愛という名の星に誓って
俺も疲れている。だけど感想くらい聞いてやらないこともない。うるうる。感想待ってるぜ。
あなたは絶望しているはずだ。
なぜならあなたの周りには嘘をつく人間しかいないから。
今日もあなたは救いを求めているはずだ。
真実に、真実の愛だけを持つ男の存在を知らないばかりにあなたは虚ろな陽炎に声をかける。
そして、嘘の愛にすがり傷つき涙を流すだけの日々。
いつしかあなたは人を愛する感情を忘れ、手当たり次第に人々に疑いの眼差しを投げかける。
本当の自分はこんなんじゃない。
違う。違う。違う。
だけど時間が経過するにつれて誰も信じられなくなってしまう。
いつしか世界は闇に閉ざされてあなたの瞳からは光が失われてしまうだろう。
たった一つ、たった一つでいいんだ。
自分が知りたい真実は最初からたった一つ真実の愛を見つけ出して救われること。
だけど辛いだけの毎日がそんなものはこの世に存在しないことを証明する。
なんて残酷な方程式。
悲しいのに、数学的思考がゼロにゼロをかけてもゼロにしかならないことを証明してしまうんだ。
なんて残酷で正しいだけの世界。
こんな世界に生まれて来なければ良かったと枕とベッドを涙で濡らす日々。
もう愛という言葉の定義さえ忘れてしまいそうだよ。
「誰も信じられない。もう生きていたくない。こんなに辛いなら、こんなに苦しいならせめて偽りの愛でもいい。どうか救いを」
闇に身をゆだねようとした時に、傷ついた私の身体を抱きとめる力強く、優しい手。
ピンク色の分厚い唇。
常に眉間にしわを寄せ、飽くなき欲望でドブ沼のように濁った黒い瞳。
「ああ!あなたは、あなたこそはふじわらしのぶ様!」
しのぶ様は豚骨スープで有名なラーメン店の調理場の排気口から漂う悪臭を放ちながら、傷ついた私の心と体を抱きとめる。
「臭ッ!!」
何ともいえない真夏の台所の三角コーナーのような匂いに包まれて私はこの世の地獄を知る。
「私以外はみんな嘘つき、詐欺師。明日から私の言葉だけを信じるのです。ちなみに今、私はトイレでウンコをしてきたのですが手を洗っていません」
傷ついた私の背中で手を拭くふじわらしのぶ様。
「私はタオルではありません!止めてください!」
泣き叫ぶ私の前で「ぶほう!!」と号砲のような音が。
次第に私の鼻腔から毒のような悪臭が入り込んでくる。
この豚野郎!屁えこきやがった!!絶対殺す!
その時、ふじわらしのぶ様の脂ぎっているだけの太い手が私の背中に回される。
「ああ、これはまさか!!」
「ベア・ハッグ。もう逃げられんよ」
ミシミシミシ。数分後、私は絶命した。
真実の愛を知ることは出来なかったけど。
私の人生は愛にふれることで満たされた。
やはりこの世に生まれたことは間違いではなかったのだ。
お父さん、お母さん、私を産んでくれて育ててくれてありがとう。
そしてふじわらしのぶ様、本当にありがとう。
と胴体を真ん中らへし折られた死体の前でふじわらしのぶは用意しておいた遺書を置いて行くのであった。
「ぐへへへへ。人を信じるなんて馬鹿のすることだぜえええ」