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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
とある年末年始編
149/321

とある元日 その2

年明けすぐの路上。

いつもの人気のない夜の街、ではなくそこかしこに人が歩いている。

元日ならではの光景といった感じだ。


「みんな初詣にいかれるんですかねえ。」

「そうじゃないか?なんであれ、敬虔深いというのは良いことだな。」

「お姉さまってそんなタイプでしたっけ?」

「ん、ああ。まぁな。リシアと引き合わせてくれた神には感謝している。」

「なるほど。そういう考え方もあるかもしれませんね。」


私とお姉さまが出会ったのは神のおかげ。

そういう解釈もあるかもしれないな。

だけど、お姉さまが言う神とはどの宗教なのだろう?

何か、思い出しそうな。


「見ろ、夜店があるぞ?」

「本当ですね。何か買われますか?」

「先ほどそばを食べたばかりだし、デザートにベビーカステラが良いな。リシアも食べるか?」

「たくさんは入らなさそうなので、少しだけいただきます。」

「わかった、お兄さん1000円の奴を一つ!」


あいよっと元気よく夜店のお兄さんは焼き置きのカステラを袋に詰めていく。

元日深夜、寒い中ここまで明るくやれるのもすごいものだ。


「ふふ、美人さんだからとたくさん入れてくれたぞ!」

「ええ、良かったですね。」


お姉さまはカステラの詰まった大人気アニメの大袋を機嫌よく片手に持ち、ふんふんと鼻歌を歌いながらカステラを口に放り込んでゆく。

その様は非常に可愛らしい。


「お姉さま?」


不意に固まったお姉さま。どうしたのだろうか?


「危ない危ない。もう少しで一人で食べてしまうところだ。ほら、リシア。あーん。」


お姉さまはカステラを一つ袋から取り出し、指先に摘まむと笑顔で私に差し出す。

ここはまだ神社からそれなりにあるとはいえ、夜店も出ているような人通りの多い道のど真ん中だ。


「お、お姉さま、一人で食べれますから…。」


さすがの気恥ずかしさに断ってみたものの、お姉さまは意に介することもなくカステラを差し出したまま、笑顔でこちらを見つめてくる。

その様子に断りきれないものを感じた私は、仕方なくそのカステラを口に含む。

恥ずかしさに顔が火照るのがわかる。


「美味しいだろ?」

「あ、甘いですね。」

「そうか?私はちょっと薄味だがこれはこれで上品で良いなと思っていたが。」

「そ、それはお姉さまが甘味ジャンキーだからですよっ」


別にお姉さまに食べさせられたから甘かった、というわけではけしてない。




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