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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
10万pv記念 二部五章 愛してる
312/321

初詣に行こう! その2

麗香視点です。

「あの二人、結構イケてねぇ?」

「本当だ。女だけで来てんのかな?」

「そうじゃね?声かけてみる?」

「ありよりのあり!」


勝利のたこ焼きを食べながら紫杏たちの背を追って歩いていると、二人の姿を捉えたあたりでそんな会話が耳に入ってくる。


「おい、龍斗。」

「あん?」

「ちょっと耳を貸せ。」

「なんだよ?」


私は龍斗に思いついた計画を耳打ちする。


「ああ、シンプルだが良いんじゃねえか?」

「だな。行け。」

「仕方ねえ、紫杏のためでもあっからな…。」


龍斗はしぶしぶとは思えない足取りで先ほどの会話をしていたグループに近寄っていく。

そのうちの一人にターゲットを定めると…怪我のない程度に肩をぶつける。


「…おっと、すまねえな。」

「何すんだよ……でかっ!?」


相手は龍斗を見上げて驚く。

あれの背はこの参拝客の人混みの中でも一つ抜きん出るほどだ、そりゃ威圧感もある。


「悪かったって。な?」

「自分からぶつかっといて何がしたいんだよ?」


とはいえ、多勢に無勢。

グループ何人かでかかれば勝てるだろうと取り囲んでくる。

もっとも、奴らじゃ龍斗には勝てないだろうが。

私の強さが100とすると、龍斗は70、あいつらは一人当たり3ってとこだ。

一触即発、人混みがどよっとしたところで、私が止めに入る。


ひとまず龍斗を軽く柔術の要領で投げる。

どうせ今までの私との喧嘩で死ぬほど投げられ慣れている。石畳の上でも怪我はしなかろう。


「やぁやぁ。私のツレが悪かった。詫びよう。」

「いってぇ、麗香てめえもっと他にやりようあったろうよ…。」


投げられた龍斗がすぐにすくっと立ち上がる。

別にすぐに立ち上がれてるのだから問題なかろうに。

二人並ぶと部屋が狭いと紫杏からよく愚痴られた並びだ。

相手にかかる威圧感は半端ないだろう。


「私のツレも別に悪気はなかった。そうだよね?」


私はグループの一人の肩に手を置き、にこりと笑いかける。


「は、はい…ソウデスネ…」


相手は少し震えながらそう頷く。

自分で言うのもなんだが、それなりに容姿が整った私に笑顔で肩に手を置かれてそんなおびえた表情するのはおかしくないだろうか。


「それ以上やると可哀想だぞ麗香。」

「何をしたと言うんだ私が。」

「こえーんだよお前…」

「もっかい投げとく?」

「やめろ。」


怖いなどと失礼なこと言われたし投げても文句言えないと思うんだがな。


「ま、そういうことだ。ここは私の顔に免じて許してやってくれないか?」


私はグループ全体を見回すように告げる。

誰も口を開こうとはしない。


「うん。わかってくれて嬉しいよ。」

「じゃあ紫杏たちに追いつくとすっか。」


私たちは適度に参拝客の中で問題を起こし、耳目を集めたところで離脱してリシアの背に追いつき合流する。


「待たせたな。」

「遅かったですね、お姉さま。」

「たこ焼きを買ってたのでな。」


私は先ほどの働きに免じてたこ焼きを龍斗の口に放り込む。


「あづっ!?」

「一気に食べるからだ。」

「くひにほぉりほんだのはてめへひゃねえは!(口に放り込んだのはてめえじゃねえか!」

「何言ってるかわからん。」


私は不明瞭なことを言う龍斗を放置してリシアの腰を取って歩き出す。

ここまで注目を集めて妙なグループを軽く圧かけたところを見られた後でリシアとべったりすれば、誰も声を掛けようとはしないだろう。

あのグループがリシアたちをナンパするのを防ぐだけでなく、全体的な予防効果もねらった。


「麗ちゃん、裏で何してたの?」

「龍斗とちょっとな。」

「ふぅん。お疲れ様。」

「ああ。後で龍斗を褒めてやると良い。」

「わかったわぁ。」

「何かしたんですか?」

「リシアは知らなくて良いんだ。」


私はリシアの鼻をつんとつつく。


「もう、気になります!なんですか!?」

「教えてあげなーい。」

「ふぎゃ、ちょ、お姉さま!?」


私はリシアの鼻つん連打すると、リシアが怒り出す。


「もう!お姉さま!許しませんからね!」

「おお、怖い怖い。」


私はリシアから手を離して逃げ出すと、怒って追いかけてくる。

そこからしばらく逃げきらないほどに走って追いかけっこをした結果、後でちょっぴり二人で紫杏に怒られるのだった。


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