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 開幕 ~オープニング~


オープニング


ワタシは、待っている。

昨日も、今日も、明日も、毎日待ち続けている。

この、狂った壊れた世界を終わらせてくれる人を。


白ウサギは今日も、時間に追われている。

通りかかった白ウサギに、声をかける。

「やあ、白ウサギ。今日も女王様のところかい」

「その通りさ」

「時間に正確なキミなら、今が何時か分かるだろ」

ワタシがそう尋ねると、白ウサギは懐から目覚まし時計を取り出した。

「16時37分だね。おっと!このままでは、女王様の元に遅刻をしてしまう」

白ウサギは時間を告げ、走り去っていく。

「そうか・・・もう、そんな時間になるのか」

だったら、今日はもう来てくれないかもしれない。

あの人は決まって、あの時間に来る。

だからといって、今日も待つことは止めない。

ただ、場所を変えてみよう。

ワタシは、そう思い指を鳴らす。


そこに居るのは、狂った双子。

「やあ。こんな何も無いところで、何をしてるんだい」

「わたし」

「たちは」

「何を」

「してるの」

双子に話し掛けなければ、よかったと後悔をした。

尋ねたのに、こちらに尋ね返されるとは思わなかった。

「何をしてたか、尋ねたのはワタシだ。何をしていたかワタシに尋ねても答えは無い」

「じゃあ、」

「わたし」

「たちは」

「何を」

「して」

「た?」

『何をしてた?』と、問われても解らないからワタシは尋ねたのだ。

「わたし」

「たちは」

「何を」

「しーー」

「ーーー」

双子は話の、問の解答が来るまで、リピート再生のように話続けた。

狂った双子とは、いつも会話は成り立たない。

ワタシは双子を無視して、指を鳴らす。


場所は変わる。

イカレタ帽子屋が居る場所へと。

「おや、君が来るのは珍しいね」

「まぁね。今日もキミは、お茶会かい」

「毎日欠かせない、3時のティータイムさ」

そう帽子屋は言い、ポケットから懐中時計を取り出し時間を見る。時針も分針も秒針も、ピッタリ3時で止まった時計。

「まだ3時だ。ティータイムを愉しもうではないか!」

「キミの時計は、いつでも3時のままだろ」

「君もお茶していくかい」

帽子屋はティーポットを掲げ、お茶の用意をしだす。

「やめておくよ。止まった時間を繰り返すのは」

「そうかい」

帽子屋は愉快に笑い、鼻歌を歌いティーカップにお茶を注ぐ。

ワタシは三度指を鳴らす。


最初の、白ウサギと会った場所に戻ってきた。

遠くに見える城からは、

「打ち首ぃ」

と、女王の声が聞こえてくる。

相変わらず、女王は打ち首がお好きなようだ。

そして、相変わらず狂い壊れている。

はてさて、白ウサギから聞いた時間からどれだけの時間が過ぎただろうか。

何時間、何十時間。それとも何日か過ぎたのか。

いやまだ数十分、数分しか過ぎていないのかもしれない。

今日も結局、いつもの場所で待ちぼうけ。

始まりの場所で、待ちぼうけ。

いつもあの人がーー彼女が来る場所で。

いつになったら、彼女は来てくれるのだろうか。

早く来て、この狂った壊れた世界を終わらせてくれーーアリス。


皆さん、こんにちは。

shian-fileです。

今回で3作品目の投稿です。

前作読んでいただいた方は、ありがとうございます。

今作はシリーズで書いている作品の開幕。

よく言うプロローグです。

この後の物語を綴っていくので楽しみにしてください。

自然消滅させる予定は無いので。

では、この次また会いましょう。

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