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エピローグ

 それから15年ほど後である。

「ではな、子供達。苦労をかけて済まなかった、と伝えてくれ」

 五人の子供達。

 農家の三人兄姉弟と、父親が乗馬クラブや競馬の馬主をしている家の兄妹は神妙に頷いた。

 そして、神は細かい気配をしながらも、どうしてもたまに、雑で。

 彼らを山梨の山中に、おろした。

「どこ、ここ」

「お駄賃で5万円ずつくれたから、日本なら帰れるでしょ」

「外国だったら、ばあちゃんに迎えに来て貰おう。大使館より確実だから」

 わりと図太いお子様達はそのまま、親が通ったルートを、聞かされずともたどっていった。




 子供達の帰りが遅く、補助は夫にサーチを頼んだ。

「このへんにいないな。あ、高尾だ。新幹線かな。移動中? 治癒・勇家の子たちもなんでか一緒に」


「山梨から、帰宅したとき、新幹線は停まらないけれど、高尾、通過した、わね?」

「電話して。車用意する」

「治癒ちゃんたちにもしておく」



 東京駅で待っていなさい、と親たちは子供達に言い渡し、子供達5人は駅で待っていた。

 剣がサーチで探し出して、二家族は生き別れだったかのように、抱きしめ合った。

 それぞれの車に乗り込んで、子供達が親へと言った。

「神様に会ったっ」

「呪い解くのがこんなに遅くなってごめんねだって。あんな遠くに戻されるなんて思わなかったねぇー。お小遣いって5万円ずつくれたから、新幹線乗れたけど。あ、お土産、信玄餅」

 やはり同じところに出たらしい。

 でも、戦争や異世界にまではいってはなくて。

 それを聞いて、二組の夫婦は心底安心した。

 家に帰り着いてから、貰ったのだというそれぞれに対応する箱を子供達は開いた。

 パンドラの箱のように、光が溢れて。

 それぞれの頭や胸に吸い込まれていく。



 初めて。

 四人は夫の、妻の、仲間の名前を認識した。

 そして。

 子供達の名前。

 久しぶりの自分の名前。


 名を何度も呼び合いながら、抱きしめ合って。

 知る限りの名前を呼びながら、愛してる、大好きと繰り返して。


 彼らはようやく、本当に帰還したのだ。

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