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焔の魔法  作者: 有賀智樹
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嫌よ嫌よも好きのうち

遅れてしまってすいません。今後もこのような時間になると思いますのでご容赦ください。

 前回の猫探しから数日後いつものように俺は黒原一緒に図書館にいた。ここ数日いつも東雲のことを考えていた。別に好きになったとかではない。ただ、あのミッション以降嫌いという感情の他に尊敬というものを抱いたというだけだ。


「……さひ……あ……くん……朝日くん! 」


「あっ、悪いどうした黒原」


「いえ、朝日くんが最近よく心ここに在らずという感じなので」


「そんなことはないはずだが」


「いえ、最近はよく私の話を無視したりしてますからね」


「悪い悪いそんな気は無かったんだよ」


「悩みがあるなら話してくれてもいいですよ、友達ですからね」


図書館で友達とお互いが認め合ってからは、友達という響きがとても良かったのかこんな感じに使う。友達という言葉を使うたびに目が輝いているのは気のせいだろうか。


「別に悩みってほどじゃないがな、すごい人を見ちまうとさ、不安になるんだよな」


「すごい人って東雲さんのことですか」


「よく分かったな」


「いつも東雲さんのことばかり見てますからね」


「そんなことは無いと思うがな」


「私は良いことだと思いますよ、朝日くんに自分を変えたいという向上心があったということなんですから」


「まあ、そういうことにしとく」


 今日はまたミッションだということで席を立つ今日は組織の破壊といっても弱小の部類の奴らなのだが、これでよく命を落とす学生は多い。


「またお前か」


「それはあたしのセリフなんだけど」


あの後のミッションで俺は東雲と被り続けていた。皮肉なことにこいつ性格以外は相性バッチリのようでほとんど同じものをとっていた。


「とにかく今回は足は引っ張らないでね」


「分かってるよ」


そして俺たちは足早に組織のアジトへと向かった。こいつの独断先行をいつも補佐してるのは俺であってそれを言いたかったが100倍で返される気がしたのでやめた。




 「はっはっ、やっぱり弱え奴らから金を奪うのはいい気分だな」

 

「全くですよアニキこんなにいい稼ぎならもっと早くやっとくべきでしたね」



ルークとザッコこの二人はこの山犬団のリーダーとその補佐である。ルーク単純な力に優れザッコは中々頭が回った。今は前回襲った町での戦利品を見ていた、今回で2度目の犯行ではあるが、前回よりも今回が簡単にいったことで自信をつけているのだ、総勢40人という規模までになった山犬団は、負けないそういう自信が、だがこの数分後この自信は打ち砕かれることになる。


「おいザッコちょっと寒くねえか」


「おいお前たち空調を見てこい、効きすぎてるかもしれないからな」


「……………………」


「おい何で誰も返事しねえんだよ」


怒ったザッコはメンバーのいる部屋を覗いた。そこには凍ってしまったメンバーがいた。


「ルークさんやばいです対魔人がどこか……」


「おい、ザッコ」


急に返事の止まった部下を見てルークは改めて今のヤバさを再認識した。


「どこからでもかかって来やがれ」


そういったルークの目の前に立っていた青髪のショートヘアのは綺麗な女だった。急に現れた女に驚いたルークは、半狂乱になりながら女に突っ込む。


「死にやがれーーーー」


「氷魔法、凍える星」


ルークが気を失う前に見た最後のものは恐怖を覚えるような微笑をしている女の顔だった。


 事件はものすごく呆気なく終了し、俺がやったことは雑魚兵の捕獲と警察への身柄引き渡しの電話だけだった。ここまで戦闘を頑なにやりたがる東雲に俺は疑問を感じていた。


 俺たちは帰り道を言葉を発さずに歩く。そこで俺は口を開く。


「何でお前は一人で戦いたがるんだ?」


「あたし以外みんな弱いからよ」


俺はこの言葉を聞いて何故かこいつのことをほっとけなくなった。何故ならこの言葉は、あまり関わってない俺でも分かるぐらい震えていたから。思えばこいつのことを何も考えてやれていなかったという事に気づいた瞬間だった。


「次にあたしからも質問していい」


「何だよ?」


そうすると、東雲は顔を赤くしてもじもじとしだした。


「と、と、友達の作り方教えてよ」


「はあ?」


「だから友達の作り方教えてよ」


「いや分かってるよ、だがな、何故友達の少ない俺に聞く?」


「だって、だって、一番友達って感じがしたから」


「わけが分からん」


「あんたと黒原さん、なんか言葉で言い表すと難しいけど、一番心で繋がってるって感じがするの」


少し俺は考えて俺は東雲に答えを出す。


「本音を言い合える仲これが友達なんじゃねえかなと俺は思う」


「えっ、じゃあ、あんたとあたしは友達ってこと嫌なんだけど」


「なぜそうなる、まあ今の理論でいけばそうだけどな」


俺は今東雲に対する怒りはなかった。何故なら今のセリフまるで友達に言う冗談のようだったから。


「じゃあ俺は友達一号かよろしくな東雲」


「認めてないっての、まあ友達一号(仮)にしてあげるわ」


「それは、光栄だ」


東雲の顔は今まで見たどの時よりも輝いていた気がした。今の俺には東雲への嫌悪感は全くなかった。









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