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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
第三章 あなたのためなら
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楽しむ

目が醒める。

何故か安心感につつまれて、今までで一番安眠出来たような気がする。

しかし、身体が思うように動かない。まるで何かに縛られているようで。

不思議に思い目を開けてみると、目の前にはお姉さまの顔があった。

起きたらイケメン。心臓に悪い。

お姉さまにしっかりと抱き留められており、起こさなければ抜け出すことは難しいようだ。


「しかし、よく寝ているなあ…」


それは幸せそうに寝ていて、起こすのも忍びない。

ここで起きなければ、結構なお寝坊さんになりそうなのだが…。今は夏休暇だ、思い切ってもう一度一緒に寝てしまおうか。

私は覚悟を決めてもう一寝入りすることにし--


「おやすみなさい、お姉さま?」


愛しい人の頬に口づけをして、ぎゅっと抱き締め返した。。


◆ ◇ ◆ ◇


次に目を覚ましたとき、お姉さまはすでに身支度を終え、ベッドの隣の椅子に腰掛けていた。


「おはよう、いやおはようなのか…?まぁ、ひとまずおはよう、リシア。」

「おはようございます、お姉さま。」


時計の短針はとっくに1を指し終えたようだ。すっかり寝入ってしまった。


「体調はいかがですか?」

「おかげさまで今日は調子が良いみたいだ。」

「よくお眠りになられていましたからね。元気になったようで良かったです。」

「うっ…見たか?」

「何をです?」

「その、寝顔を…。」

「とっても幸せそうに寝ていらっしゃるので、私まで幸せになれましたよ。」

「昨晩寝付きが悪くてな…。遅くに寝落ちしたら昼まで熟睡してしまったようだ。」

「寝るのにお邪魔でしたか?」

「いや、そんなことはない。むしろその、不思議と安心感が沸いてきて、今まででも一番安眠出来たくらいだ。」

「実は私もなんです。一緒ですね?」


お姉さまも同じように共に眠るのに安心感を覚えてくれていたようだ。


「ここにいる間は一緒に寝ますか?」


私は思い切って提案してみる。


「ん、んん。悩ましいが…身が保たないかもしれない。考えさせてくれ…。」

「お体に差し障りがあるのであればご遠慮されなくても…」

「いや、そうではない。そうではないのだが…」


なにやら歯切れが悪いが、深く追及はしない。

あんな事情を聞いた後だ。お姉さまにも色々あるのだろう。


その後私は軽い身支度を終え、お姉さまが部屋に手配してくださったブランチに手を着ける。


「お弁当ももう少し健康を考えた献立にした方が良いのでしょうか?」

「いや、食事だけでなく何事も今まで通りに頼む。ダメなことは自分で自衛するようにするし、今のままが気に入っている。」

「わかりました。でも何かあれば遠慮なくお伝えくださいね?」

「ああ、善処しておく。…それに、リシアのカツサンドを食べれないのは厳しいものがある…。」

「ふふ、健康を考えるからと言って、別にカツサンド抜き!とかにはならないんですがね?」


今すぐお姉さまにカツサンドを用意してあげたくなる。施設の厨房を借りて、食材を買い出しに行って…少し難しいだろうか。


こうして私たちは遅いブランチを終える。もうお八つどきになりそうなくらいだ。


「さて、出立できるようになったときにはもう随分な時間になりそうだが…今日はどうしたものか…。」

「そうですね…。うーん。そうだ。」

「何か思いついたのか?」

「お姉さまこちらに座っていただいても良いですか?」

「ああ。」


私は自分のポーチから櫛を取り出して、お姉さまの毛を梳き始める。


「これは…?」 

「今日は何もしないでいましょう!」

「何もしない?」

「こうして、お部屋で取り留めもないことをして、お風呂に入りたくなったら一緒に入りに行って、適当に食事は手配していただいて…後は何にもしないでだらりお部屋にいるんです!」

「それは…とても魅力的だな?」

「ですよね!」


さぁ、そうと決まれば今日はこのまま何もしないでいこう。お姉さまの髪弄りが終われば、膝枕をしてもらおう。

私はこの人となら、何もしない時間も共に楽しめる気がするのだ。




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