5・コピペ乙
「またか」
少し前までは渇望してやまなかった新たなる出会い。
しかしイケちゃんはもうなんだかそんな出会いにときめかなくなってしまった様にグッタリしている。
それもそのはずである。
ハイパーメガトンクラッシュ空賊団……イケちゃんたちが名前を知る事無くやっつけた彼らだが。
彼らはここら一体で最強の空賊団ではあったが他に空賊団がないわけではない。
むしろ彼らの取りこぼしの小物狙いの雑魚空賊団も数が少なくなかったのだ。
そして目の前の相手は6件目である。
基本的にどの空賊団も対応が同じでもう飽きた。
コピペ乙、ってところだ。
最初の空賊団がどうやら戦力的に一番マシだったらしいと今更に思うイケちゃんたちだが、他と比べたからとてどうという事もないのだが。
どうにもこうにも襲い掛かってくる敵たちがショボイ。
それは安全な旅が約束されているようなもので別に悪いことでもないが何度も何度も空賊ばっかと出会うといい加減この世界には空賊以外居ないんじゃないかと疑心暗鬼になってしまう。
6件目でありいい加減結果はわかりきってる気もするのだがイケちゃんはまず話し合いから始めようといつも通り空賊たちに話しかけた。
そしていつものように向こうは一方的に通信を切り襲い掛かる準備を始めている。
「はぁ、めんどくせー。ミイちゃん、落とせ」
「かしこまりました」
最初を含め3回目までは接近して相手の見極めをしていたのだがイケちゃんはもう諦めた。
空賊団に所属してる女なんていないのだ。
そして逆に期待していることもある。
空賊に男しかいないという事は陸地にたどり着いてある程度の人の営みのコミュニティに触れればそこには女が一杯居てイケメンな俺をチヤホヤしてくれるに違いない、と。
そんなアホな期待を胸に、エイエイオーの尻尾が空賊の船に穴を空けまくり沈めていくのを眺めるイケちゃんであった。
「しかしどうでも良いがあいつらの船はどいつもこいつも似た形状でいい加減飽きてきたぞ。世間の船はあんなデザインが普通なのか?」
「わかりかねます」
「だよねー」
そんな船を見て未だにエイエイオーみたいにかっこいい船に出会ったことが無いなぁと思いつつ、あんな船には乗りたくないわーと思うイケちゃんは、ひょっとしたら自分のセンスは世界的に見て尖りすぎなのではと一抹の不安を抱くのであった。