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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
10万pv記念 二部二章 友達
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やるべきこと

麗香視点です。

□□から返信が来ないまま寝た翌朝。

私は肩を落としながら大学へ向かう支度をする。


朝食は、スクランブルエッグにしようか。

そう思い卵を割ろうとするが、力を籠めすぎてクシャッとつぶしてしまう。


「まぁ、どうせ混ぜる。」


自分にそう言い聞かせながら殻を取り除いて焼き始める。

力の加減を間違えるとは。火の加減は間違えないようにしないとな。

そうして火を入れて卵を炒った私は、昨晩のあまりのご飯と醤油を並べ食べ始める。


--なんだかんだ、朝はこれが一番旨い。

そう自負する組み合わせ。醤油と卵とご飯。

卵掛けご飯と違って、固い冷や飯を醤油とスクランブルエッグで食べるのがまた良いのだ。

最後に皿に残った醤油とスクランブルエッグの端をご飯に垂らして食べるまでが良い。


そうして朝食を食べた後、自分の白の服に醤油が跳ねているのを見つける。

--認めよう。今日の私はすこぶる集中を欠いているらしい。


◆ ◇ ◆ ◇


「麗ちゃん、顔が死んでるわよ?」

「ん、あぁ。紫杏か。」


大学の大講堂で授業が始まるのを待っていると、後ろから声を掛けられる。


「そんなにか?」

「むしろ死んでんじゃねえの?ってぐらいだな。」

「龍斗は一生口を塞いでろ。」

「で、何があったの?麗ちゃん。フられた?」

「フられた訳ではないが…メッセージの返信が来ない。」


私は二人にいきさつを説明する。


「おい麗香、そもそもてめえ昨日俺に返信返してねえじゃねえか!」

「麗ちゃんがただ気にしすぎなんじゃない?忙しいときもあるわよ。」

「そうなんだが…普段すぐ返してくれるからどうしても気になってな。」

「麗香、聞いてんのか!」

「龍ちゃん?」

「…後で絶対謝らせてやっからな…。」


ただ、忙しいだけだと思いたい。

でももし何かあって返信をくれないなら理由を知りたい。


「…どうしても気になるなら、電話してみたら?」

「迷惑かなと思ってな。」

「それでも気になるなら仕方ないんじゃない?本当に友人なら苦笑いして許してくれるわよ。」

「そう…だな。」


勘違いだったり、忙しいのなら謝ればいい。

それだけの話だった。

私は昼休みに□□に電話をしてみることにした。


◆ ◇ ◆ ◇


そうして昼休み。

私は龍斗と紫杏が見守ってくれる中、意を決して通話ボタンを押す。

PiPiPiPi....

呼び出しから少し時間が経った。出てくれなかったり、するんだろうか。

せいぜい二分あるかないかだろうに、永遠の様にも感じる。

そんな永い刻は、唐突に終わりを迎える。


『はーい…』

「あ、□□か?今大丈夫か?」

『あー…麗香さん。ちょっと今風邪で寝込んでて…。後日でも良いですかね?』

「風邪か?解った。何か欲しいものはあるか?」

『え?えー…水分が欲しいですね…。』

「水分だな、解った。では後で。」


私は通話を切る。□□が心配だ。


「ということらしい。ちょっとお見舞いに行ってくるから、午後の授業のレジュメは頼んで良いか?」

「麗ちゃん、積極的ねぇ…。」

「有無も言わせねえな…。」

「□□がつらい思いをしているんだ。気にしてる場合ではないだろ?紫杏、何か買って行った方が良いものはあるか?」 

「んー…そうねえ。」


紫杏の言葉をメモしていく。

冷えピタ。スポーツドリンク。ゼリー。冷凍うどんやレトルトのお粥。


「ありがとう。では、行ってくる。」

「ええ、頑張ってね?」

「レジュメは取っといてやるが、勉強は自分でやれよ?」

「龍斗じゃないんだから、読めば解る。」

「最後まで一言多い奴だな…。」


私は二人に別れを告げると、自分の愛車を取りに向かう。

スーパーによって、メモに書いたものを買った後□□の家に向かおう。

場所は以前訪ねたこともあり把握している。

不思議と朝からの集中力の欠如は収まり、やるべきことだけが頭にあった。




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