小編・もう一つの告白
レベッカ視点です。
「寝てしまったか。」
自分をひしと抱き締め眠りにつく少女を眺める。
あの話の後、リシアはひとときも私を離さないぞといった風に強く抱き締めてきた。
その様子が非常に愛らしく、愛おしかった。
おかげで今は大変に柔らかな感触に腕が包まれている。
「何を食べたらこうなるんだろうな…」
私の体に目を落とすが、リシアと同じ柔らかな感触はそこにはない。
おそらく鉱毒の影響で萎んでしまったのだろう。私はそう結論づけることにした。
話が終わった後、それからも私たちは色んな話をした。不思議なもので、どれだけ長く一緒に居て、たくさん話したとして、それでも話すことは尽きないのだ。
あの時、一つだけ言わなかったことがある。
言う必要がなかったし、言うべきではないと思ったのだ。
それは、リシアのことを妹というよりもっと違う何かとして愛しているということ。
以前より自覚はあった。それでも、今日一日でそれを強く実感した。
お風呂に入ったとき、一糸まとわぬ彼女の姿を見てドキドキした。
それが伝わったら、引かれてしまうだろうか?
こうして私に見せてくれている無防備な姿をいつか誰かに見せると思うと辛くなる。
私のものではないのに?
そう、私はこの少女に恋をしているのだ。
全てを自分のものとして手に入れてしまいたくなる焦燥感。
これが恋なのだろうと思う。
同性に恋をすることは、存在しなくはないが一般的ではない。
ましてや私はエドワードという婚約者がいて、きっと私が婚約破棄されれば次に婚約となるのは彼女だろう。
だから、この恋は叶わぬ恋。
伝えたって、困らせてしまうだけ。
胸に秘め、一人沈んでゆくだけの恋心。
でも私はズルくて弱いから。
腕に抱きついている彼女を抱き寄せ、気持ちよさそうに眠る彼女の頬に唇を落とす。
「リシア、好きだ。」
その言葉は静まり返った部屋に吸い込まれてゆく。
「さて、寝れそうにないな…」
好きな人と同衾して、寝れるわけもなく。
明日を寝不足で迎えるのももったいないと思うのだが。
どうにか寝れないか模索したものの、諦めたのだった。