1話:退職、そして
カクヨムで投稿してますが、小説家になろうでも投稿してみることにしました。
ホームって何なんだろうな。。。
呆れると共に、この世界で生きていけそうな気がした。
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アーリーリタイア。
世の中の大人が憧れつつ、自分には関係ない世界だと思ってしまうもの。
それを手に入れた俺、千葉 祐磨(42)。
20年間激務に耐え、節約をして、積み上げた貯金6,000万。それで購入した株式の配当金が年間300万入ってくる。
一人暮らしで引きこもってゲーム三昧な日々を送るには十分すぎる収入である。
恋人?結婚?そんなのとっくに諦めた。
いや、一時期は頑張っていた。合コンに街コン、お見合いパーティーにも参加した。そこで仲良くなった女性と交際して結婚した。
でも、その女性は…これ以上は思い出したくない。黒歴史というやつだ。それ以降、めっきり人付き合いを減らした。
そんなこんなで一生一人で生きていくことを決め、そのために必要な収入を不労所得で手に入れる事を目標とした。不労所得を得るために必要な元手を貯めるために、激務&高収入で有名な某メーカーへ転職をしたし、支出は極力少なくした。元々引きこもり体質であり、支出を減らす事でその傾向は更に強化された。そして、やっと目標を達成したのだ。
そして今日は退職日。明日からは無職、いや投資家であり、何にも縛られず、自由に生きていけるのだ。
そんな晴れの日なのに雨か。まぁ職場の誰かが悲しんでくれていると思えば悪くないな。明るい未来に向けた退職でもないし、こんな天気の方が合っている。
そんな事を思いながら家路につく。退職に向けた引き継ぎで忙しく、退職後に具体的にやる事は決めてなかったので、やりたいゲーム、読みたいマンガを調べながら電車に揺られる。途中、落雷で数分停電があったらしく、通常より時間は掛かったが、満員電車での通勤もこれで最後だし、まぁ最後くらい多めに見てやろう。
電車に乗るのも、駅から家へのこの河川敷を歩くのも頻度は大きく減るんだろうな。そう思うと寂しくなるものだ。
さっき買ったビールとおつまみで一人送別会だな。
そんな事を考えていると、突然、目の前が光に包まれた。
『…やっと…こっちに来てくれるわね…』
◇◇◇
一体どれだけの時間が経っただろうか。
数秒とも数時間とも思える時間が過ぎ、目を開く。
目に映るのは茶色。ぼんやりしていて、色しか分からない。
しばらくして焦点が合い、周りがしっかり見えてきた。
茶色は木のようだ。そして、自分はどこかの建物の中で寝ているようだ。
光に包まれる前は河川敷を歩いていたはず。
つまり、そこから誰かに運ばれた?誰が?なんで?
…色々と考えても分からない。何か声が聞こえたような気がするけど。
…とりあえず起きるか。別に体が動かないとか、痛いとかは無い。
本当に一体誰が運んだんだよ。
体を起こして周りを見る。
木だ。壁も木だ。しかも狭いなこの部屋。ベッド2つ分くらいの広さしかない。よくこの部屋にベッド入ったな。
服装はスーツのままだ。カバンや傘、さっき買ったビールとおつまみも部屋の隅に置かれている。
視覚からの情報を元に色々と考えるが、やっぱりまだ状況がよく分からない。
とりあえず部屋から出るか。
立ち上がり、ドアに手を掛ける。ノブも木でできているのか、なかなか珍しい気がする。手が込んでいる割にこの狭さ。なんかちぐはぐさを感じるな。というか、この部屋を作った人はどんな趣味なんだろうか。
頭は色々な情報を処理しつつ、最初と比べるとだいぶ落ち着いたな。
まだまだ分からない事だらけの状況だが、とにかく出るか。
そして、開いたドアの向こうに広がっていたのは、視界一面に広がる森であった。




