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焔の魔法  作者: 有賀智樹
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すれ違いの心

「おはよう、黒原、東雲」


「おはよう」


「おはようございます」


挨拶を返した黒原と東雲はともに嫌な気持ちを感じ取っていた。最近はほとんど一緒にいた黒原と東雲だからこそわかる違和感だった。


「どうした、なんか顔が暗いぞ」


「別になんでもない気にしないで」


一瞬キョトンとした朝日だったがすぐいつもの調子で話始めた。この時の朝日には質問をされたくないそのプレッシャーを異常に感じだ。


いつものように、授業を受け図書館に行き私は友達(?)と仲良く過ごした。少しきごちなさはあれどこれが友達かと思い込んだ。このぬるま湯にずっと浸かっていたいそんな気分にされた。


 放課後私は一人で校舎に忘れ物を取りに来ていた。そこで複数人の集団が私の机を囲んでいる、どうせ悪戯をするつもりだろう。今すぐ魔法で凍らせようとして近づいた。だが彼ら囲んでいた椅子は私の席のさらに奥、朝日の席だった。友達(?)の机に悪戯しようとしてる奴を見逃すはずがない。


「おい、あんた達何してんの」


「やべえ」


「どうすんだよ光屋」


その悪戯の主犯格である光屋に目線は集中していた。光屋は余裕のある表情を崩さなかった。そして東雲に向かって言った。


「何をしてるかって、朝日の許可を取ってやってるだけさ」


「何言ってんのそんなのがとあるわけないでしょ」


「いいや言われたね、朝日が俺に東雲の代わりに俺をいじめてくれって頼んできたんだよ」


ここまでの朝日の不審な行動に全て理由がついた。異様に私達といる時抜け出すことが多かった。それは気づかれないように掃除などをしていたのだと分かる。朝日は私の言動が招いたことを、肩代わりしてくれたということも。だが東雲から出た言葉は朝日への感謝でもなく、光屋達への怒りでもなかった。


「朝日ぶっ潰す」


 その言葉に光屋達は自分達が潰されると思い込み、目をつぶった。だが東雲はそれを意にも返さず走り去った。東雲は朝日に言いたいことを言うために走った。


「随分早かったな東雲、そんな走って来なくても良かったのによ」


「東雲さん息が切れてますよ、ほら深呼吸」


「黒原少し静かにしてて」


東雲の異常な気迫に黒原は黙らざるを得なかった。


「ねえ朝日、私がいじめられないように庇ってくれたの」


朝日は、一瞬身体を硬直させたがすぐに戻り東雲に返事をする。


「聞いちまったみたいだな」


朝日は笑って喋った。出来るだけふざけてるように見えるように、悲壮感を漂わせないように、今までのことを全部話した。朝日は分かっていた自分が酷いことをしていることもだが彼にはこれしかやり方が無かった自分が悪者になることが彼の最善な解決案だった。このまま二人と離れてしまえば二人は楽しく学園生活を送れるから。だが彼女達二人の表情は自分が思っていた、落胆でもなく、怒りでもない。


「朝日、ごめんね」


「何で謝るんだ、俺はお前たちを裏切ったんだよ、騙してた違うか。お前達は俺にとってなんの信頼もおける仲じゃなかったただそれだけだ」


何で悲しそうな顔をするんだ東雲。何でそんな優しい目をしてるんだ黒原。意味が分からない、この思考に飛んだ瞬間、朝日は向き合うのが怖くて背を向けて歩いて行った。


「朝日くんまた明日学校で」


そんな呑気な黒原の声が聞こえた、だが俺は振り返らない、ここで振り返ったら決心が揺らぐから。

















毎日投稿は、きついですが何とかやって来ます。止まったら終わっちゃいそうなんで。

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