放課後です
この学校の学年は、全部で六学年まである。
私たちはまだぴちぴちの一年生でこれから頑張らなくちゃいけないんだけど、一年生はやっぱり基礎授業が多くて頭に詰め込むことが沢山ある。
そのためにこの学校の図書館も充実していて、結構大きい。
別塔としてあるくらいだからね。
図書館の前に立って上を仰ぎ見ても、屋根が見えないくらいに高い。
寮まで行ってみると、ようやくその全長がわかるくらいだ。
魔法学校ならではの図書館の内装は、円状に積み立てられた本棚に宙に浮いたまま動く梯子。もちろん宙に浮いてるのは梯子だけじゃなくて、本も人も飛んでる。
ノートとペンが飛んできたのには驚いたな。どうも上のほうにいた先輩が書き移すことがあったから飛ばしてきたみたいなんだけど、危うくペンが刺さるところだった。
というよりも、飛んでるときにぶつかったりしそうだな……。
私はまだ空を飛ぶ授業を受けてないから飛べないんだけど、先輩たちはびゅんびゅんと飛び回って見えないくらいの高さにある本だって一人で取りに行っちゃうんだよなぁ。
私たち一年生や、飛ぶ事に慣れてない人たちは、もちろん図書館を自由に飛び回る梯子に乗って取りに行かなくちゃならないんだけど、これがなんだか危なっかしくてたまんない。
たまに古い梯子とか、ちょっと気まぐれなのに乗っちゃったりしたときなんか、何処に行くかわかったもんじゃないから大変。
前に気まぐれな梯子に乗っちゃった人が、中々下に下りてくれなくて何時間も上の方に取り残されたりとかしちゃったらしいんだよねぇ……。それだけは勘弁してほしい。そんなことになったら、自力で何とかしようとしちゃいそうになるもんなぁ。
それだけは危ないからやめとくようにって、最初にここに案内されたときに言われたんだけど、やっぱり先生たちも大変なんだなぁって思った。
何せ自力で降りようとした学生が本棚から落ちて、空中飛行してた人たちの上に落ちたりなんだりで大惨事になったらしい。
迷惑掛けるくらいなら、じっとしてた方がいいのかな。
取り敢えず借りたい本は見つけられたし、梯子にお願いして下に降りちゃいましょう。
そうお願いしてひとっ飛び。
今のところまともな梯子に乗っているので、今日も無事地上に着陸!
さて、手続きをして寮に帰ろう。
寮に帰る途中で、今まで習った薬草学の復習ついでに学校の森のような庭を散策。
きょろきょろとあたりを見回しながら、本を片手に歩き回る。
自分が飛ぶなんてことはまだだけど、身近なものを飛ばすくらいなら少し出来るようになった。
持続時間があまり長くないでので本は片手に持っているけど、気になる薬草を見つけて確認した後、簡単に収穫しちゃう。その時にひらりと使えるのが、楽しくてたまらない。
普段体を動かすことしかやって来なかったから、実際に魔法を使うことが楽しくて嬉しくて。
簡単な魔法なら学校に行かなくても使えるようにはなるんだけど、所詮子どもの浅知恵程度のもの。やっぱりしっかり習って身につけてこそなの。
収穫した薬草は、これまた便利なことに学校の敷地内にあるマーケットタウンの薬草を取り扱っているお店でお金と換金してもらう事が出来るから、そこに持って行ってちょっとしたお小遣い稼ぎ。
そのうち必要になってくると思うし、私だって少しくらい欲しいものがあるからね。
その時のためにちょっとずつ貯めていかなくちゃ!
薬草袋が一杯になったところで復習含め収穫終了。
さてさて寮で今日の疲れをゆっくりととるとしようかな。
一人一部屋、バス、トイレ付の部屋は、生徒数が少ないだけに部屋が広くえらく豪華。
あまりごちゃごちゃしているのを好まない私の部屋は、シックに無彩色でまとめてみました。
あっても茶色とか、アンテイークな物ばかり。
うん、自分でも大好きな部屋だ。
一見何も無さそうだけど、そこは女の子。
ちょっとした小物とかもあって、何もないわけではない。
これまた広いバスタブでゆっくりと汚れを洗い流して、バフンとベッドに飛び込むのが最近のお気に入り。
家から一緒に連れてきた一メートルは有に超えるくまのぬいぐるみを抱きしめて、コロンと転がってみる。
ふかふかの広いベッドはスプリングがよく効いてて楽しい。
ある程度のんびりした後に、食堂へと向かう。この時はもちろん私服に着替えて。
あまり寮で制服着てる人は見かけない。
やっぱり学校に行くときと帰って来たときだけ。
けじめをつけると、制服を着た時の心積りがピシッと整うの。
その時の空気が好き。
頑張るぞってなるから。
さてさて今日は何を食べようかな?
誤字訂正しました。
指摘してくださった方、ありがとうございます<(_ _)>