でも、瑞希さんの時も……」
「それは違うってわかったでしょ?」
「でも……」
「?瑞希さんて?」
水森は思わず聞いてしまっていた。
「貴方が知る必要はないわ。」
そう言って担任は帰宅を促した。帰らずにいる鬼川に声をかけてみた。
「鬼川!」
「何?坊や。子供は帰ってママのお乳でも吸ってなさい。」
「ぐはっ……そこまでいわなくていいだろ!?」
「そうね。言いすぎたわ。ごめんなさい。」
「おう。」
「で、なんの用なの?」
「瑞希さんて?」
「ああ、彼女ね。彼女は……」
「こら帰りなさい!」
先生に怒られる。そうしてようやく2人は歩きだした。
「私の屋敷にくる?そこで説明するわ。」
「屋敷?」
「そう、鬼の屋敷よ。」
ついて行ってみることにした。森の中の道を歩いて行く。するとある屋敷が見えてきた。
「ここが、鬼の屋敷?」
それは古びた屋敷だが、どこか風情を感じるものだった。
「さぁ、入って。」
「お邪魔します。」
中は普通の家より豪華で荘厳だった。
「さ、座って。」
鬼川がリビングに案内されるとお茶を持ってくる。
「ありがとう。」
「で、本題ね。」
「ああ。」
「あんたが引っ越して来る前に瑞希って子がいたのよ。その子、ある言葉を残して死んだの。」
「ある言葉?」
「鬼に気をつけろ。あいつはいつも私達を見てるって、ね。」
「なんだよそれ。ちょっと怖いんだけど。鬼って、鬼川のこと?」
「皆そう思ってるわね。」
「……そんな分かりやすい言葉残すか?普通。」
「そう……だけど。あんたは私の事だと思わないの?」
「……?ああ、思わないけど?」
「……ふふ」
鬼川が不意に笑う。
「なんだよ。」
「だって、そんな人がいるなんて、……ふふふ。面白いじゃない。」
「……なんだよ。笑うことないだろ?」
「ああ、ごめんなさい。」
「実際、鬼川関係ないんだろ?」
「ええ、ないわ。」
「なら、鬼ってなんの事だ?」
「それなら解けてる。」
「は?」
「鬼門のことよ。」
「?」
「教室で鬼門の位置に座ってるのは誰?」
「え……北東だから……もしかして……」
「ええ、そう。︎︎゛彼女︎︎゛よ。」
「っ?!なんで?濱田ユリ?」
「そう、彼女が瑞希ちひろを殺したのよ。」
「じゃあ、今回の殺しは……」
「ええ、十中八九瑞希ちひろの敵討ちよ。」
「なら、犯人は一体?」
「まだそこまでは解けてないの。」
そう言うと彼女は何かを考えながら紅茶を飲んでいた。
「詳しく調べる必要がありそうだな。」
「そうね。」
「でもさ」
「?」
「なんで、鬼なんて呼ばれてるんだ?苗字のせい?」
「それもあるけど、瑞希ちひろの第一発見者は私なのよ。」
「!?」
☆☆☆☆☆☆
翌日、ようやく学校に登校することができた。鬼川は早速濱田ユリの遺体のあった部屋を覗く。そこは妙な空間だった。首を吊ったロープが、あるだけだった。
「……」
「こら!何してるんだね!君!ここは立ち入り禁止だよ!」
「はい。」
そんな鬼川を水森は陰ながら見守っていた。
「鬼川!」
「!水森くん。どうしたの?」
「俺に何か出来ることあるかな?」
「……ない、と言いたい所だけど、一つ、頼まれてくれないかしら?」
「お、おう!で、何?」
「椅子になりなさい」
「は?」
「鬼川ぁ……もう……」
「もう少し、もう少しよ!」
四つん這いになってみっともなく鬼川に踏まれていた。鬼川はなんとか現場を、見ようとベストポジションから見つめていた。
「も、もう無理……」
そのまま俺はその場に沈み込む。
「情けないわね。しっかりしなさいよ。」
「ごめんなさーい。」
馬になるのを辞める。そして、聞き込みをすることにした。聞き込みを始めてしばらくして鬼川はニタリと笑った。
「謎は全て解けた!!」
「え?」
鬼川に頼まれて容疑者を連れてきた。それは先生と濱田の取り巻き達だった。
「水森くん?これは一体?」
「何よ!これ、なんの集まりなのよ!」
先生も取り巻き達もなぜ呼び出されたのかわからなかった。
「今からこの殺人事件の犯人を特定します!」
鬼川が意気揚々とそういうと取り巻き達がざわついた。
「え?これ鬼川がやったんじゃないの?」
俺は否定することしかできなかった。
「違う。鬼川は無実だ。だいたい鬼川が犯人ならこの事件を俺と解こうなんてしないだろ?」
「確かにそうかもだけど……」
「自分が容疑者から外れるためだったりして……?」
「はぁ、違うけど、まあいいわ。始めるわよ。まず、鬼についてだけど、これは昨日水森くんに説明した通り。」
「鬼門の事で、鬼門は濱田ユリのことを表しているっていうあれだな。」
「ええそう。瑞希ちひろを殺したのは濱田ユリ。」
「「?!」」
一同は絶句した。
「そして今回の殺人は瑞希ちひろの仇討ち。」
「瑞希さんの仇討ちの為に濱田さん死んだとしても犯人なんてわからないんじゃないかしら。」
「どうしてですか?先生?」
「あのね。水森くんは知らないと思うけど瑞希さんと仲のよかった子なんて居ないのよ。」
「それが1人だけいるんですよ。」
鬼川が自信満々にそういうと皆が首を傾げた。
「確かに、誰かと仲良かったところとか、みてないよね?」
「確かに、確かに!」
取り巻き達もそういう。
「いるじゃないですか!そこに、瑞希ちひろがいじめを相談した相手が。ね?西崎先生。」
「?!」
「「え?!」」
「言いがかりよ!私がどうして瑞希ちひろさんの敵討ちなんて……」
「先生、先生の旧姓は瑞希ですよね?」
「!?」
「そう!瑞希ちひろさんは西崎先生のめいなんですよ!」
「……」
西崎先生は言葉を失った。
「そして、今回の現場には椅子が無かった。」
「それがどうし……!」
「あの現場にあの時間、椅子を持っていけるのは先生だけなんですよ。聞きました。昨日は残業していたそうじゃないですか!」
「それが何?他の先生だって……」
「他の先生はいません。昨日残業していたのは西崎先生だけです。後は警備の人のみ。」
「じゃあ、警備の人が……」
「警備の人には犯行動機がありません。それに警備の人が椅子を運ぶ先生を見てるんです!」
「……」
「認めてください!」
「でも、どうして椅子を持っていく必要があったんだ?」
「……付いたのよ。私の血が……。」
「先生は殺そうと争っているうちに手を怪我してそれが椅子に付着してしまった。」
「血は拭っても取れないから……」
「ルミノール反応ですね。」
「ええ。認めるわ。私がしたのよ。」
こうして事件は解決した。後日、森の仲の洋館にて、
「ああ、水森くん。いらっしゃい。どうぞ。」
水森は応接間へと導かれる。
「それで、話ってなんだ?」
「私、とある事件を追っているのだけど、水森くんも手伝ってくれない?」
「とある事件?」
「ええ。」
鬼川は写真を出してくる。そこには鬼川と同じ顔をした少女がもう1人いた。
「これは?」
「私、鬼川りほの双子の妹。鬼川みほの死の謎を私と一緒に解いてほしいの。」
「……死の謎?」
「ええ!みほはもう死んでるわ。」
「なら、謎って?」
「なぜ彼女が死んだのか。その謎を解いてほしいのよ。」
「なんで俺なんだ?」
「使い勝手がいい……いや、頼りになるからよ!」
「本音ダダ漏れだぞ?!」
こうして、鬼川りほとの謎を追う日々が始まったのだった。




