出会いイベント
「おっと危ない。エドワード、女性に急に大声で声をかけるものじゃないぞ?」
エドワードに支えられるイベントのはずが…そこに現れたのはレベッカだった。
(どうして??私が一度バランスを取り戻したからタイミングがずれた??
というかリアルレベッカ!!やばい顔綺麗…肌白っ…ここまで白いと顔色が悪く見えるわね…いや、実際に顔色が悪い…?)
「やぁ、戻ってきてたんだねレベッカ」
「…ああおかげさまでな。そんなことよりエドワード。女性が危ない目にあってるんだから声をかけるよりも先に支えてやれ。」
「いや、助けようと思ったんだけどね…咄嗟のことだから…」
「まぁいい、君、大丈夫か?」
(レベッカ、背高っ…ゲームじゃ身長の設定は出てこないからわからなかったけど…イケメンに抱き留められて見下ろされるとか…)
「君?頭などは打っていないと思うが…」
「あっ、はい!レベッカ様!!ありがとうございます!!」
「気にしなくて良い……っ、申し訳ないが失礼する」
元々美しいながらもきつさを感じるレベッカの表情が突然睨むような厳しいものになったと思うと、その場を足早に立ち去った。
(ああ、あれがゲーム冒頭の、エドワードを睨むシーン…睨んでる姿も美しい…あれ?というかエドワードじゃなく私を??なんかしちゃった??)
「名乗りもせず行ってしまうとは…すまないね。実はあの子は僕の婚約者なんだ。婚約者に代わりお詫びする。」
「いえいえ、助けてもらった立場ですから。」
「それにしたってすまない。ああ、僕はエドワード。先ほどのは婚約者のレベッカだ。」
「私はリシア、リシア・エヴァンズです。…エドワード…もしやエドワード皇子殿下ですか!?」
先ほどコケそうなところに声をかけて追い打ちをかけてきたのはメイン攻略キャラのエドワード皇子だった。
気づいてなかったけど、元々エドワード皇子との出会いイベントなんだから居ないはずないんだよね。
レベッカの美しさで頭がいっぱいで全く気づかなかったけど。
「ああ皇子殿下はいい、同じ学園の生徒なのに皇子扱いされるのもおかしな話だからね。」
「では、エドワード様と…」
「それでいい。さぁ行こうかリシア、入学早々遅れたら問題だからね?」
結局、ゲームのイベントと同じようにエドワードと出会い、エドワード皇子殿下ではなくエドワード様と呼ぶ羽目になってしまった。
とはいえただの冒頭の出会いイベントだ。今後避ければ良いだけの話。頑張らないと。
「ぶつぶつ言いながら歩いててコケそうになったと思えばまたぶつぶつ言いながら歩き始めた…全く不思議な子だね、神託の聖女様は。」