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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
10万pv記念 二部五章 愛してる
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年末のあれこれ その5

「んで、ここにテーブルを置けば…」

「完成ですかね?」


冬のベランダ。

京都の寒さほどではないが、それでも年末ともなると身につまされるような寒さの中、私たちはとある作業をしていた。

もちろん、


「リシア、やり過ぎでは?」

「お姉さまは、寒がりなんですからっ…!これくらいしとかないとっ…!」


とベランダに出る前に貼るカイロをお姉さまに大量にぺたぺたと貼り付けて厚着してから出てきた訳だが。


「しっかし、こんなものいつの間に持ち込んでたんですか…」

「実は私のクローゼットにこっそり…」

「あなたのクローゼットじゃなくてうちの家のクローゼットなので、後で持ち帰ってくださいね。」

「そんな殺生な…。」


実はお姉さまは、いつの間にやらキャンプ道具を家に持ち込んでいたようで。

今のベランダは、狭いながらも小さなタープとテーブル、腰掛けを二つと調理用のコンロとさながらミニキャンプと言ったところだ。


「で、ここまで設営して、何を作るんですか?」

「それは…じゃじゃん!」

 

お姉さまが重そうな袋に詰まった物を少し取り出す。

その両手には缶詰。


「缶詰ですか?」

「そう、キャンプに便利だから買い置きしてあるんだが、もうすぐ新年だしここらで一つ賞味期限が来年までの物は全部食べてしまおうと思ってな。」

「なるほど。ちなみにそれも…」

「クローゼットにしまってました…。」

「キッチンに置き場作ってあげますから…。」

「すまない…。」


そもそも家にキャンプ道具を持ち込むお姉さまの心づもりがよくわからないが、それでも隠れるように服に紛れてクローゼットに缶詰をしまうお姉さまはさすがにちょっと可哀想だった。

後でスペース作ってあげよう…。


「とりあえず賞味期限見て厳選するから、手伝ってくれるか?」

「来年までのものを探せばいいんですね?」


お姉さまは袋からガラガラと缶詰をテーブルに広げる。

…すごい量だな。


「さすがに買いすぎじゃないですか?」

「いやー、本当にキャンプの時に便利なんだぞ?非常食にもなるしな?」

「とは言いますが、私なら缶詰だけで一ヶ月生活できそうですよ、これ。」


私たちは缶詰の賞味期限を一つ一つチェックしていく。

モノによっては日付が海外式のもあってなかなか面倒くさい。


「結構ありましたね。」

「キャンプをしだしたのが高校でモデルを始めて収入を得だした頃だからな。ちょうど四年くらい前に買い集めたものが多いんだよな。」

「そういえばどうしてキャンプを始めようと?」

「自然が好きなんだよな。落ち着くんだ。…ああ、もちろんリシアの横の方が落ち着くよ?」

「そういうの良いんで…。」

「まぁでも、これだけあればなかなか良い物を作れそうだ。せっかくだし、食べ尽くしちゃおう!」

「おー!…私は控えめで。」

「ふふ、詰め込んでやるからな!」


お姉さまはテーブルにスキレットにメスティン、ホットサンドメーカーなどを並べてゆく。


「最終、食パンで挟んでこいつで焼けばだいたい美味いし簡単だ。使い道が狭そうに見えて、実は一番使う。」


お姉さまは手元のホットサンドメーカーをふりふりしながらそう楽しそうに語る。


「まぁでしょうねえ。お姉さまサンドイッチ好きですし尚更。」

「そうなんだよな。お、スパムがある。リシアはスパム好きか?」

「それ、食べたことないんですよね。聞いたことは何度も。」

「へぇ、そうなのか。私は結構好きだぞ?お弁当に入ってたら嬉しくなる。」

「どう言った食べ物なんですか?」

「ソーセージの中身だけを缶詰にしたものだそうだ。」

「それ、ソーセージで良くないですか?」

「はぁー、リシアは何にもわかっちゃいない。」


お姉さまは指を立ててちっちっちとどや顔で言う。

むかつく顔してるなあ。缶投げつけてやろうか。


「ソーセージと違って柔らかくてメリハリのない食感が食べ物に混ざってても癖がない。後、脂っこいから米に合うんだよなあ。」

「褒めてるんだか貶してるんだか微妙にわからないですね…。」

「私としては全力で褒めてるつもりなんだがなあ。」


そーゆーとこあるよね。お姉さま。

妙に煽り性能が高いというか何というか。

屈託なく笑いながらスパムの缶を開けるお姉さまを見ながら、私は苦笑しながら味見した。


「しょっっっっぱ!」

調理は明日から。

最近資格の勉強を始めました。

一応個人的ルールとして、一日1500字以上のまとまった文を上げる(切れ目的にどうしても短くなった時を除く)と決めているのですが、もしかしたらその影響でちょっと短くなる時があるかもです。

基本想うままに書いているうちに越えているんですけどね。

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