信じる
エドワードの追及を聞いていると、よくわからない部分もあるが、お姉さまがやったのではないか、そう思えてくる。
それでも。
「私はお姉さまを信じます。」
それでも私は信じたい。ゲームのレベッカではなく、私のお姉さまは、そんなことをするような人じゃない。
短い間でも見てきたじゃないか。私はお姉さまを。
「信じて、くれるのか?」
「ええ、もちろんです。お姉さまは私のお姉さまじゃないですか。」
「今までの僕の推測を聞いてもまだそう思うの?」
「推測は推測ですから。私は私の見てきたものを大切にしたい。」
「そうか、なら僕から言うことはもうない。」
そんな話をしているとお姉さまは何か意を決したように、一歩前に踏み出して深く息を吸って--
「いいか!みんなよく聞け!リシアは、リシア・エヴァンス子爵令嬢は、今日この時より、真に私の妹だ。例え血が繋がっていなくとも!誰が何と異論を挟もうと!彼女は私の妹だ。そして、私は妹に手を出す者に容赦はしないし、必ず妹を守る。いいな?」
威風堂々と立って、遠くまで通るようなはっきりとした声で宣言をするお姉さま。素敵です。
しかしリシアがお姉さまの妹かあ。って、え?
「シンシア、お前もだ。お前は私のためを思ってやってくれたのかもしれない。納得が行かぬこともあるだろう。だとしても、今後リシアに手を出すことは禁ずる。たとえ如何なる理由があろうともだ。」
「…はい。申し訳ありません。」
え、お姉さまが??私を??必ず??守る??
「リシア、辛い思いをさせたな。本当にすまなかった。」
「い、いえ、お気になさることは…というか妹って…」
「ああ、今日からリシアは私の妹だ。…一方的で嫌だったか…?」
「そんなことはありません!ただ、その、嬉しくて理解が追いつかなくて…」
「そうか。同じ思いで私も嬉しいよ。」
「お姉さま…」
幸せで死にそうなんですが。ここは天国か…?いや現実世界から魂だけ来てるとしたら天国でいいのかもしれない…
「シンシアの件だが、彼女に代わって私がしかるべきお詫びをしたい。私に出来ることなら何でもしよう。だから、許してやってくれないか?」
「あっ、はい、というか責めてももう課題は返ってきませんし…あっ!?でも明日までに間に合わない!?」
ゲームだともう少し早いタイミングで課題が終わってるから、何とか取り返しがついた。
でもさすがに明日は無理だ、このままじゃ私一つ下の学年に…お姉さまと離れ離れに…
「それなんだがな、ここに私のやった同じ課題がある。自身で努力して解いたものには代えられないし、これのみを詫びとするつもりは無いが、当座これを提出することで何とかなるのではないか?」
「え、何で同じものが…」
「ああ、リシアは知らなかったのか。実はな、私も学園は一年目だ。リシアと一緒なんだ。」
「えっ、えーーーっ!?」