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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
10万pv記念 二部二章 友達
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麗香の恋愛相談

麗香視点です。

前話で□□が見ていたシーンです。

「相談があるんだ。」


大学で見慣れた男女二人組を見かけ声を掛ける。


「おう、麗香じゃねえか。」

「麗ちゃん、今日は来てたんですね。」


一人は龍斗りょうと。ツンツン頭につり上がった目、私より大きい背と厳つい見た目だが悪い奴ではない。…多少生意気なのが玉に瑕だが。

女性の方は紫杏しあん。丸顔、細目、柔和な笑顔と如何にもおっとりとした可愛らしく優しい女性といった見た目で中身もそのままだ。

二人は同じ施設で育った同級生でもう長い付き合いだ。


龍斗は負けず嫌いで、よく私に突っかかってきた。

私がリシアの情報を得るために色々なことを学ぶようになってからは、競うように勉強を始めたのをよく覚えている。

紫杏はいつもだいたい私たち二人の後ろで張り合う龍斗をニコニコと見つめていた。

よく私と龍斗が勉強していると、夜食を作って持ってきてくれていた。

私がモデルになることを勧めてくれたのも彼女だった。


「んで、相談ってなんだよ?珍しいじゃねえか。」

「せっかくですし、お昼ご飯でも食べながらお話ししましょうか。」

「ああ、そうしよう。」


私たちは学食に場を移し、話を始める。


「実は、その。…好きな人が出来たんだ。」


二人同様にぱちくりと驚きの目でこちらを見る。


「あらあらあら、おめでとう。」

「あのありとあらゆる告白をスルーして相手を泣かせてきた麗香が…。」


確かに、今までそう言った色恋沙汰には全く縁がなかった。

この世界のリシアと会うことだけが頭にあったから、そんなものにかまけている暇はなかった。


「それで、好きな人に好きになってもらうにはどうしたら良いのかなと…。」

「あー…麗ちゃんらしいと言うか…。」

「モテる奴がよく言うぜって感じだがな。」

「でも麗ちゃん、モテるからこそ人に好かれようとすることは無いじゃない。」


そうなのだ。思えば今まで好きな人に振り向いてもらう努力なんてしたことがなかった。

前の世界の時も、リシアから好きってアピールしてもらえて、私はただそれに乗っかっていっただけだ。


「まぁ、まずどんな奴なんだ?聞かせてみろよ。」

「それは私も知りたいな。」

「ああ。そうだな、よく話を聞いてくれる。何を聞いても楽しそうで、よく興味を示してくれる。」

「まぁ、良い奴だな。」

「年は一つ下で、ある程度敬意も払ってくれるが、いたずらには気安くやり返して来たりもする。」

「龍ちゃんと似てるわね。」

「龍斗と一緒にするな。…まぁ、龍斗と会ったら意気投合して私に挑んで来そうだが。」

「良い奴じゃねえか!」


こいつと□□を会わせたら大変めんどくさそうだ。

絶対会わせないでおこう。


「後はそうだな、ちっちゃくて可愛らしい子だ。」

「あら、麗ちゃんは可愛い子好みなのね。」

「やっぱりオトコらしいやつが良いがなあ。」 

「…□□は女だ。」

「「女の子!?」」

「あ、あぁ。」


前の世界でもだったが、まぁ同性が好きというのは一般的ではない。

まだこの世界の方が受け入れられ気味ではあるが、とはいえだ。


「やはり、おかしいだろうか…。」

「まぁ別に良いとは思うがな。」 

「麗ちゃんが好きになったのなら良いんじゃないかな。」


二人が否定しなかったことに少し安堵する。

理解してくれるとは思っていたが、それでも少し不安だったのだ。


「で、どんな子なんだ?見せてみろよ。」

「私も見てみたい。」


龍斗が肩に手を乗せて写真を催促する。

確かスマホに一緒に撮った写真があるはず、とスマホを開こうとするが、画面が一向に着かない。

私はかぶりを振って答える。


「しまった、昨夜充電を忘れていた…。」

「だっせえの!」

「じゃあじゃあ、麗ちゃんとその子で今までどういうことしたの?聞かせて?」


私は紫杏に今までのことをかいつまんで話す。


「…何というか、麗ちゃん。」

「あー、わかるぜ紫杏。」

「何だ?」

「もっと、ライトに女の子っぽいとこから行くべきだったんじゃない?」

「いきなり日帰りキャンプとか岩盤浴とか、攻めすぎだよな…。」

「…そういうものか?」

「ゲームセンターとかはまだいいかもだけど、こうカフェとかでね?お洒落なパンケーキでも食べて…」

「あ、ランチは共にしたぞ。□□の大学の巨大ピザだ。」

「はー…。」

「諦めろ、紫杏。こういう奴だ。」


紫杏と龍斗ががっくり来た顔をしている。

そんなに悪いか?


「ああ、でもこの前夜ビデオ通話もしたんだ。」

「良いじゃない。何話したの?」

「夜のトレーニングを見てもらいながら、効果とかを話した。」 

「はははは、最高だな!」


龍斗が腹を抱えて笑う。

なんだかバカにされてる気がする。 


「□□も楽しんでくれていたぞ。よく質問とかもしてくれて、説明すると興味深く聞いてくれていた。」

「龍ちゃん、これ本当の奴だと思う?」

「怪しいな。麗香なら興味ねえのに気を使って適当に相手されてることに気づいてねえ可能性もある。」

「よねぇ…。ちなみに掛けたのはどちらから?」 

「私だ。」

「龍ちゃん、これ不味いんじゃない?」 

「でもここまでやらかしといて普通の奴なら付き合い続けるか?」

「んー…確かに。」


紫杏と龍斗が何故か疑いを以て相談を始める。

どうにか私はそれを払拭しようとエピソードを探す。


「そ、そうだ!添い寝もしたんだ!岩盤浴の休憩所の半個室で!」


そう説明すると、二人お?といった顔で色々質問してくる。

私はそれに返す。


「龍ちゃん、これ向こうが実は手練れって可能性は…」

「もしくは、完全に意識されてねえってこともあり得るんじゃねえか?」

「あー、脈なし…。」


何故か雰囲気がまた暗転しかける。

どうしてこうなるのか。


「そ、それより!相談は、どうやって好きになってもらうかだ。たとえば紫杏はどうして龍斗を好きになったんだ?」

「私?んー、やっぱり龍ちゃんの優しいとこかな。この前もね…」

「だーっ、やめろ紫杏!」


龍斗が紫杏の口を塞ごうとするのを龍斗の肩を押さえつけて立てないようにしつつ、話の続きを聞く。


「相変わらず紫杏にはデレデレなんだな、龍斗?」

「麗香には言われたくねえよ…。」


がっくりと肩を落とした龍斗をいじると何故かそう返ってくる。


「私には言われたくない?」

「さっきまで好きな子の話してた麗ちゃんも大概そんな感じだったわよ?」

「嘘だろう?」

「諦めろ、麗香。いっでぇ!?てめえ麗香やんのか!?」

「もう、麗ちゃん龍ちゃん暴れないの。」


そういって仲間面して話しかけてくる龍斗の足を全力で踏む。

怒った龍斗と私が掴み合いになりそうになるところをやんわり紫杏が挟まって止める。

いつもの流れだ。


「とりあえず、話は解ったわ。麗ちゃんはまずはその子に好意を知ってもらうところからね。」

「…引かれないだろうか。」

「知らないわよ、そんなの。□□ちゃんと会ったこともないし。でも、そうしないと始まんないわよ?」

「私はどうすればいい?」

「そうね…」


そうして3人で色々な話をしながらアドバイスをまとめる。

□□と同じくらい、かけがえの無い仲間だなと私は噛みしめた。



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