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 GGL 第三回『コロシアム』選手情報 -GGL wiki-


《戦う鍛冶師ハバトのアビリティについての考察》 編集者:Anonymous


 彼のアビリティが何なのかは現時点では不明である。

 ただし、これまでの試合から提案されているアビリティの中で最有力なのは「生産系の【加熱(Heat)】」である。


 ハバトが一番初めに【加熱】を使ったのは二試合目の「冷熱衝撃」の際である。しかし、今は亡きクランズのバスターソードが一体何製であったかは不明であるため、詳しい熱膨張係数等データが得られない。具体的にどれだけの熱量がハバトの使用した【加熱】で与えられたのかは不明である。

 また、【加熱】を使っていた際に、ハバトの肩にバスターソードの刃が当たっており、ダメージによるHPの減りとスキルによるHPの減りが区別できず、冷熱衝撃の時の【加熱】がアビリティかスキルかの判別ができない。ただ、記録映像から【冷却】の指輪は確認されたが、【加熱】の指輪が確認されていないため、これを根拠にアビリティであると主張する者もいた。


 一方、三試合目のバムンの大斧は鋼鉄であると、素材が明らかになっている。これを信じて、ハバトの言う“割れやすい”結晶構造の温度に達するまで「マジックスキルの【加熱】」を用いて熱すると、目標の温度に達するまでに時間がかかりすぎた。ハバトの使った【加熱】と比べて火力が足りなかったのだ。これに関して不正工作が行われたという者もいたが、そのタネはすぐに明らかになった。生産系スキルにも【加熱】があったのだ。そして、マスタースミスレベルの「生産系の【加熱】」の火力ならハバトの武器破壊を再現できた。また、結晶構造を把握するために鉄の温度を正確に知る必要があるので「温度測定」がアビリティであるという説も出ているが、あまり支持されていない。さらにとある鍛冶師によると温度の計測はマスタースミスにもなれば勘でわかるらしい。


 一番支持されている説にもまだ疑問点がある。生産系の【加熱】は赤いライトエフェクトが割り振られている。そして三試合目の最後、バムンが握って火傷ダメージを受けたあのナックルダスターは高温状態にあったはずだ。だが、あのナックルダスターが【加熱】され、赤いライトエフェクトに包まれた場面は記録映像にはなかった。

 このようにまだハバトのアビリティが【加熱】であるとは断定できない。

 くれぐれもこの記事を読んで【加熱】であると思い込んでしまうことのないように注意してもらいたい。





**





【Recorded Dialogue No.1229】


 GGL内のNPCが運営する喫茶店。その端のボックス席の目の前に落ち着いた髪色をした女性(female)プレイヤー、ミレナ。派手すぎることはなく適度に華やかなファッションが彼女の気質を表している。


「・・・と、まぁ、以上が四試合目の作戦なんだけど」


 話を終え、グァバとシークァーサーで作ったドリンクを傾ける。レモネードに近い味だ。

 内容を咀嚼したミレナはオッケーと言う代わりに、


「そろそろあなたのこと伊奈帆って呼びたくなってきたわ」

「それは光栄なことだけど、畏れ多いから止めていて欲しい」


 苦笑しながらグラスを置き、


「それで、この作戦を実行するにあたっていくつか用意して欲しい物があるんだ」


 左手の人差し指と中指を揃えて縦に振る。

 シャランッ

 鈴のようなSEとともに白いウィンドウが宙に開く。キーボードを高速で叩き、テキストメッセージをミレナに送った。

 ミレナは片手にコーヒーに口をつけながらウィンドウを開き、受け取ったメッセージを読む。


「へぇ、衣装を一から作り直すんだ。柄も指定してある」

「なかなか気合いが入ってるだろ」

「うん。暑いわね」


 そう言ってミレナはカップにフゥと息を吹きかけた。

 それアイスコーヒーじゃなかったか?


「衣装作りを依頼をしておけば良いのね?」

「ああ、頼む。あと、服以外のこまごましたアイテムがあるが、多分これは彼の方が早く用意できるだろ」

「そうね。こういう資源系は彼の方がツテがありそう。にしても・・・」

「なんだ?」

「花咲か爺さんみたいになりそうね」

「まぁ、撒くのは灰じゃないけどな。じゃ、俺も次の試合の準備があるし後は頼んだ」

「頼まれました」

「あ、一応、ネットで珍しい気象現象とか災害とかをさらっとでもいいから見ておくように言っといて」


 そう言って喫茶店をあとにした。


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