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4・ニコポ

 ヒュンヒュン風を切る音を立てヌンチャクを振り回しビシッと構え


「アチョー!」


 と、サミングはどや顔で吼える。


 空賊に襲われた開拓者の船、及びその上に被さるように乗っていた空賊の船に二本の足で立っている空賊はもはや居ない。

 辛うじて息をしている者は居ても放っておけば数分後にはその呼吸も止まるであろうよ。


 最初の数人は力が余って振り回すヌンチャクの接触部が綺麗に消滅してしまい即死させてしまった。

 少し手加減して振り回せばヌンチャクの当たった場所が弾け飛んで、これも即死であった。当たった部位の欠損による生命維持の阻害か痛みによるショック死かの違いは有れど。

 しかしそれは最初の数人まで、残りは力加減に慣れてきたサミングの手加減により脳挫傷や内臓破裂、粉砕骨折などなど、そこそこの長い時間を苦しむ打撃を与えて無力化させることに成功している。


 母国でも悪の空賊と戦う時のための教育として散々


「生きた空賊は悪だ! 殺せ! 死んだ空賊はゴミだ! 殺せ! 空賊は殺しても罪にはならん! 殺せ! 出来る限り苦しめて殺すのだ! 死体も雲海に投げ捨ててしまえ!」


 と、ある種の洗脳に近い教育を受けていたサミング。さらに言えば自分を殺したのも空賊であったのだから空賊を苦しめて殺すことに良心の呵責は無い。


 ゆえにサミングは良い事したぜ、と言わんがばかりの爽やかな笑顔で死屍累々の空賊どもを見て満足する。


「さてさて、開拓者の人たちを助けないとね。空の上では助け合いの精神こそ肝要なのよ」


 その助け合う隣人に空賊が含まれることは無い。




 サミングは空賊の船に乗り込んで全員を殺しつくし、その死体及びまだ生きて苦しみもがいている連中を雲海に落としてから開拓者の乗っていた方の船に乗り込んでみたら、空賊どもに拘束されていたはずの開拓者達がすでに自由になっていて自分達の船のゴミを雲海に捨てているところだった。


「あれれ? 縄抜け……出来るとも思えないけど。でもミイちゃんに彼らの拘束を解いとくような気の効いた命令なんてしてなかったはず」

「そのくらい自己判断で勝手にやります」

「どぅわぁ!?」


 おやおや? とサミングが開拓者の船で解放された者達を見ていたら突然背後からの声。

 もちろんミイちゃんである。

 いつの間にやらサミングの影に潜んでいたらしい。


「あー、びっくったー。嘘、知ってたわよ。私は冷静よ。しかし自己判断?」

「はい」


 これにははてなと首を傾げるサミング。

 何しろミイちゃんはサミングがエイエイオーから落ちないように見張ってろと養父から命令されて『それ以外』の命令をされていないからこそ、サミングが空賊に襲われた開拓者を助けるための行動であっても見逃したり、遠くを見るための方法の伝授をしたりしたはずなのだ。


 その疑問を口に出したら返ってきた答えが


「一応私達にも個別の意思はありますので。ただ命令されて動くだけの人形じゃありませんよ」


 との事。

 ある意味養父を裏切る行為じゃねーのと思えば


「今のサミング様なら望む事を成すこと、可能だと信じておりましたから。そしてあの程度の相手に万が一にも敗北はありえず。サミング様の思うがままをなさるのが正しいことかと思いました」


 とか。

 サミングは底まで信頼されて照れるぜー、なんて言って満更でもない表情だが基本的に見た目からしてミイちゃんは好みのタイプじゃないのでフラグは立たないのだ。



 んで。

 てへへー、とかサミングが笑ってたら開拓者の人たちから声を掛けられた。


「あの、危ないところを助けていただき……」

「いいってことよー。困った時はお互い様、でしょ?」


 自分達の船の掃除を終えたらしい開拓者達からの感謝の言葉に対し、サミングは何の裏も含みも感じられない笑顔で答え


「ポ」


 なんか惚れられた。

 まさにニコポ。


 サミングは基本アホだが鈍いわけでもない。それに何だかんだで自意識過剰だ。

 女の開拓者なんてただでさえ珍しく男達からすれば自分みたいな美少女に惚れないわけがないというのも知っている。

 女であるだけで年齢に関わらず男から見て魅力的に見えてしまうのは仕方ないのだがサミングにだって好みはある。

 だから頭を下げて一言。


「ごめんなさい」


 と、断りを入れるのにためらいはなかった。

 元々母国の開拓者の訓練施設でも年上から結構惚れられて告白されていたが全部断っているのだ。

 可愛い系の美少年が好きという個人的な趣味のために。


 開拓者の人たちはアッサリ振られたことにショックを感じているようにも見えるがサミングは命の恩人であり、それでなくともメチャ強いので彼らも諦めたり、命有るだけましだよなーといった態度を見せた。


 本当ならそこからまったりと自己紹介でもしたいところだが船を動かす人員が少ない事もあり、今は慌しく動かなければならない時である。

 基本、船は資源でありボロボロであっても何とか陸地までは持たせようとするのが開拓者にとっての普通の行動である。

 命だけを優先するなら持ち主の居なくなった空賊の船に全員で移動してそっちだけを動かした方が楽なのだが痛んでるとは言え船一隻を捨てるのは勿体無い。

 そういう事もありサミングを含めた皆は両方の船が雲海に沈まないようにと大忙しで行動を開始する。



 浮いてるのが精一杯といった風情の開拓者達の船をどうにか空賊の船と鎖でつなぎ牽引させることに成功し、さてひとまず落ち着いたので今度こそ自己紹介でも……と、サミングが思っていたところ。

 養父の船、エイエイオーがやってきた。


 と、言っても並の視力ではまだ遠すぎてあれが船とは思えまい。

 なんせエイエイオーはこの世界の常識的な船と根本からデザインが違いまるで魚類のエイのような形状だから。


 でも結構な速度だしこの距離でもあと2~30分くらいで接触かなー、なんてのんびり思ってたらバフッという音と共に黒い煙が立ち上がったかと思うと、その煙は次の瞬間には養父の形になっていた。







 イケちゃんは激怒した。

 サミングが勝手に危険を冒して外に出た事やそれを止めなかったミイちゃんに対して、ではない。

 それに関しても多少カチンとくるものは有ってもそれ以上にサミングはまだワープの仕方もわからないから大丈夫だと高をくくっていた自分のマヌケさに対してである。



 イケちゃん自身は体のほぼ全てをサミングの再構築に使ったために現在は万全の状態の自分から見て残りカスにも足らないくらいにしか力が残っていない。

 それゆえに長距離転移のような技も使えずに、エイエイオーから飛び出していったサミングに追いつくまでの間、じれったく感じていた。


 サミングはワープに成功し、ミイちゃんを影につけたまま目的地に着いたことは察知できていたがそれでも心配はあった。

 自分の手の届かないところでは何が起こるかわからないのだから。


 細かいことは興味も無く知ろうとも思わないだけでイケちゃんはこの世界の理をとっくに理解している。

 雲海の下がどういうものであるか、そんなこの世界の学者達にとっての永遠の命題ともいえる謎だって口に出さないし意識に上げないだけで全部を理解しているのだ。


 そのため、今のサミングは仮に雲海に落ちたところでなにも困ることは無く、まだ生物であった頃の名残を残す精神も雲海の下の環境で狂うことも無く平静を保ち続けることができると知っている。

 仮にワープを失敗して雲海に落ちようと、最悪の展開としてワープ失敗から異世界に転移してしまったとしてもそれらがサミングを脅かすことは出来ない。


 だからと言って心配しない理由にはなりえない。

 イケちゃんはそんな自分の考えを自分でも不思議に思う。


 会った時はサミングのことはミツキの娘としか見てなかったし、再構築したのもミツキの娘だからというのが理由であり、多少の後ろめたさはあってもそれ以上の感情を向けるような相手ではないはずのサミングをなんでこんなに心配しているのか。

 サミングに何かあったらミツキが悲しみ、そのミツキを見たくないからというのが簡単に浮かぶ思考だがそれだけではないように感じる。


「死ぬ事はないし、万が一どうにかなったとしてもそれで俺に影響が出るわけも無いはずなのにな」


 何一つうろたえる必要も無い事に右往左往している自分がえらく滑稽に思えるがまぁそれはそれ。


「とりあえずは説教だな」


 今の自分の体ではワープで飛べる距離も短いがもうすぐサミングたちのところまで飛べる距離だ。

 まずサミングのところまで飛んで上下関係をしっかり叩き込んでくれるわ。

 イケちゃんにもそう思ってた頃が確かにあった。







 突然目の前に現れた養父が、いつになく真面目な表情を向けてくることでサミングは身構えた。

 目の前で失われる命を惜しみ勢いで飛び出した事に後悔は無いだが、サミングは仮にも開拓者を目指していたのだ。

 いや、今だって目指してはいる。

 そしてその際の開拓者の基本のルールとして、空の旅をする者は船の頭の命令は絶対というものがある。

 これは言葉に出したものだけを優先とか、そんな揚げ足を取るようなルールではない。

 確たる形として言葉に出していないことでもその意味を汲み取り、自分勝手な解釈をせずに正しく従うというものだ。

 養父は命令としてこそ言っていないがそれでも言葉の端から意味を汲み取れば


「善良な人の命が散るのは遺憾ではあるがまずは自分の身の安全を保った上で行動せよ」


 と、とれるわけで。

 まさかそんなの言われなきゃわかりません! みたいな赤ちゃん以下の言い訳を言えるはずも無く。


 ゆえに、サミングは一体どれほどの折檻を受けるのかと恐怖した。

 自分だけでもそうなのに、ミイちゃんは自分に付き合ってくれたが厳命こそされていなくとも立場的にサミングを止めていなければならなかったわけで。

 自分のせいでミイちゃんまで酷い目に合わされるのかと思うと、一体どんな言葉を出して良いのかすらわからなくなる。


「サミング」

「はっ、はい」


 怒られる。めちゃ怒られる。

 サミングはそんな覚悟をして歯を食いしばるのだが何も起きない。


「はてな」


 流石に殺されはしないだろうが、どのくらいの折檻がくるのかと思っているのに何もしない養父を見て不思議に思う。

 普段はにじみ出るアホさを隠しきれていないのに、目の前の養父は真面目な表情と言うよりも……ホッとしているといかなんというか。まるで複雑な心境を持っているかのように見える表情をしていた。

 一体なんじゃらほい、そんな風に思った所で


 ばちこん!


 と、船が揺れるほどの大きい音がするビンタをくらったサミングは遅れてやってきたほっぺたの痛みにのた打ち回るがその痛みが引く頃には養父もすっかりいつも通り。

 自分ではカッコイイと思っていて実際顔立ちは良いのだろうが内側からにじみ出るアホっぽさが隠せないような顔に戻っていた。

 それを見たサミングはどこかホッとした様子で


「いった~……痣になったらどうしよう」


 と、軽くいいながら周りを見た。


「心配かけた罰だ。俺の分だけでもそのくらいは受け入れなさい。あと顔に付いた手のひらの痣はたぶん一月は消えないけどそれも含めて罰なのだ」

「ぅえっ!?」


 サミングは叩かれた頬を軽く触る。激しい痛みは一瞬の物だが今も多少はじんじんしている。が、この痛みなら感覚的に数分もすれば気にならなくなりそうだ。

 しかしほっぺたに付いた手のひらの跡……サミングは無意識にだが視力以外の視覚も手に入れたので既に鏡なんて無くても自分の顔がわかるのだがその上で引いた。

 黒い痣がくっきりと顔についているのだから。

 肌の色が真っ白なだけにこれは目立つ。


「ちょっ、酷い! もうすぐ次の国につくんでしょ? こんな顔じゃ恥ずかしいじゃない!」

「我慢しなさい。まぁお前が頑張って慣れればその痣も自力で消せるかも知れんなぁ」


 ヘラヘラ笑う養父に対してムキムキ思うところもあるが自分の方が悪いというのもわかっているので強く言えないサミング。

 でもこれは恥ずかしいからすぐにでも消せるように頑張らねばと決心し、ついでだからミイちゃんにその方法を聞いてみるのもありかしらとミイちゃんを探したら


「あれ? ミイちゃんは?」

「これだよ」

「ここです」


 と、声が。


 養父が指で指し示した場所から聞こえた声はまさしくミイちゃんのものだが黒いモヤモヤの塊になっている。

 これは一体?


「ミイちゃんにも当然罰だ。思いっきり蹴りをぶち込んでくれたわ」

「はい。体の再構築まで10分ほどかかりそうなダメージを受けました」


 どうやらサミングがビンタの痛みにのた打ち回ってる間にミイちゃんもお仕置きを受けていたらしい。

 自分のせいで怒られる事をやったミイちゃんに申し訳なく思い、ミイちゃんに罰が行かないようにしたいと思っていたのにそんな事も出来なかった自分が情けなくなるサミングだがミイちゃんは軽く流すのであった。

 申し訳ない気持ちはあってもミイちゃんが気にするなと言っている以上は表面上でミイちゃんを気にしたそぶりを見せるのは侮辱に当たることだと思い、サミングはなるべくいつもの調子で接しようと思った。

 ついでに二度とそんな事にならないように自分を律しようとも。



「ところでミイちゃん何をされたらそんなんなったの?」

「どてっ腹に蹴りを食らったように、周りからは見えたことでしょう。正確には私という存在の真芯に一撃をぶち込まれた形ですね。これをくらってしまうとその対象が仮に影であろうと名を語らせただけの代理であろうとも本体までに衝撃が届き対象を滅しきる危ない技です。イケちゃん様の力がサミング様にそそがれた今の状態で無ければ私は過去までさかのぼって存在が抹消されていたことでしょう」


 サミングはふと、ミイちゃんは何をされたからこんな見た目になっちゃったのかと思って聞いたら帰ってきた言葉が想像の埒外の物でちょっと思考停止した。

 影どころか代理に対して放った打撃でも本人まで届くというその一撃の原理はまったくもって理解の外だが少なくともミイちゃんに、身内に打つような技ではないようなものに思えたからだ。

 サミングがそう思っていたのを見抜いたのかミイちゃんは


「イケちゃん様は今の自分の体調を知った上でされた事ですから。元より私を殺すつもりは無かったと思いますのでサミング様はお気になさらないように。そもそも殺されていたとしても私に文句を言う口はありません」


 そんな事を言うのでサミングは文句を言えそうに無かった。

 正直な所、養父は顔は良いし母を大事に思ってくれているし実力もあるのだろうし命の恩人だしと。

 プラスの要素は数えていけばいくらでもあるのだが基本マヌケだし家にいたときや船でも覚えたてのサルの次に発情しっぱなしの変態だったりアホっぽかったりでマイナスの要素だって沢山ある。

 ミイちゃんやエイエイオーの乗組員の皆さんがそこまで心酔するような器にはとうてい思えないのが本音である。


「まぁ色々言いたいのでしょうが……恐らく我々のは生物で言うところの本能レベルでの忠誠と言ったところでしょうか。自分でも良くわかりませんが不満が無い事だけは確かなのですよ」


 でも当事者のミイちゃんがこう言うのならもう仕方ないのかなぁと、なんとなく不満はあるものの一応の納得はした。



 養父の登場で少し驚いていたところもある襲われ開拓者の人たちだが、彼がサミングの養父でありラリアット王国かあらやってきた開拓者でもあるという事を説明し、少し時間が経ってからやってきたエイエイオーを見て更に驚きながらも彼らの目的地であるドスコイ国までを同行する形で話はまとまった。


 船を二隻連結した状態では速度も出なく時間はかかっていたのだろうがエイエイオーが牽引すればとても早く彼らの故郷にたどり着ける事を言ったら彼らもたいそう喜んでいたのでそれは良いことなのだろうとサミングは思った。

 でも到着が早いということはほっぺたについた手のひらマークは消えないのかなぁと少し不安になりながら。



「サミング、お前は先にエイエイオーに戻っていなさい。彼らとの話はとりあえず俺がやっておくから」

「え、あ、うん」

「お前が出るときにミツキに大嫌いとか言ってたからあいつ凄くショック受けてたんだぞ。ちゃんとミツキにも謝れよ」


 そんなこと言ったかなぁと反論したいサミングだがそういや言ってたわと思い出し、さらに気が重くなるのを感じた。

 ほっぺたの手のひらマーク、母に見せてお養父さんが虐待したのー! って泣きついてやろうと思っていただけに。






 ボロ船二隻にエイエイオーが接触寸前にまで接近したところでサミングはバイクに乗り飛び跳ねながらエイエイオーに戻っていった。

 すっかりバイクを乗りこなすサミングを見て


「あいつよもやバイクを自分の物にしちまう気ではあるまいな」


 なんて器の小さい心配をするイケちゃんだが、もし欲しがるのであればサミングがいずれ独立する時にでも悪くないバイクを見繕ってやるのも良いかなんて思っているところがある自分を認識して少し戸惑いを感じる。


 そもそもからして、サミングには上下関係を叩きつけて危険な時はサミング自身の感情よりもイケちゃんの判断を優先させるように徹底するつもりだった。

 しかし、遠くから無事を感じながらも実際手の届く範囲にてサミングが無事であったことを知ればそこに安心を覚えそれ以外をどうでも良い些事に思えたのだ。


 しかしそうも言ってられないと理性で知っているイケちゃんはサミングと、ついでにミイちゃんに対してそれぞれ一撃加え制裁する事だけはやっておいた。

 心配していたのだからこれくらいやる権利はあるだろうと思ってはいるが嫌われやしないかと、何故かそんな事も気にしながら。



 まぁサミングに対してはきっとミツキの子供だからあくまでミツキへのご機嫌取りのために色々と悩んでしまうのだろうと無理矢理に自分を納得させる。


「やれやれ」


 それは兎も角として、だ。

 この船の開拓者達……サミングが頑張ってまで助けた連中。

 彼らを早く彼らの目的に送ってやらねばな、と思いイケちゃんはとりあえずエイエイオーの尻尾で船を牽引するのを提案しそれなりにテキパキと指示を出した。


 まぁやる事は簡単な作業なのでテキパキでもゆっくりでも大して変わらないのだが。


 エイエイオーで牽引してるとは言え、二隻の船、とくに片方は結構痛みガタがきているのであまり速度は出せずそこそこの速度というもので飛んでいたのだが開拓者達からすればエイエイオーのパワーは凄い物に見えたようでたいそう驚いていた。


 ラリアット王国でもそうだがイケちゃんの持っている技術に比べ今の世界の技術は随分としょぼいものなのだなぁと実感する瞬間だ。


 しかし驚いてる彼らも少し時間が経てば慣れてきたのか、遠慮しながらではあるが色々とイケちゃんに質問を投げかけてきた。

 まぁ気になるのは当然だろうと思いつつ、イケちゃんはラリアット王国での公開して欲しい技術情報と出来れば内緒にしといて欲しい技術情報など、色々聞いていたが殆ど右から左と流していたので覚えていない。

 なのでどこまで応えて良いのやら……そもそも技術関係に関してはあまりにも興味が無いので基本聞かれても知らない事の方が多いくらいなのでなんとなく発言を濁すのだった。


 まぁ彼らも技術を簡単に他国に放出する人はいないと思っていたようだし、技術者ではなく道具の使用者といったポジションの彼らも聞いて完全に理解できるわけもなしとそれ程熱心に聴いてきたわけではなかったようだが。


 そんな中で、少し空気が変わるのを感じた。

 これは真面目な質問でも来るのだろうか? イケちゃんはそう身構えたのだが


「お養父さん、娘さんの趣味とか好みのタイプを教えていただけませんか?」

「誰がお前らのお養父さんじゃボケェ!!」


 アホなことを聞かれてちょっと切れた。

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