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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
第六章 次こそ君を
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薔薇

「お姉さま、ごきげんよう~!あれ、何か隠しました?」


私が家の玄関口でお姉さまを出迎えると、何かを後ろ手に隠すのが見えた。


「やぁ、リシア。いや、これはだな…。」

「隠しても為になりませんよ~!早く出してください!」


こういう時のお姉さまはどうせ私への贈り物を持ってきたのに、照れてなかなか切り出せない時だ。

別に私は何をお姉さまから貰っても嬉しいので、さっさと出して貰うに限る。


「これを受け取ってくれるか…?」


そう言ってお姉さまが背中から出したのは深紅の薔薇の花束。

まだ瑞々しく、力強い。


「まぁ、これどうされたんですか?」

「庭の薔薇がとても綺麗で、リシアにも見てもらいたいと思ってな。」

「そうなんですね!とっても綺麗です!」


私はお姉さまから花束を受け取り薔薇の数を数える。1、2、3…12本か。


「リシアに贈ろうと持ってきたは良いが、道中冷静になるとえらくキザな気がしてな…。」

「そうですね、とってもキザでかっこつけな贈り物です。」

「すまない…。」

「でも、嬉しいですよ!だから、ね?」


そう言って12本の薔薇から1本を抜き取り、お姉さまの服に差す。


「結婚式でもお願いしますね?」


私はそうお姉さまににっこり笑いかけたのだ。


◆ ◇ ◆ ◇


と、薔薇をお姉さまからいただいたのも二週間ほど前。

数日、花瓶に飾っていたのだが、どうしても枯れ始める。

このまま枯らしてしまうのももったいない気がして、どうにか残そうと思い立ったのがポプリ作りだ。


花びらと葉を丁寧に一枚ずつ取っていき、10日ほど置いて乾燥させる。

水気がなくなれば、袋に入れてアロマオイルを少量垂らす。

色々なアロマオイルが選択肢にあるが私は素直に薔薇のアロマオイルを選ぶ。

後は軽くなじむように揉んで数日おいておけば完成だ。


さっそく瓶に詰めて、部屋に飾ってみる。

薔薇の良い香りと共にあの日のお姉さまの顔が思い出される。

良いものだな、これは。


◆ ◇ ◆ ◇


「おや、これは…?」

「先日いただいた薔薇をポプリにしてみました。そのまま枯らすのは、勿体なかったので。」

「そうか。大切にしてくれて嬉しいよ。」


数日後、部屋を訪ねたお姉さまは目敏く私の薔薇のポプリを見つける。

こうして、形あるものに残したことに、お姉さまも嬉しそうだ。


「少しお分けしますね。お風呂に浮かべるというのもいいですよ?」

「お風呂に浮かべて使ってしまうのは寂しい気もするな。」


量が減ってしまうのが気になるらしい。


「また来年の秋も贈っていただければいいんですよ。」

「そしてまたキザだと言われるのか。」


あの時意地悪言ったの、根に持ってますね?


「ではせっかくだからお風呂に浮かべて見るとするよ。良ければリシアも一緒に--」

「入りませんけど?」


まぁ、結婚したら考えてあげます。




12本の薔薇の下りが気になった人はダズンローズで調べてみてください。

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