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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
第一章 そして姉妹になる
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お姉さま

学園に入学して数日。

全攻略キャラとの出会いも果たし、攻略チャートを思い出しながらどのルートに入るか考える。

原作通り何故か一つ上であるエドワードと同じクラスに入れられることになった。

神託の聖女ながら力を発揮できないリシアを優秀者が多くレベルが高いクラスに入れて良い作用を引き起こそうという謎の設定だ。

そこでクラスの皆に神託の聖女であることから特別にこのクラスに配属されたと教師から伝えられるイベントも避けられなかった。


「まぁ誰のルートでもないイベントだから…」


元平民で、神託の聖女ながら癒しの力を発揮できないリシアだ。当然のごとく貴族の学園であるここでは避けられている。

なぜだか避けられているというか遠巻きにされてる気もするが。

おかげでゆっくり色々なことが考えられるので良い。


「レベッカ様も同じクラスのはずなんだけど…あの日以来見かけないな…」


レベッカのあの美しいお姿を毎日クラスで見れるのかと楽しみにしていただけに、非常に残念だ。


「やぁリシア、元気?」

「エドワード様、こんにちは。今日はいつもより早いですね?」

「ああ、今日はレベッカと共に来ることになってね…彼女は早起きだから…」


エドワード皇子のセリフに覚えがあった私はすぐに思い出す。


(これ、レベッカにエドワードへの敬称について指摘されるイベントだ!)


「こんにちは。先日は名乗りもせず失礼した。私はローエンリンデ公爵家、レベッカ・ローエンリンデだ。こちらのエドワード皇子殿下の婚約者だ。よろしく頼む。」


イベントに思い至ると同時にレベッカが現れ、例のキツい顔で私に挨拶をする。


(突然イケメン現るとか心臓止まりそうね)


「先日はありがとうございました。私はエヴァンズ子爵家のリシア・エヴァンズと申します。」

「ああ、よろしく。ところで、私がエドワード皇子殿下と古い付き合い故、気さくに話してしまっていたせいで勘違いさせたかもしれない。だが、学園では身分差は問わないから話し方について厳しくは言わないが、本来エドワード皇子殿下は様ではなく皇子殿下と呼ぶべきなんだ。私もここでは直すよう努めるから気をつけた方が良い。」


おかしい、原作のイベントでこんなセリフはなかった。

ただ単にエドワードを皇子殿下と呼ぶべきだと指摘され、エドワードに呼ぶ必要は無いと私が言ったと庇われ、少し二人の間が険悪になって終わるイベントのはずだ。

学園で他の人もエドワード様って呼んでるのに、主人公だけエドワード皇子殿下と呼べと言うのも仲間外れにも思えるけど、間違いではないのよね。


「レベッカ。皇子殿下とつける必要はないと僕が言った。君も今更つける必要はない。他の生徒もそうしてもらってるしな。」

「なんだって…。知らなかったとは言え、許可されたものについて理不尽に叱る羽目になってしまった。エヴァンズ子爵令嬢、申し訳ない。」


(原作にこんなやりとりはなかった…そして、レベッカが、学園でエドワードが皇子殿下と呼ばせていないことを知らなかった…?昨年一年間共に学園で過ごしていたはずなのに…?)


「いえ、正当なご指摘ですのでお気になさる必要は御座いません。」

「ありがとう、エヴァンズ子爵令嬢。そう言っていただけると私も助かる。」

「私の方が身分が下ですし、私のことは是非ともリシアと呼び捨てにしていただければ…」

「であれば、私もレベッカで良い。先ほども言ったとおり学園に身分差は無いしな。」


突如としたレベッカの提案に心臓が止まりそうになる。


(あれほど恋い焦がれ思った当人を呼び捨てとか…出来るはずないですよね…)


「お、おそれ多く御座います…」

「あれほどエドワードとは気楽に話しているのにか?」

「そうだぞ、リシア、レベッカにも気を遣う必要はない。」

(無理ですって、推しを呼び捨てとか…)

「でしたら、ローエンリンデ公爵令嬢のが一つ年上ですから…お、お姉さまと…」


やらかした。レベッカと呼び捨て以上にさすがにお姉さま呼ばわりはない。

普段変わらないレベッカの表情も心なしか驚いているように見える。美人だけど無表情で怖いイメージなんだよな。そこが好きなんだけど。


「も、申し訳御座いません!!出過ぎた真似を…」

「ふっ…」 

(あのレベッカが笑った!?というか笑顔不器用というかちょっと怖い…でもそんなとこも素敵!)


「良いぞ、ではこれからはお姉さまと呼んでくれ。」

「えっ…」

「可愛い妹が欲しいと思っていた頃もあった。お姉さまと呼んでくれるか、リシア?」


恋い焦がれた推しがお姉さまになりました。



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