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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
10万pv記念 二部五章 愛してる
287/321

二人 その2

麗香視点です。

今回までピンク要素強めですので、ご注意ください。

一時間の貸し切り時間は矢のごとく過ぎ去って。

私たちは退去時間が迫る中慌てて体を拭き浴衣を着直しフロントへ向かう。

ルール上ギリギリではあるが…禁じられた行為もすることなく過ごした為、ただただ不完全燃焼で。

私はふよふよした感覚でただリシアに手を引かれる。

今の私の脳内は、ただすぐに部屋に帰りたいばかりだった。


◆ ◇ ◆ ◇


私たちは貸し切り風呂の鍵を返し、部屋に戻る。

電気をつける時間も惜しかった私は、そのままリシアの手を引き部屋に入ると、敷かれていた布団に危なくないよう二人倒れ込む。

二人並んで横になるが、リシアはすぐに私を組み伏せるように上になる。

私を求めるように見る目がとても素敵で、頭の芯まで射抜かれたような感覚がする。

だが、リシアはそこでふと思いとどまるように言葉を紡ぐ。


「あの。」

「なに?」

「今更なんですが…お姉さまはその、受け攻め?どちらが良いんですか?そういうのって、大事だと思うので。」


本当に今更の問いに私は思わず噴き出してしまう。

ここまで来て、まだ私に合わせようとしてくれるのか。


「そうだな。敢えて言うなら…リシアのしたいようにされたい、かな?」

「…本当に、したいようにしますよ?」

「うん。してほしい。」


私が頷くと、リシアは私の浴衣の帯をしゅるしゅると外していく。

少し手間取っている感じが可愛らしい。


「両手、出してもらえますか?」

「ん?こうかな?」


私は両手をリシアに向けて伸ばす。


「手首を重ね合わせてください。そうそう。」


リシアの指示通り自分の両手首を重ね合わせると、リシアはその手首に今外した私の浴衣の帯を結び始める。


「え、えっと。リシア?」

「…もう逃げられませんよ。お姉さま。」

「逃げはしないが…」

「これ、外したらやめますからね?」


リシアはそう言うと、結び合わせた腕を頭の上に万歳するように上げさせる。

少し乱雑な感じがたまらなく私の感情をくすぐる。


「では、お聞きします。正直に答えたら怒りませんので。」

「え?」


ここで急に謎の問いかけが始まり面食らう。

今度は何だ?


「…私の前の恋人さんとはどこまで行ったんですか。」

「だから、そんなものは居ないと…」

「の割に、余裕があるみたいですけど。私はこんなに余裕がないのに。」


リシアはどこか切羽詰まった顔でこちらを見る。

確かに、前の世界では向こうのリシアと恋人関係にあったかもしれないが。

私は私。橘麗香という人間は生まれてから君しか愛したことがない。

上手く説明出来ないのが申し訳なく感じる。

どう説明したものか言葉に詰まっていると、リシアは長いため息をつく。


「もう良いです。」

「リシア、その、聞いてくれ?」

「聞きません。」


リシアは私の呼びかけを一刀両断すると、己の浴衣の帯を外してゆく。

前が露わになり、私は目を取られる。

リシアはそのまま私の顔に体を寄せると--


「怒ったので、これは罰です。こちらも外さないでくださいね?」


と言って私の目を覆うように帯を結ぶ。

何も見えない。

感覚が鋭敏になる中、リシアは耳元で優しくささやく。


「お姉さま、いや、麗香?あなたの指、とーっても細くて綺麗ね?」


その一言一言が、私の背筋を走る。


「この素敵な指…もちろん、私の物ですよね…?」


私は答えようとするが、言葉が出ずただ頷く。


「では、ここから。麗香の全部、私の物に書き換えてあげますね…?」


◆ ◇ ◆ ◇


…あれからどれくらいの時間が経ったか。

まだ目隠しを外してもらえていないので正確な時刻は解らないが、外で鳴く鳥の声から早朝ということはわかる。

私は繰り返し繰り返し、何度も漆を重ね塗りするかのごとく頭のてっぺんから足の先までをリシアの物と教え込まれ、幸福感と疲労感で満ちている。

ある程度のキリがついたようで、リシアは先ほどから私を布団にしてうつぶせになっているようだ。

腕の戒めは途中で外されたため、私は私の上で寝るそのリシアの小さい体に手を重ねている。


「…お姉さま。」

「なに?」

「もう一度、良いですか。」


リシアはそう言うと私の片手を取り、指に口づけを始める。

…さすがの私もこれ以上は体力が保たない。


「すまない。少しだけ休ませてくれないか。」

「…仕方ないですねえ。」


リシアは軽くため息をつくと、私の目隠しを外し始める。

リシアの可愛らしい顔がぱっと私の視界に入る。

思わずリシアの体をぎゅっと抱き寄せる。


「…リシア。」

「何です?」

「お風呂に入りたい。」


指の先から背中、足先までリシアのだ液でべっとりしている。

これも悪くはないが…さすがに長く続くと少し気持ち悪い。


「内風呂、沸かしましょうか?」

「別に大浴場でも良いぞ?早朝から開いてるだろう?」


空を見るにもう大浴場も開いている時間だろう。

わざわざ内風呂を沸かす手間も省ける。


「…あまりオススメしませんが…」

「どうして?」


リシアは私の体の虫さされのような赤い痕を無言で指でなぞる。

そこに来て私は己の体にたくさんそれが残されていることに気づく。


「これはまた…いっぱい作ったものだな。」

「興が乗ってしまって…」


リシアは少し申し訳無さそうにする。


「さすがに私もこれを他人に見られたら恥ずかしい。大浴場はやめておこうか。」

「そうですね…。」

「貸し切り風呂は?借りれないのか?」

「出来ないことはないですが…」


リシアは言葉を濁す。

こちらもダメな理由があるらしい。


「何だろう?」

「…ほら、あちらは一応公共なので、禁止、じゃないですか。」


リシアは微妙に照れくさそうに自分の指先をつんつん突き合わせながら話す。

禁止とは?…ああ、そうか。


「休ませてと言ったと思うのだけど…」

「無理みたいです。せめて内風呂が沸くまでは休んでて良いですよ。」


リシアはぱっと立ち上がり内風呂の支度を手早く始める。

私はそれを見て、これからとても苦労しそうだなと思いながら諦めて素直に短い休息を取ることにした。


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