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第十話 二人の任務

今回はゲイルとアンジェ、二人だけで任務に挑みます。

ヘブンズエデン。

今日も任務を探すゲイル。ちなみに、今日狩谷と空子は別の任務で海外に出向いている。皇魔とレスティーも別の暗殺任務に参加しており、光輝とさだめは防衛任務へ。必然的に、今残っている知り合いは、

「ゲイル♪」

彼の腕に抱き付いている、アンジェ一人ということになる。

「…もう何度同じことを言ったのか自分でも覚えていないが、言うぞ。いい加減離れろ」

「やーだよっ♪」

「…はあ…」

もう何回繰り返したかも忘れたやり取りを、今日も二人はする。アンジェを無視して、ゲイルは任務を選ぶ。

「ん?」

そんな彼が見つけたのは、警備任務だ。以下がその詳細である。


『少し大事な会議があるので、警備してもらいたい。詳細は屋敷で説明する』


「お屋敷に住んでるのかな?」

「…さあな。」

ゲイルにとって、依頼人がどこに住んでいるかなどどうでもいい。依頼された通り、任務をこなす。それだけだ。ゲイルは、参加パネルをタッチ。

「じゃあ私も!」

アンジェもタッチする。今回の定員は二名だったので、これで締め切りだ。

「これからゲイルと一緒に任務…うふふ♪」

「…長い任務になりそうだ…」

ゲイルはアンジェの独り言を耳にし、ため息を吐いた。











任務当日。

ゲイルとアンジェは、依頼のあった屋敷に来た。

「結構大きいね。」

「…ああ。」

依頼人は、少しやり手の大物らしい。ゲイルはインターホンを鳴らして、自分達が来たことを告げる。

「どなたですか?」

「ヘブンズエデンの訓練生です。依頼を受けて来ました」

「かしこまりました。少々お待ち下さい」

すると、門が開いてゲイル達を迎え入れた。二人は中へ進み、間もなくして扉が開く。

「お待ちしていました。ここの主人を務める、リー・シェンという者です。」

「ゲイル・プライドです。」

「アンジェ・ティーリです。」

出てきたのは、中国服を着た物腰の柔らかそうな男性。リー・シェンと名乗った彼に、ゲイルとアンジェも名乗る。

「ではこちらへ。」

二人はリーの案内で、応接室に通された。

「どうぞお座りになって、楽になさって下さい。」

リーの言う通り、ソファーに腰掛ける二人。リーは単刀直入に、今回の依頼について話す。

「依頼の内容はご存知の通り、今夜この屋敷で行われる会議を警備してもらうことです。警備と言っても庭の見回りをしてもらうだけの簡単な仕事ですから、お気を楽にして下さい。」

確かに簡単な仕事だ。任務について難癖付けるつもりはないが、ヘブンズエデンの訓練生を雇うほどのことだろうか?とゲイルが考えていると、


「お父様?」


チャイナドレスの女性が入ってきた。ゲイル達より二~三年は年上な感じだ。

「ファン。」

「ヘブンズエデンから訓練生の方が来て下さったって聞いたけど…」

「ああ、彼らだよ。紹介いたします。娘のファン・シェンです」

女性は、リーの娘、ファンだった。

「ご機嫌よう。」

ファンはリーの隣に立って二人に挨拶する。

「何を隠そう、今回あなた方ヘブンズエデンの訓練生を雇うよう進言したのは、この子なんです。私は大袈裟だと言ったんですが、心配性な子でして…」

「はあ。」

「そうだったんですか。」

どうやら、ゲイル達を雇うように言ったのは彼女らしい。

「お父様。この方達を私の部屋に案内してもよろしくて?」

「ああ構わんよ。お前からもしっかりお願いしておきなさい」

「はい。さ、どうぞ。」

ファンはゲイルとアンジェを自分の部屋に連れていった。













「すごい所ですね。」

アンジェはファンの部屋を見て言った。部屋にはトロフィーや賞状がたくさん飾ってあり、ファンがどんな家庭の人間かが伺える。と、


「そろそろ聞かせてもらおうか。俺達を雇った理由を」


ゲイルがファンに、自分達を雇った理由を訊いた。

「えっ?」

何のことかわからないといった感じで、アンジェがゲイルを見る。

「ここに来るまでの間に、この屋敷の戦力を見せてもらった。はっきり言って、軍隊でも放り込まない限りは突破されない。そんな場所に俺達を雇った理由は何だ?」

「…ここなら、話しても大丈夫そうですね。」ファンは盗聴されていないか確認してから、二人に語った。

「私の父は、マフィアのリーダーなんです。」

「!?」

「えっ!?」

二人は驚く。自分達を雇った人間の屋敷が、マフィアの所有物だとは思わなかったからだ。しかし、それなら警備の厳重さも納得がいく。

「…マフィアではありましたが、父はとても優しい人でした。いつも私のことを想ってくれて…でも、父は突然変わってしまったんです。」

ファンの話だと、リーはいつの間にか謎の組織に資金を提供するようになってしまい、それ以来組織が行っている研究に没頭。父の姿が恐ろしくなったファンは、すぐにやめるよう言ったが聞かず、現在に至ったようだ。

「謎の組織…」

「それって、どんな組織なんですか?」

「わかりません。ですが、私にはわかるんです。これ以上組織に加担していてはいけないと…だから、父を止める方法を探しに行きたいんです。」

「探しに行くって…どこに?」

アンジェが尋ねた。

「海外に父の友人がいます。その人に父のことを伝えて、二人で説得すればあるいは…だから、あなた方には私の脱出を手伝ってもらいたいんです。」

リーはファンが外界と接触することを拒んでおり、そのためファンは屋敷の敷地外にも出られないでいる。脱出しようにも、構成員達はリー以外の者の命令を聞かない。よって、頼りになるのは外界の傭兵のみ。

「それで俺達を雇ったのか…」

「でも、どうやって逃げるの?」

「手筈は済んでいます。あとは外に出られれば…」

「…ゲイル。」

アンジェはゲイルを見た。ファンが逃げたことがバレたら、二人もただでは済まない。しかし、

「…俺達を雇うよう言ったのはファンだ。なら、実際に雇ったのは彼女ということになる。つまり、俺達が従うべきは彼女だ。」

「っ!ありがとうございます!」

ファンは頭を下げて礼を言った。

「…優しいんだ。」

「…」

アンジェは茶化すが、ゲイルは何も言わない。












やがて、会議が始まった。

「ではお願いします。」

「はい。」

リーに言われたゲイルは部屋にファンを残し、アンジェを連れて外に出る。




それから数時間後、会議は予定通り終了した。

「今日はありがとうございました。」

「いえ、これも仕事です。では、俺達は帰ります。」

ゲイルはアンジェと一緒に帰る。



そして、屋敷から十分距離を置いた所で、


「行け」


ゲイルはアンジェに言う。と、アンジェは走り出した。それから、ゲイルは通信回路をオンにして連絡する。

「アンジェ、大丈夫か?」

今走っていったはずのアンジェへと。


「うん、大丈夫だよ。」


だが、走っていったアンジェは振り向かず、回路からは間延びした感じの声が聞こえる。態度と行動が一致していない。


理由は簡単だ。



走っていったのはアンジェではないからである。



本物のアンジェは、ファンの部屋にいる。ファンはアンジェに変装してゲイルに同行し、アンジェはファンに変装して部屋に残った。これなら怪しまれることはない。ファンは今、国外脱出へのポイントに向かった。そしてアンジェは、

「ただいまとうちゃ~く!」

ヘブンズエデンの転移システムを利用して、ゲイルのもとへ来た。

「どう?チャイナドレスの私も可愛いでしょ?」

「馬鹿をやっている場合か。行くぞ!」

「…は~い…」

セクシーポーズでアピールしてみたアンジェだが、ゲイルに諫められ、渋々追う。












脱出ポイントに選んだのはヘリポート。ここには、予めヘリコプターが用意してあった。

「急いで!」

パイロットが促す。彼は外界における、ファンの友人だ。ファンとアンジェは互いに着替え、ファンはヘリに乗り込む。

「二人とも、本当にありがとう。」

「俺達は任務を果たしただけだ。」

「元気でね。」

ファンが礼を言い、ゲイルとアンジェが見送る。



だが次の瞬間、



「危ない!!」

ゲイルが何かを感じて飛び出した。ゲイルの身体にエネルギー弾が着弾する。

「ぐあっ!!」

「ゲイル!!」

「ゲイルさん!!」

アンジェが吹き飛ばされたゲイルを抱き起こす。

「そこまでだぜお嬢ちゃん。」

攻撃をしたのは、背部にジェットパックを取り付けた、旧式のロボットのような怪物。

「ボーグ…ソルジャー…!?」

ゲイルは満身創痍ながら、怪物を見た。

「俺はラーキス。そこのお嬢ちゃんを連れ戻すよう、お嬢ちゃんのお父様から頼まれたのさ。」

「頼まれた!?まさか、バレてたの!?っていうか、謎の組織ってヴァルハラのこと!?」

アンジェは自分達の計画がバレていたこと、それからリーが資金援助していた組織がヴァルハラであったことに驚く。

「まぁそういうこった。もっとも、お前らが関与してることに気付いてる様子はなかったけどなぁ?俺もその子を連れ戻すようにしか言われてねぇし。けど、めんどくさいから殺っとくか?お前らも。」

ラーキスは、右手を二人に向けた。

「…行け!」

「えっ?」

ゲイルは傷付いた身ながら、ファンに言う。

「行けッ!!」

「は、はい!!出して下さい!!」

ファンはゲイルの気迫に圧され、パイロットにヘリを離陸させる。

「あ?おいおい、待てって!」

追いかけようとするラーキス。だが、

「アデル、起動!!」

ゲイルがアデルに変身。さらにイタカウイングを起動して飛び出し、ラーキスの邪魔をする。

「テメェ…!!」

アデルのせいでファンを追うことは叶わず、ヘリは離脱していった。

「…まあいいや。あとでゆっくりと追いかけてやるよ」

「…おい。」

「ん?」

アデルはラーキスに訊きたいことがあった。

「今、お前は彼女を殺すつもりだったな?なぜだ。」

「…別に。めんどくさかったからだよ」

「!!」

込み上げてくる怒り。アデルはラーキスに斬りかかった。

「おっと!」

ラーキスはそれをかわし、壮絶な空中戦を繰り広げる。ラーキスが指からエネルギー弾を撃ち、アデルがそれをかわして斬り込み、ラーキスがそれをかわす。そんなやり取りを、何回も繰り返す。

「イタカウイング!!」

だが、この硬直状態にも終わりが来た。アデルがイタカウイングの出力を上げて、離れた位置から一気にラーキスに接近したのだ。

「うおっ!?」

あまりの速度に怯むラーキス。アデルは、それを見逃さない。

「はっ!!」

「ぐあっ!!」

斬りつけてさらに怯ませ、

「エンドオブソウル!!」

必殺技を叩き込む。

「ちぃっ!!」

だが仕留めきれておらず、アデルは舌打ちして距離を取る。

「!!」

次の瞬間、驚くべきことが起きた。



ラーキスのダメージが、一瞬で修復したのだ。



「ならば!!」

さらなる威力が必要だと悟ったアデルは、武器をチャウグナルファングに持ち変えて、

「ブラッディファング!!」

再度必殺技を放った。これにより、ラーキスの身体はバラバラになる。だが、バラバラになった身体はすぐに集まり、また修復された。

「まだ…!!」

なら一撃で消滅させるまで。そう考えたアデルは、ダゴンとヒュドラに武器を持ち変え、

「ルルイエセメタリー!!」

最大出力のエネルギー弾を撃つ。しかし、

「無駄だ!」

ラーキスの目の前にバリアが展開され、なんとルルイエセメタリーを防ぎきった。

「何だと!?」

「残念だったな。俺はお前との戦闘を想定して、再改造を施されてる。お前の力は…」

説明しながら、ラーキスは両手の指をアデルに向け、

「通用しねぇ!!!」

全力のエネルギー弾を撃つ。

「クトゥルフサンクチュアリ!!」

すかさずバリアでガードするアデル。

「そいつも計算済みだ!!」

しかしラーキスの攻撃は止まらず、バリアと拮抗するエネルギー弾に向けて、だめ押しのエネルギー弾を連射する。



バリアの外壁には徐々にヒビが入っていき、



パリーン!!



ガラスが割れるような音とともに、砕け散った。



核ミサイルすら防ぎきるバリアも、一点集中攻撃を受ければ破られてしまうのだ。



「そこだ!!」

バリアが消えた瞬間を見計らい、再度エネルギー弾を撃つラーキス。

「ぐわああああああああああ!!!!」

アデルはヘリポートに向かって落下し、コンクリートに叩きつけられた。

「終わりだぜ!!」

ラーキスはとどめを刺すべく急降下。


だが、


「はあっ!!」

ラーキスがヘリポートに到着する寸前、アンジェがラーキスの顔面にドロップキックを決めた。

「ぐおっ!?」

転がるラーキス。すぐに立ち上がるが、

「やああああっ!!!」

そこを狙って飛び掛かってきたアンジェから、右肩に拳を五発もらい、

「たあっ!!!」

最後にキックを食らって再び転がった。

「このアマァッ!!」

怒り心頭のラーキスは右手の指をアンジェに向ける。しかし、ボスンッ!!と、とても小さな爆発が起きて、ラーキスの右腕がだらんと垂れ下がった。

「何ィ!?」

「同じ所を一点集中。さっきあなたがやったのと同じことだよ!」

「こいつ…女のくせになんてパワーだ…!!」

あの戦いが見えていたことにも驚いたが、それ以上アンジェのパワーがおかしかった。同じ箇所を集中して攻撃すれば確かに突破できるが、ラーキスの身体はエンドオブソウルを受けきるほどに頑丈。それをパンチとキックだけで破ってみせたアンジェの力は、異常と言える。

「大丈夫?」

「ああ。助かった」

アンジェはアデルに話し掛けた。幸いダメージはそれほどなく、戦う分には問題ない。だが、あの再生能力とバリアをどうにかしなければ、ラーキスを倒すことはできない。

(クトゥグアドライブを使って、最大出力のルルイエセメタリーを撃ち込むか…)

だが、それでは周囲への被害も大きい。




と、アデルは気付いた。




先ほどアンジェが与えたダメージ。それが修復されつつあるのだが、まだ修復作業中。




つまり、まだ治っていないのだ。




(どういうことだ?)




さっきとはどう見ても修復速度が違う。アンジェが与えたダメージの方が、格段に遅い。

(まさか…!!)

閃く、強敵打開の突破口。

(…試してみるか)

推測が当たっているなら、ラーキスを倒す方法は一つだけ。

「アンジェ。奴の目眩ましを頼む」

「えっ?」

「試してみたいことがあるんだ。」

「…わかった!」


アンジェは力強く頷き、了承する。

「手こずらせやがって…死ね!!」

パワーチャージに入り、ラーキスは指の銃口にエネルギーを収束させていく。

(今!!)

タイミングを掴んだアンジェは駆け出し、ラーキスの注意を引く。

「うぜぇ!!」

ラーキスは怒り、アンジェに銃口を向ける。

「フラッシュボム!!」

それに合わせて、アンジェは何かを投げた。



小さい光の玉だ。玉はラーキスの目の前で静止し、空中に留まっている。



「…?」

アンジェの意図がわからず、ラーキスの視線が玉に集中した。



それを確認したアンジェはパチン、と指を鳴らす。すると、玉が強く発光し、ラーキスの目を眩ませた。


フラッシュボム。文字通り、光の玉を投げつけて爆発させ、相手の視力を奪う技だ。今やったように、時間差で起爆させることもできる。爆発と言ってもダメージを与えるためのものではないので、視力を奪うことしかできないが。

「がっ!!ぐあっ!!」

効果はてきめん。ラーキスはエネルギー弾の発射を中断し、両手で目を覆う。

「ゲイル!!」

アンジェの役目は終わった。ここからは、アデルの役目だ。

(俺の予想が正しければ、これでいけるはず…!)

エンドオブソウルを放つ要領で、プライドソウルにエネルギーを込める要領で、自身の右拳にエネルギーを集めるアデル。

(よし…!!)

初めてやったが、思いの外上手くエネルギーを収束でき、アデルはイタカウイングを起動して飛び出した。

「ぐっ!?」

途中でラーキスの目眩ましが解けたが、現在のアデルとラーキスの距離は、およそ4m。現在のイタカウイングの速度は、秒速90m。十分間に合う。これならかわされることはない。

「アクセラレーションパンチ!!」

速度と重さ、そしてエネルギーが乗った拳が、依然修復中のラーキスの右肩に直撃。衝撃波が、ラーキスの右肩と右腕を消し飛ばした。

「ぐあっ!!」

よろけて崩れ落ちるラーキス。消し飛んだ右肩から先は、修復される様子はない。否、今始まった。だが、とても遅い。

「推測は、確信に変わった。」

このアデルの言葉は、まごうことなき勝利宣言。

(このガキ…気付きやがった!!)

ラーキスはアデルが自分の弱点に気付いたと悟った。




ヴァルハラはアデルの戦闘データを分析し、ラーキスに再生能力とバリアを付加した。




しかし、バリアは遠距離攻撃にしか反応せず、再生能力も瞬時に修復できるのは、斬撃のみ。




すなわち、ラーキスの弱点は打撃なのだ。




ヴァルハラは、アデルが武器を使った白兵戦しかできないと思っていた。素の格闘能力は、大したものではないと思い込んでしまっていた。だから、武器による攻撃にしか対処できるようにしていない。




しかし、アデルの変身者、ゲイルは傭兵なのだ。



傭兵はあらゆる危機から、少ないヒントで活路を開き、状況を打開する。




一年程度ではあるが、ゲイルはそれを叩き込まれていた。




それが今この場で、危機を打ち破ったのだ!




「お前は俺の戦闘データを元にして再改造されたと言っていたな。」

「!!」

片腕を失った、もはや強敵ですらなくなったラーキスへと、アデルは語りかける。

「傭兵である俺に、そんな戦法は役に立たない。傭兵の実力をデータで計ることなど、不可能だからだ。」

彼には才能があるわけでも、優れた遺伝子が受け継がれているわけでもない。




だが、やり方次第ではどこまでだって強くなれる。




「お前は相手の強さをデータで計り、その相手が持つ真の強さを舐めた。」

データなど、過去など、いくら参考にしたところで無駄だ。



「俺を…」



人が持つ可能性は、



「俺達を…」



本当の力は、





「舐めるなッ!!!」





決して推し測れるものではないのだ!!





「黙れぇぇぇッ!!!」

逆上したラーキスは、残った左手の指からエネルギー弾を出して攻撃する。アデルはイタカウイングを起動し、真上に飛んで回避。今度は右足にエネルギーを込める。

「これで終わりだ!!」

イタカウイングのブースターを噴射し、足を向けてラーキスに飛んでいく。

「うおおおおお!!!」

撃ち落とそうとエネルギー弾を連射するラーキス。

「アクセラレーションキック!!!」

アデルはエネルギー弾を突き破り、ラーキスのみぞおちをも貫通した。

「ぐ…は…!!!」

ラーキスは爆発し、アデルは着地して変身を解いた。

「ゲイル!大丈夫!?」

「ああ。」

ダメージは受けたが、もう回復している。

「…できると思うか、父の説得を。」

「…わからない。でも、きっと上手くいくと思う。」

「そうか。」

ファンが父を説得するには、とてつもない労力がかかるだろう。




だが、その前にヴァルハラを倒せばいい。ゲイルにとっては、その程度のことなのだ。




こうして、ゲイルとアンジェの任務は終わりを告げた。













クルセイドキャッスル。

「やれやれ、まさかそう来るとは…」


空中に出現したモニターを見ながら、ミレイヌはため息を吐いていた。彼女はゲイル達の戦いを、部下の三将軍と兵士長とともに、ずっと見ていたのだ。


すると



「ずいぶん悩んでおられるようですね。」


メイカーがやってきた。

「あら、デザイアの…」

「兵士達は何をしているのですか?」

「ご心配なく。誰にも言わずに参りましたので」

フィスとミレイヌを制し、メイカーは話を続ける。

「それより、最近ヴァルハラは思うような成果が出せていないようですね。」

「…何が言いたいのですか?」

「私にはミレイヌ殿。あなたがあのアデルという戦士を、鍛えているようにしか見えないのです。今回も、再生能力を完全なものにすれば良かっただけではありませんか。」

「…」

ミレイヌは黙る。

「あなたは本当に、アデルを倒すつもりがあるのですか?」

「…!!」

「貴様…いくら同盟組織の幹部とはいえ、我らの盟主への暴言は許さんぞ!!」

メイカーの言動に怒ったゴーザとネイゼンは、今にもメイカーに飛び掛からんばかりの姿勢を見せる。

「無礼は承知しています。ですが、はっきりさせてもらいたいのです。」

「貴様…!!」

マヴァルも参加して怒る。

「…ゴーザ、ネイゼン、マヴァル。やめなさい」

「…」

「ミレイヌ様!!」

「なぜ!?」

「…私は今まで、アデルを甘く見ていました。これだけ長く戦えば、強くなるのも当然。」

ミレイヌは三将軍に攻撃をやめさせ、メイカーに言う。

「ですから、こちらもそろそろ本命を狙おうと思います。」

「本命?」

「そう、我々の計画に欠かせない存在。」

ヘブンズエデンに通う、とある少女の名を。



「アンジェ・ティーリを。」









かなり気合いを入れて詳しく書いたつもりですが、結局駆け足になってしまいました…。



次回は日常を挟んで、長編を執筆しようと思います。では、またお会いしましょう!

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