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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
第四章 「2人」の記憶
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君の居ない目覚め

レベッカ視点です。

私はどこかに寝かされているようだ。

起きようとするが体が重い。

どうして寝ているのだったか。

ああ、そうだ、私はリシアを助けようと結構な距離を走って倒れたのだ。情けない。


倒れる前の状況を把握し、目覚める私。

どうやら避暑地での私の部屋のようだ。

リシアはどうなったんだろう。

そのとき、ベッドサイドから人の気配がした。


「リシアか!?」


急いで体を起こして声をかける。急な頭部の移動でクラりとする。まだ貧血気味のようだ。


「レベッカ様。シンシアです。」

「シンシアか…」


ベッドサイドにいた人間はシンシアだった。

ふらつく私の体を支え、上手くベッドへ戻す。


「リシアは、リシアはどうなった?」

「私もまだお会い出来ていません。ですが無事と聞いております。」

「そうか、それは良かった…。」


心に暖かいものが宿る。助けられて、良かった。


「私もしっかり休んでリシアの見舞いに行かねばならないな。」

「ええ。ゆっくりご養生ください。」


ひとまず安心だ。急いで体調を戻さないとな。


「私はどれくらい寝ていた?」

「2日ほどです。医師の話によると酷い貧血だとか。」

「ああ。そんなに寝ていたか。少し前から貧血を患っていてな。」

「体調がよろしくない、とは聞いておりました。」

「リシアについては無事以外は無いのか?」

「レベッカ様が寝ている間に二度ほど訪ねてはみたのですが、どちらも面会謝絶でお会いできませんでした。」

「それは不安だな…早く会いたいものだ。」

「可愛い恋人ですしね?」 

「なっ、どうしてそれを…。」

「2人の距離感を見ていればわかりますよ。…ここだけの話ですが、エドワード様よりリシア様のがお似合いだと思います。」

「ありがとう。私も婚約者という立場でほかの人間にかまけるのは良くないのだろうが--そう思っている。」


ああ、早くリシアに会いたい。

話したいことはたくさんあるんだ。

謝りたいことも、たくさん。


あの時海に入るリシアを見て、言いようのない不安が襲ったことはよく覚えている。

どうしてリシアがそれを察知していたのかはわからない。

だが、リシアにとってあの砂浜は本当に危険だったということはわかる。

何故私は大丈夫なのか、疑問はいくつもある。

だが、間違いなくリシアは私の身を案じてくれていたのだ。

それは無用な体への心配とかではなく、迫るかもしれない危険への心配だった。

だから、リシアには謝らないといけない。

いつも謝るようなことしか出来ないことも、謝らないといけない。


ああ、リシアに会いたい。私はいつからこんな寂しがり屋になってしまったのだろう。



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