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授業、始りました

さぁ、入学式も終わり、数日後。

教室ではみんな楽しそうに笑ってる。


実は、通常魔法を使えるかどうかはその人の才能なので、才能があれば、この学校に入学できることになっている。

けれどもその才能を持って生まれてくる子が、そう簡単にはいない。

毎年ホワイト、ブラック共に一クラス三十人前後。

で、それぞれ一クラスずつ。

つまり六十人前後しかいない。

だから、学科が違うとはいえ、基礎魔法は同じことを習うし使う。

つまり一学年は二クラス同時に授業を行うこともしばしば。

先生たちもその方が楽なのよねぇ。

なんて言って笑っている。


私はというと、なぜかクラスで問題発生。

入学式の日に、クラスメイトの男の子たちに喧嘩をフッかけられてしまった。

まぁ、そんなものはシカトが一番。

昔から君子危うきの近寄らずって言うでしょ?

そんな訳で一瞥しただけで何の反応も見せないでいたら、いつの間にかクラスから一人の残されている状態となってしまっていた。

あれ?と思った時には既に遅く、誰も私に近づこうともしてこない。

同じ教室にいるのに、孤独を味わっている。

まぁ、一人でいることに何の不満もないから良いんだけど、いちいち睨みつけないでくれるかなぁ、窓際に溜まってる男子達。


因みに、ブラックは基本、男ばかりだ。

私みたいな女の子がいる事のほうが珍しい。

私の他には、あと二人しか女の子いないしね。

その子たちは二人で行動してるのに、私は一人。

そして、ホワイトのほうはというと、こちらとは逆に女ばかりだ。

今年はまだ五人ほど男の子がいるから、多い方なのかな?

まぁ、そんなこんなで絶賛孤独を体験中。

そして日を追うごとに、男の子たちの私を見る目が鋭くなっていく。

どうしたらいいのかなぁ……。

取り敢えず、今日も授業の方に集中しましょう。

今日は待ちに待った、実技の授業だ。

漸く体動かせるぞ!

普段、一応体作りは行っているんだけど、やっぱり実際に思いっきり動くのが一番気持ちいいんだよね。

普通に走ってるとかだけじゃ物足りないし……。

さて、始める前に、担当のガラン先生が私たちの制服の機能について話してくれる。


「お前たちには今日制服姿のままこの鍛錬上に来てもらったが、それには理由がある。今お前たちが着ている制服は特注で、戦闘でそう簡単にボロボロにならないように強度を増して作られている。だから多少の攻撃ではその服に傷がつくことは無い。お前たちはこの学校を卒業しても、この学校の卒業生としてその制服を着て戦闘に挑むことになる。つまり、制服で戦うことに慣れておかなければならない。今日はまず小手調べだ。二人ずつ、名前を呼ばれたら前に出てこい」


そして、ガラン先生は名簿の様なものを見ながら二人の名前を読み上げた。


「アン・ウェリム、ライド・ストア」


呼ばれた二人が立ち上がり、前に進み出る。


「俺が合図したら、お互いに攻撃を仕掛けろ。魔法・武器の使用は不可。素手、つまり体術のみだ。相手が降参、または俺がストップをかけたら終了。いいな」


その声に二人が一つ頷く。

最初に名前を呼ばれたのは、数少ない女の子のブラックだ。スッと整った目鼻立ちは冷たい印象を与えるが、その瞳には強い意志が感じられる。

私は真剣な表情で彼女とその相手の男を見つめる。


「構え!」


先生の号令に、全員の緊張感が高まる。

アンの細く長い黒髪が、ふわりとなびいた。


「始め!」


声と共に、相手の男、ライドがアンの方に駆けだした。そして躊躇うことなく攻撃を開始する。

ふむ、二人とも基本がしっかりしているから、迷いがない。で、力は五分五分ってところかなぁ。ちょっと長引くかな、この試合。

予想した通り、中々勝敗が決まらないその試合は、先生の「やめ!」の掛け声で終わった。お互いに握手して、もとの場所に戻る。

次の試合はあっという間に終わった。

掛け声が上がった直後、一気に相手の懐に詰めた方が、腹に一撃。

相手がうずくまったところを更に攻撃しようとしたところで先生のストップがかかった。

その後の試合もまぁ、それぞれ力の差が出るわ出るわ。

一人、失神した子がいたけど、先生の処置ですぐに回復。

うむ、さすが先生。回復魔法もお手のものだ。

そしてついに、私の名前が呼ばれた。


「ギル・ヤクノ、リリア・ノートン」


私が立ち上がるとともに、相手の男の子も立ち上がる。

その顔を見て、一瞬固まってしまった。

あくまでも一瞬で、他の人は固まったことに気づいていない。まぁ、先生はどうかわからないけど……。

相手は最初に自分に喧嘩をフッかけて来た男子グループの、リーダ格だ。

そのギルが、ぎろりとリリアを睨みつけてくる。

その視線に、思わず少しだけ眉を寄せてしまった。

私が何をしたというのだろう。

話したこともない相手に勝手に敵対心を持たれても、困る。

ってか、正直面倒くさい。

誰かこの立ち位置変わってくれないかなぁ――。

そんな事を考えながらも、所定の位置に立つ。


「構え!」


先生の声が辺り一面に響く。

そして――


「始め!」


他と違わず、彼も号令と共に攻撃を仕掛けてきた。

まず、右の突き。

ひらりとかわして背後に回り込もうとすると、今度は回し蹴り。

これは横には避けられない。後ろに一歩引くと、ギルも体勢を整えて内に入り込もうとしてくる。

ふむ、攻撃スピードは申し分なし。攻撃力は言わずもがな。当たればちょっときついかな。さて、どう切り込もう。

相手の攻撃を一つ一つかわしながら、考える。

制服が頑丈だから、何発か入れないと私の力じゃ倒れないか。

かといって何度も相手の懐に飛び込んでいくのもなぁ……。

体力使いそうだな、この試合。

一撃でも倒せることは倒せるんだけど、それじゃ相手が気絶しちゃうよ。

どうしたもんか――。

そんな事を考えながら逃げ回っていると、相手の眼の色がだんだん変わってきた。

んん?なんて言うか……やけくそ?

もう容赦ない感じで攻撃してくる。

そんなペース配分じゃ、あっという間に体力削られちゃうよ。

先生の表情も険しくなってるし……。

ま、いっか。

先生いるし、一撃の方にしちゃいましょ。

下手に遠慮しちゃうと、相手にも悪いしね。

心の中でそう決断し終えると、リリアは相手の蹴りが繰り出された所で、トンっと上に高く飛び、ギルの頭上で一回転して背後に降り立ち、手刀を急所である首元に打ち込んだ。

ギルは前のめりに倒れ、ピクリとも動かない。

他の生徒たちは唖然とその光景を見つめていた。


「上手く打ち込んだもんだ」


そう呟いて、ガラン先生がギルの方に歩み寄ってくる。

綺麗に入っているおかげで、先生の回復魔法も一瞬で終わり、あっという間にギルの目が覚める。

そして、驚いたように目を見開いて辺りを見回す。


「お前の負けだな。良い線いってたが、相手が悪い」


ガラン先生がそう言って首を横に振ると、ギルは真っ赤になって自分がもといた場所へと戻って行った。

リリアもその後に続いて座る。

やっぱり、一撃で合ってたのかな?何回も攻撃しちゃうと、私自身辛いからなぁ……。

力や急所の勉強、もう少ししておいた方がよさそうかも。

そんなことを考えていると、目の前ではすでに次の試合が始まっていた。

さっきまでと同じで、後の子たちも同じ感じか。

力のある子は、やっぱり余裕もあるからなぁ。

私ももっと、頑張んないと!



このとき、クラスの視線を集めていることに、リリアは気付いていませんよ!

はてさてどうなる?

学校生活(*^_^*)

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