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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
10万pv記念 二部五章 愛してる
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何もしない日 その1

朝、目が覚める。

どうやら今日は結構雨が降っているらしい。

風雨が窓を叩く音がする。

力の割に細い腕が私の体をがっちりとホールドしている中、その腕の主を起こさないようにそっと動いて時計を見る。

午前九時半。

普段ならすっかり寝坊と言ったところだが、年末ともあって今日すべき予定は特にない。

まだお姉さまは寝かせておいて良いだろう。


私は細心の注意を払いつつ、体を反転させる。

お姉さまに後ろから抱きしめられていた形から、向かい合うように。

端正で整った顔は寝ていてもとてもサマになる。

…ちょっとよだれ垂れてるけど。

私は口の端を拭ってやる。

首元のチョーカーに目がいく。

黒く太めのそれに、同じく黒いハートの装飾。

私がクリスマスプレゼントに選んだものだ。

私が今まで見てきた中で一番かっこよくスタイルの良いお姉さま。

パンクファッションな装飾も似合うのでは、と思い購入した。

当然、よく似合っているのだが…。


「もちろん、着けてくれるんだよな?□□?」

「え?ああ、はい。着けますけど……はい、出来ましたよ。」

「ふふ、一生着けたままにする。」


なんて言いながら、装飾のハートを嬉しげに手でいじっていたお姉さま。

何とも勘違いしていそうだ。

…まぁ、勘違いしてくれていいんですけど。

しかし、今日は外す前に寝落ちてしまったようで寝ている間も着けっぱなしだ。

え、本当に一生外さないなんてこと、さすがにないよね?


◆ ◇ ◆ ◇


そうしてお姉さまの寝顔を存分に堪能した私は、そのまま顔をお姉さまの体に埋める。

すーっ……はぁーっ……。

深呼吸をする度、お姉さまの匂いで体中が満たされる。

とても落ち着いて、幸せな気持ちになれる。


「はぁーっ…好き…。」


高ぶった感情がそのまま口をついて出る。


「顔が良いし…性格可愛いし…無理ぃ…。」


私はそのままさらに深呼吸してお姉さまを摂取する。


「はぁ…好きすぎる…お姉さまの鎖骨も可愛い…」


私はお姉さまの鎖骨を指でなぞる。

形がとてもセクシーだ。


「これ、全部私の物なんだよね…はぁ、無理、もう無理…最高じゃん…。」


私はあふれ出る感情を全て吐き出してゆく。

お姉さまは寝起きが悪く、これくらいしても全然起きない。

思う存分吐き出しても問題ないのだ。

ダメだ、癖になりそう。

とりあえずもう一度お姉さまを摂取しておこう。

すーっ……すーっ……すーーっ…はぁー…。


「好き…好き…好き…好き過ぎる…幸せ…」


私はそのままお姉さまの腹部に手を伸ばす。

普段もっと触りたいのだけど、フェチだと勘違いされたくなくてあまり触れてない腹筋。

お姉さまは私のこと筋肉フェチ(主に腹筋)と思ってる節があるからなあ。

私は指の感覚で腹筋の割れ目を探し、そこにツツと指を沿わす。

ああ、とても好きな感触。


「私の為にここまで整えてくれてるんですか?可愛いですね。」


私はお姉さまが起きない程度に腹筋を指で弄ぶ。

そうしながら思いっきりお姉さまを吸う。


「お姉さま。お姉さま。お姉さま。もう離しませんからね…お姉さま。」


体が拘束されているので、腹筋を眺めながら触れないのが少し心残りだけど。

昨夜もその腹筋の上に座ってお姉さまを上から思う存分堪能したのだ。

まぁ、今朝はこの程度にしよう。

私はお姉さまの体に顔を埋めたまま、静かに深呼吸を続けているうちにいつの間にかまた眠りに落ちていた。


◆ ◇ ◆ ◇


ふとした拍子に目覚める。

私はお姉さまに顔を埋めたままであることに気づいて慌てて顔を上げる。

上を見上げお姉さまの顔を見ると、まだ寝ているようだ。

良かった。バレずに済んだ。

時間は…11時か。

そろそろ起きてブランチにしようかしら。

私はお姉さまの拘束から逃れて、体を起こし姿勢をただしてからお姉さまの体を揺する。


「お姉さま、起きてください。」

「ん…。」


お姉さまの目が開き、のびーっと体を伸ばす。

体を伸ばしたと思えば、またちょっと丸くなって目をつむりそうになる。

とてもかわいらしい。天使か?

私は軽く頬に口付けし、起きるように急かす。


「ほら、起きますよ。」

「…雨、止んだのか。」

「あら、ほんとですね。」


外からしていた風雨の音は止んでいる。

というか、あれ。


「お姉さま、どうして雨が降っていたと…?」


私が寝る前には降っていなかった。

そして私が一旦先に起きたはずだ。

なら、お姉さまがそれを知る余地は…


「…予報で言ってたから。」

「あ、そうなんですね。止んだみたいですよ。」


危ない。

バレたかと思った。

どこからかわからないけど、起きて私の恥ずかしいシーンを見られていなくてよかった。


「ブランチにしましょう。何か食べたいものあります?」

「リシア。」


お姉さまはそういって横になったまま私の腰に抱きつく。

とても誘われる誘惑だ。


「もう、お腹空いているでしょう?」


お姉さまは起きてすぐからお腹がぐぅと鳴るタイプの人なので、結構空きっ腹のはずだ。

魅力的だけれど、先に食べさせてあげないと可哀想だ。


「ではいつも通りにトーストにしますね。ジャムは?」

「あんず。」

「はーい。じゃあ焼ける頃には起きてくるんですよ?」


私は枕元に畳まれていたパジャマを着けてベッドから降りると、暖房の効いた寝室からえいや、と出て各部屋の暖房のスイッチを入れて暖めて回る。

コタツもスイッチオン。お姉さまが入ってすぐ暖かいように。

そのままキッチンに立つ。

底冷えするので、さすがに足下のヒーターを入れてブランチの支度を始めた。


□□と一緒に寝る麗香は目覚めは良くないですが、寝ている間もある程度起こっていることがわかる特技があるので、□□の行いは全部バレています。


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