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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
10万pv記念 二部二章 友達
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看病

麗香視点です。

「やぁ、□□。大丈夫か?」 

「あれ、何で麗香さんが…?」

「まだ朦朧としてるみたいだな。布団まで連れて行こう。どこだ?」


私は玄関先に荷物を置き、□□に肩を貸すと寝室まで連れて行き、寝かせる。

□□のおでこにぴとりと手を当ててみる。とても熱い。


「へへ、熱いでしょう…?」

「よく頑張ったな。経口保水液とやらを買ってきたが飲むか?」

「あの美味しくない奴…。」

「脱水気味の時に飲めば美味しいらしいぞ?気にならないか?」

「へぇ…それは面白いですね…。」


片手に持ってきていたペットボトルの蓋を開けて渡してやると、こきゅこきゅと飲み干してゆく。

よほどのどが渇いていたようだ。


「本当だ、美味しいですね…不思議…。」

「ふふ、だろ?よし、荷物を取って来るから待っていろ。」


私は□□の頭を一撫でして玄関先に戻り荷物を整理して寝室に戻る。


「冷却シートを買ってきたぞ。貼ろうか?」

「ありがとうございます…そういや、どうして麗香さんが…?」

「先ほど電話したのだが、覚えてないか?」

「あー…私、半分寝てるときに人と話しても結構忘れちゃうんですよね…。」

「ふふ、なるほどな。」


私は冷却シートの透明なラップ部分を剥がして□□のおでこに貼ってやる。


「冷たい…。」

「気持ちいいか?」

「ええ、ありがとうございます…。」

「おなかは空いてないか?冷凍のうどんとレトルトのお粥を買ってきておいたんだ。」

「あ、おうどん食べたい…。昨日ほとんど食べ損ねたから…。」

「解った。キッチンを借りて良いか?」

「ええ、刻みネギを冷蔵庫に入れてあるので入れて下さい。」

「ああ。」


私はキッチンを借り、鍋に白だしを入れると火にかける。

料理と言うほどもない。煮たったらうどんを入れて解れるまで待つくらいだ。

□□の言うとおり、冷蔵庫を覗くと刻みネギがタッパーに詰めてある。

丼にうどんを入れ替え、ネギを入れ□□の元に持ってゆく。


「おだしの良い匂いがしますね…。」

「出来合いだぞ?」

「それでもです。」

「まぁ喜んでくれるなら私も嬉しいが。」


大したものを作ったつもりもないので少し気恥ずかしい。


「起きれるか?」

「はい。」


□□はベッドサイドに座ると丼を受け取る。


「食べさせてくれないんですか?」

「うどんでそれは難しいだろう…。」

「冗談のつもりだったんですけど、お粥なら食べさせてくれたんですね…?」


□□はくすりと笑うと、うどんをちゅるちゅると啜る。


「美味しいです。」

「なら良かった。」


お腹がすいていたのだろう。

一心にうどんを啜ってゆく。

□□はペロリと平らげてしまった。


「ごちそうさまでした。」

「かぜ薬はあるか?なければ買ってきたのだが。」

「そこまでしてくれたんですね…。ありがとうございます。」

「気にするな。ほら飲んで。」


私は□□に薬を押しつけ飲ませる。


「にふぁいです、れいふぁさん。(苦いです、麗香さん)」

「しゃべるな、口から粉末が出てくるだろう?」


そうしてやっと薬を飲ませ、また床につかせる。


「後、やってほしいことはあるか?」

「そう…ですね。歌を歌って欲しいです。」

「子守歌か?」

「何でも良いですよ。」


私は頭に浮かんだフレーズの歌を歌う。

□□は楽しそうにしている。


「それから、何かお話もして欲しいです。」

「話か。うーん…。」


最近あった撮影の話をする。

やはり□□は楽しそうに聞いている。


「後、ダンスも見たいですね…。」

「ダンス!?」


どうしてそんなものを見たがるのか、そう思いながらも何とかうるさくない程度に踊ってみる。


「それから、私に都心の一等地を…。」

「お前、私で遊んでるな?」


□□のデコに思い切りデコピンしてやると、てへとした顔をする。


「…後、寝るまで手を握ってて欲しいです。」

「ああ。」


□□が布団から出した手を握ってやる。

小さくて、とても熱い。


「それから、起きるまでここに居て欲しい…ですね…。」

「ああ。もちろん。」

「ふふ、嬉しいなぁ…。」


□□は心底嬉しそうにわらうと目をつむる。


「麗香さん、私ね…、昨晩メッセージには気づいてたんです。でも返す気がしなくて…ごめんなさい。」

「そんな、気にするな。」

「麗香さんにとって、私はただの一友人だと思うと、ちょっと寂しくて…。熱を言い訳にして…」


□□が気になる話の途中でそのまま眠りにつく。

□□が?一友人?

そんなはずはない。そう訂正したくとも夢の中だ。

私はただ□□の手をさすりながら、目を覚ますのを待った。




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