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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
10万pv記念 二部二章 友達
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汗と距離 その1

「まずはこのお茶を飲んで30分ほどのんびりしよう。」


麗香さんが持参してきた水筒から一杯のお茶を注いでくれる。

茶色とは茶の色と書くが、このお茶は赤褐色に近い。

鼻をくすぐるマンゴーの香りと手に伝わる暖かさに違和感を抱きながらもそれを口にした。


◆ ◇ ◆ ◇


始まりは麗香さんを着せかえ人形にしていた時である。


「麗香さんって、本当にスリムで肌が綺麗ですよね。」

「ふふ、ありがとう。」

「あれだけ食べた食べ物は体のどこへ行くんでしょうね…。」

「日々運動を欠かさず行って居るからな。」


それだけで済む問題なのだろうか。あの量は。

麗香のくびれた美しいウエストに目をやる。

世の中は不公平だ。 


「肌ケアって、どんなことをされているんですかね。」


本当に艶やかなその肌を見て、私も可能な限り真似できたらなと思って聞いてみる。 


「そうだな、私は元々肌が白めで焼けやすいから美容液にはuvカットメインの物を使っている。それから化粧水と乳液はライン使いしているから、後で紹介しようか。」

「そう言うのあまり詳しくないので、教えてもらえると助かります。」

「任せろ。ワシの全てをお主に伝授して進ぜよう!」


なぜかキメ顔で芝居がかったセリフを吐く麗香さんをスルーして服を渡す。


「じゃあ、次はこれを着てください。」

「うう、まだやるのか…?」 

「私が着た倍くらいはやりたいなと。」


絶望だと言わんばかりに落ち込んだ顔をしてみせる麗香さんをスルーして私は服を選びに戻った。


◆ ◇ ◆ ◇


「コレとコレは試してみたが、低刺激だが薄い。重ねづけしないとダメだ。こっちは良いんだが、私の普段使いの下地と相性が悪くて剥げてしまう。他のものを使っているなら良いかもしれない。それからあっちは--」


麗香さんが一本一本熱く語るのを横で聞く。

どうやら美容オタクだったらしい。

普段よく私の話を聞いてもらってる分、しっかりと聞く。

結局、勧められるがまま新しい化粧水と乳液を購入した。


「麗香さんって、それくらい普段美容に力を入れてるんですね。モデルさんとしてのプロ意識ですか?」

「それもあるな。やるからには真剣に。ただ、一番は――」

「一番は?」

「□□に綺麗って言ってもらいたいからかな?」

「はぁ。そうですか。」


ばちこーんと音がしそうなウインクを決めるのをスルーし、塩対応する。

これくらいの対応でないと、メンタル的にこちらが保たない。推しの顔でやられると。


「ああ、後美容習慣でやっていることと言えば岩盤浴と薬膳茶かな?」

「何だか難しそうですね。」

「そうでもない。良ければ次の休みに一度いかないか?」


◆ ◇ ◆ ◇


こうして麗香さんに連れられて岩盤浴にやってきた私。

館内着に着替え、今麗香さんに差し出されたお茶を啜っている。


「マンゴーの香りがするのに無糖なのが違和感ありますね。」

「ああ、確かに。舌が自然と糖分を探すよな。」

「ですね。慣れてくれば美味しい紅茶なんでしょうけど。」

「まぁ、お察しの通りマンゴーティーのブラックだ。タンニンとカフェインが多めに入っている。」

「どうして岩盤浴の前に飲むんですか?」

「タンニン、カフェインともに脂肪を燃焼させやすい。水分補給が一番の理由だがな。」

「なるほど…。」


しっかり理由があって、このお茶が出ているのだと思うとなかなか興味深い。

また少しずつ無糖と言うことになれてくると、マンゴーの良い香りと紅茶の渋みが味わい深いものに感じられてくるのだった。



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