混濁
???視点です。
エメラルドグリーンの海。白い砂浜。青い海。
今日も夢の中で私は溺れている。
例の女性がまた、波打ち際に立つ。
来てはダメ、私は変わらずそう思う。
今日は、海に飛び込んでこなかった。
何かを私に叫ぶと、陸に向かって走り始める。
「お姉さま、そんなに必死に走るとお体に障ります!」
これ以上、私の為に走って欲しくないと願うのだった。
◆ ◇ ◆ ◇
「今日から場所を移そう。近くに王家の別荘があるんだ。静かで良いところだよ。」
「まぁ、それは素敵ですね。」
エドワード[お姉]さまと2人なら楽しいだろうな。
まただ、最近は思考にもノイズが走る。
「ここは良くない情報が多すぎるからね。さぁ、行こうか?」
エドワード様が手を取り先導してくださる。
本当に素敵な人だ。
そう思いエドワード様の顔を見上げる。
だが、なぜか手をつなぐエドワード様の顔と視線が合わない。もう数cm上をつい見てしまう。
どうしてだろう、そこに大切な何かがあった気がする。
“--さまより背の--や-はおこと--だ!“
◆ ◇ ◆ ◇
なぜか人目を避けるように連れ出された私は、馬車に乗せられ海岸線を移動する。
「まぁ、猫ちゃんです!」
「本当だ。可愛いね。」
馬車の外の風景を見ていると、ツンとした顔の黒猫がこちらを見ている。
何だかとてもキュートで、心が暖かくなる顔をしている。
「猫ちゃんに何かあげたいんですが、馬車を止めてもらっても良いですか?」
「ごめんね、あげれる物もないし、早く着きたいんだ。」
「そうですか…。」
私はしゅんとする。
お魚をあげればあの猫ちゃんはきっと喜んでくれるし、とっても幸せになれる自信が私にはなぜかあったのだ。
“--さまとあの--はよ--て-るから。”
確かに。良く似ている。
あれ、今私は何と会話した?
◆ ◇ ◆ ◇
馬車は山の近くを通る。
私がふと目をやると、竹が生えている。
「あれは竹ですね。」
「あの木は竹と呼ぶのか。詳しいね、リシア。」
「いえ、先日も--」
竹で何をしたんだったか。
とっても楽しくて、美味しかったはずだ。
美味しかった?竹を食べたのか?
“--さま-流--めんス--ダーは--ったなあ”
そうだね。あれはすごかった。
あれ、私は、ノイズと会話している?