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帰り道

 私は各自の帰宅ルートを検索するので忙しいので、いつも通りに治癒ちゃんに方針とかお任せした。うちは、勇者はリーダーではない。前衛職が、指揮権を持ってはいけない。全体を見てられる人でないと。

「任されたわ。じゃ、この巨大リュックは目立つから、収納するけど、その前に。交通費、食費で各2万円、神様からもらった札束から抜いて、ウエストポーチへ。どうせみんな、前まで使ってたリュック持ってるでしょ。あれに、必要そうな物だけ抜いて入れて、靴も革長靴がいいかな、足場悪いし、なんならロングコートも(虫除け魔法かかっていた気がする。魔王城付近は、生きとし生けるもの、全滅だったから効果わかんなくなってたけれども)。虫いるし。っていうことで、はい、着用っ」

 スマホ持ちが、私と剣君しかいない上に、剣君は、検索できない(親御さんが、メールと通話以外の機能、制限したっぽい。待ち受けに出てくる天気ぐらいしかわからないみたいだな)、事実上私しかやれない。

 片耳で治癒ちゃんの命令を聞きながら、ちゃんと言われたとおりにして。

「とりあえず、バスで、駅に出て、乗り換え二つで新幹線か特急に。で、上野か東京に取りあえずいって、そこでそれぞれの家の路線に別れよう。どっかで、紙とペン買う。で、帰宅ルートそれぞれに書いて渡すから」

 と、伝えた。

 こんなところに、とは思ったけれど。

 考えてみたら、神様の誤差だと、アメリカだったり、中国の山中ということもありえたわけだから、国内で良かったと言うべきかな。

 周囲を探索(魔法)していた剣君が、古そうな神社を近くに見つけたから、神様的に召還者帰しやすいパワースポットだったのかも。

 20分かけて、バス停まで降りて。

 近くて良かった。

 バスが一時間に二本しかこない上、時間ズレまくってたけれども、乗れたし。客もほかにはばあちゃん一人だった。

 駅に着いた。

 ばあちゃんも降りたし、私たちも降りた。 ラーメン屋さんと、よく見かけるファーストフード店が二軒ある。

「とりあえず、なんか食べたい人?」

 と、治癒ちゃんが聞いたので、みんなではーいと手を挙げた。


 ラーメン屋さん入った。



 ぞろぞろと。似たような革コートと革長靴と革のデイリュック背負って。

 サークルさんというか、部活帰りかな、と思われそう。


 ラーメン。

 あちらにラーメンはなかった。パスタとうどんに似たものはあったけれど。

「トッピング、盛ろう」

 と、いうことで。

 男子は豚骨で大盛り、ありったけにトッピングし、チャーハン・餃子も頼み。

 私たちは醤油で、麺は増やさなかったけれど、叉焼とゆで卵とノリと、もやしを増して、餃子も6つのを頼んだ。もやしも向こうになかったしね。半チャーハン一つを二人で分けた。

私「うぐ、帰ってきたねぇ」

勇「あ、ラーメン、初めて食ったわ」

治癒「私もー」

剣「え、そうなんだ」

勇「外食しないからなー。人が集まると、まあだいたい寿司とるし。見栄はるからさっ」

治癒「うちもー。だから、マックとかも行ったことない。近くにないし」

 農家あるある、なのか、たまたま二人の家が、なのか。

 あ、住まいが海に面した県のせいもあるか。

剣「マックとかは、うちも墓参りの帰り、ぐらいしか寄って食べないな。ファミレスが多い」

私「うち、ネグレストだから、外食、週に何度かあるわ」

治癒「月と金がおばあちゃん達が来て、水曜日が通いの家政婦さんがご飯作ってくれてるんだっけ」

私「そうそう。祖父母は一泊していってくれる。月が父方、金が母方の。自分で作れよ、って話だけれども、なかなかね」

 大人のいない朝食だけは、兄が作っている。トーストと卵焼き、キャベツかレタスを千切ったサラダ。

剣「受験生だし、な?」

私「三年半、勉強してないんだけれど、覚えてるかしら」


 全員、黙った。



治癒「夏休みだから、全力で、復習しながら思い出せばなんとか。私は進学を親に(暴力で)説得することになるし」

勇「俺もまず高校進学許して貰えないから、社会的に家族始末しないと」

私「社会的に殺すのは、まあ、私やれると思うから、なんかあったら連絡してよ」

剣「なんの障害もなくてごめん」

私「じゃ、勉強一本なんだから、がんばってね。行く前に決めてた、志望校にちゃんといきなさいね。それができなかったら、おつきあい、なしにするから」

剣「え、そんな」

 という雑談の後、それぞれが万札を出すのを店主に嫌がられたので、私が一括で支払った。合わせても8千円ちょいだったし。

 トッピングしたとはいえ、基本はセット物だから、お得だったね。

 コンビニで筆記具を購入し、空いている電車で座れたので、そこで各自の帰りのルートをメモして渡した。

 治癒ちゃんがこつんと私の肩に頭をもたれかけて、

「いつもありがとうね。補助ちゃんがずっと今日まで、細かいいろいろしてくれたから、帰ってこれたんだよ」

「うん、細々したのをやってた自負はあるよ。でも、治癒ちゃんが全体の責任負ってくれたから。最初に剣君が突っ切ってくれて、勇君が塹壕とか結界整えてから出撃してくれたから、帰ってこれたよ」

 私もこつんと治癒ちゃんに頭を当てた。

 剣君は私の隣。

 勇君は治癒ちゃんの隣。

 基本的に、移動の時はいつも、私たちは真ん中で、男子二人が外側で私たちを守ってくれていた。




 終わりが近づく。

 東京駅で降りて、最後にハンバーガーを食べ、東京のチェーン店は三人が一人ずつ万札出しても文句は言わず、そして得られた釣り銭から2000円ずつ私にバックしてくれて(ラーメン屋の立て替え分)。

 連絡先を交換して、解散した。 

 長い長い、異世界召喚の、おわり?


 私たちはそれぞれの家に帰った。


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