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EPISODE 1 「目指すべき場所」

「お姉様?」

「どうかしたの?リリシア…」

彼女たちは俺の顔を覗き込んでいた。

まるで人形のような美しい顔をしていた。

…こんなこと…前にあったっけ。

「この子に名前を付けてあげませんか?」

この子って…記憶喪失とはいえ一応16歳だったはずだぞ。

「そうね、アルディスにしましょう」

なんでだ…聞き覚えがある名だ?

「お姉様…」

2人の少女のうち、妹の方だ

一瞬だけ虚ろで儚さの裏に憎悪を込めた目をしていた。

姉の方は……ヴェルナは……

「ヴェルナ……?」

「お人形さんが喋りましたよ!!?お姉様!?」

俺が人形?いや俺は確か…人間だった。

記憶は曖昧だったけど人間だった自覚がある。

「……嘘?」

ヴェルナは手で顔を隠した…正確に言えば目を覆った。

そういえば俺はなんでヴェルナの名前を知ってたんだろう?

妹の名前も知ってる…リリシア。

俺が彼女達の名前を知ってる理由はよく分からない。

「もしかしたら、作ってる時に既に魂が宿っていて、私たちの会話を聞いていたのかもしれないわね」

そんなこと有り得るのだろうか?

人形だからそれは有り得ることなんだろうか。

「お姉様、お人形さんが涙を流してますよ?」

「おかしいわね?人形に感情なんてあるわけないのに…」

人形って魂はあるのに感情がないのか…なんか悲しいな。

でも俺にはちゃんと感情がある…それは前世があるからなのか。

いつかそれを思い出せたなら…。

「私はあなたが生きていてくれるなら、それでいい?…絶対に俺は嫌だな…」

【「私はあなたが生きてくれるなら、それでいいんです」】

唯一、前世の記憶で鮮明に残っている言葉だ

「お人形さん、変なの…急に変な独り言を言い出して」

なんかとても嬉しそうだった、変な子だ。

「お姉様?どうかされました?」

「ほんとに、あなたなの?」

俺を知っているのか?

「アル…なの?」

俺はアルディスって名前にしたのは彼女である。

だから当たり前のことなのだが…何かが引っかかる

「俺をアルディスって名前にしたのはあなたですよね?もしかして昔あったことあり…」

俺は気がつくとヴェルナに抱きしめられていた。

細く綺麗な腕だったけれどしっかりとした力で。

「もうどこにも行かないで…私の前から…」

「お姉様!」

「ヴェルナ!魔物が!」

気づかなかった、このままじゃ。

「失せなさいよ、この虫けらども」

一瞬で消し炭になった…何が起こったのか分からない

指の上で浮かびゆれる赤い炎を見つめなが、彼女は魔物たちに怒鳴った。

「私のアルに傷……いや指1本でも触れてみろ…見境なく地獄に送ってやる」

彼女の目には、何が映っているのだろう…

一方的に魔物を屠った彼女の姿は、怒りに身を任せた別の何かだった。

「お姉様はね、昔にあなたと同じ名前の人間の子が居てね、私たちとても仲良かったんだ」

知ってる…そんなこと知ってる!ずっと前から。

「でもね、人間たちに」

「殺されたんだろ」

なんで忘れてたんだよ。

俺が生まれ変わった理由なんて1つしかないだろ?

「ヴェルナ…俺が死んでから頑張ったんだな」

「やっぱり、最初は少し驚いたけど…あなたは本当にアルディスなんだね」

彼女たちを助けるため…ちょっと思い出すのに時間がかかったけど、ヴェルナなら許してくれるだろう。

「お姉様、終わったみたいだよ、アル」

俺はヴェルナと目を合わせちゃんと向き合った。

「ヴェルナ…その、強くなったんだな」

「あなたが1度死んでしまった時から私は、ずっと魔術について研究していたわ…あなたともう一度会うため」

俺の事をそんな思ってくれていた事が嬉しい

「その副産物として無詠唱魔術とか転移魔法陣とかいらない魔術も発明したんだけどね」

充分すごくないか?無詠唱魔術とか普通に…ってかさっき使ってたの無詠唱魔術か。

「まさか、リリシアがお人形さん欲しいって言ってたから魔術人形作ってみたらあなたの魂が宿るなんて」

「そのさ、ヴェルナ聞いて欲しい」

「何?」

今から話そうとしてることはとても大事なことだ…この回答次第で俺はこの体で生涯を送ることになる

「俺って人形から人間に戻れるのか?」

「戻れるはずよ」

こんなあっさり結論が出ると思っていなかった。

(ことわり)の祠っていう祠があるんだけれど、その祠では種族を変えることができるわ」

理の祠って、確か

「大国家として認められた場所じゃないと設置できないんじゃないっけ?」

「そうよ、しかもそこの国民しか使えないの」

ガッカリした俺を慰めるようにヴェルナは言った

「でもね、設置自体はできるのだけれど…結局効果がないから置物なっちゃうんだけどね」

それじゃ意味ないじゃん!!!

「でも設置って言っても持ってなかったら意味ないじゃん」

「いや私作れるわよ」

この人ほんとになんでもありだなおい。

「それなら問題は国を再建しなきゃなぁ」

国を再建する…嘘で人間が目の敵にしてるような種族させられた魔族だ。

戦争をしかけてくる者もいるんだろう。

「なんか私のこと忘れてない?アルディス!」

なんかちっこいやつのこと忘れてた。

でも俺たちの目指すべき場所が見つかった。

目的が見つかれば進んでいける…それを知ってるから…明日へ進んでいける

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