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『ミッドサマー・ロストハート』~心を失った悪魔の王を「愛する」ための方法~  作者: 水森已愛
第1章 ((everyday is Heaven.)) ……それは、騒がしくも愛しい日常。
2/60

(( ‐Ever Dream‐ ))  ~そして、<欲望の主(あくま)>はかく騙りき~


挿絵(By みてみん)

イラスト Nicolaさん(@Nicola nn)

加工 Reo.




 

 さあさあ諸君、楽しいゲームはいかがかな? 心臓が腐り落ちるぐらい、甘い夢<ナイトメア>をみたくない?

……え? 私が誰かって? 嫌だなあ、もう忘れちゃったの?


――あはは! そうだよ! 大正解!!


「賢い」君に。無慈悲で残酷な現実に、狂いそうなほど飢え乾く君に! とっておきの贈り物<ネバーランド>を贈ろう!

 ねえ、ここに来れば、薄汚い大人にならなくてすむ。永遠の若さ、美しさ……富を保証してあげよう。


 働かなくていい。想い人はキミのものに。お菓子・ゲーム買い放題。うるさい大人もいない。

 盗み、強姦、殺人? ――どうぞどうぞ、ご自由に!!


 ……さあ、物語をはじめよう!

 御伽話<フェアリーテイル>? 童話<グリム>? いやいや、ここはそう、約束の地<エデン>だよ――。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 あの日、オレのカラダは変化した。すべては、シナリオ通りだった。


 恋とか、愛とか、運命とか、宿命とか。その頃のオレはすべてわかった気でいて、実際は何もわかっちゃいなかった。そして今、新しい扉が開かれ、真夏の悪夢<ナイトメア>がオレ達をいざなおうとしていた。


 あの頃のオレはガキで、永遠なんてモノを信じていた。

 変わるモノと、変わらないモノ。

 

 天秤てんびんは傾き、門は開く。喪失そうしつの縦糸と、絶望の横糸。

 騒がしくも愛しい日常は破壊され、信じていた存在に心臓ごと引き裂かれ……<裏切りの物語>は、再び繰り返される。


――なあ、××。それでもオレは、信じているんだ。


 目に見えない、証明できない、突飛な夢物語<フェアリーテイル>を。ご都合主義の妄想<グリム>で、バカな囚人の描いた空想庭園<エデン>めいた、それを。

 誰もが、こいねがい、乞い願い、恋願う、その、<たったひとつの奇跡>を。


 これは、心臓を失ったオレが<真実の愛>を知り……心を失ったお前が<幸福な夢>をみつけ、そして、真夏の微熱に心を奪われたあいつが<永遠の愛>をはじめる物語だ。


 泣き叫び、怒り狂い、苦しみもだえて。慟哭どうこくと絶望と失望の果てに。

 オレはやっと、お前を、お前だけをみつけたんだ。



――なあ、××。だから今、そんなお前に言うよ。何度だって、誓ってやる。

……だから、もう泣くなよ。


 たとえお前がオレを憎んで、すべてをむしり取り魂ごと喰らおうと嗤う「悪魔ばけもの」だったとしても。


 

 ((  お前はオレにとって……、世界にたったひとりの…………。))



挿絵(By みてみん)



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