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30話:無敵のスターシャドウ!?掴めるか、勝利の糸口!!!

 頭!

 首!

 腹!

 髪!

 腰!

 脚!


 どこを攻撃しても、私の攻撃は(むな)しくすりぬけるばかりだった。


 スターシャドウが実は嘘をついている可能性にかけて全身を探る。

 しかし攻撃を振るたびにむしろ真実味は増し、(あせ)りと苛立(いらだ)ちが胃の奥に溜まっていくばっかりだ。


 イラッときているのはスターシャドウも同じ様で、私が攻撃を振るたびに、私の腹に打撃を加える。


(わらわ)の体が、とても硬い……とか、妾が非常に速い……とかであれば、攻撃を繰り返す理由は分かる。いつかヒビが入る。とか、体力が切れる。とか、な」


 スターシャドウが私の腹を蹴る勢いが増した。


「じゃがなぁ!今回はそういう問題ですらない!わからんか!?いつになったら理解できる!?完全に無駄なんじゃ!!ナン十回ナン百回も計算したら1+1の答えが3に変わるとか思うか!?思わんだろうが!?!?キサマがやっているのはそういう事じゃろうがえぇ!?中山田マトぉ!!!」


 執拗(しつよう)な腹への蹴り、蹴り、蹴り!

 あくまでもプロレスの試合だからか反則技までは使ってこないけど、これを試合という奴はきっといない。

 一方的すぎる。


「くっそー!!」


 アーシがリングに身を乗り出すも、すかさずスターシャドウが声をあげる。


「おっと!一対一の決闘に助太刀はルール違反じゃぞぉ?ま、ルール違反の敗北でも妾は中山田マトの体を奪えるから、むしろやってほしいくらいじゃがな。カカカ……」


「……くっ!」


 アーシは歯を食いしばって(こら)えている。


 その会話の間にも、私は考えていた。

 あと試してないのは、『()()()()』だけか……。

 反撃のチャンスはたぶん、あってもほんの数回……。

 攻撃するなら、抑え込み(フォール)がかけられない以上、その技で気絶させるくらいに……

 もとい、本当に殺すつもりでやらないと、こっちが負ける!!

 なら、使うしかない……!!


 父さんから教わった、『あの必殺技』で……!


 腹を蹴られてリングに突っ伏していた私は、ぐっと起き上がり、スターシャドウを睨む。

 スターシャドウは、睨み返して呟く。


「腹の立つ顔じゃ……いかにも『まだ策はある』という顔……愚策しか残ってないと言うておるのにのう~~!!!!」


 また腹を……いや!頭を掴もうとしている!

 チャンスだ!!


 私は掴みかかってきた手に向かって、手を出し返して掴みかかる!


「スターシャドウがこっちを掴んだ瞬間なら、こちらからも掴み返すことはできるはずだ!!この瞬間を待っていた!一撃でキメきってやるぞ!!


 ……って考えておるんじゃろうなぁ~キサマはぁ~~!!」



 ッ!?

 私の手はスターシャドウの(てのひら)をすり抜けて、空を握った。

 そしてスターシャドウの手は私の腕を貫通しながらも、しっかりと私の頭を掴んでいる!!


「そういう問題ではないと言うておろうが!!!知恵足らずがよ!!妾がどういう状況であろうが、妾が拒否さえすればキサマは一切掴むことができんのじゃあ!!!!」


 う、あう、あ……。


「もはやこの闘いは『(スターシャドウ)がどれくらい時間をかけて勝つか』の問題でしかないんじゃ

 !!分かったら、さっさと、負けろぉぉぉぉお!!!」


 スターシャドウは私の頭を両手で鷲掴みにする!

 いわゆる『アイアン・クロー』の形だ!


「ああ、あれは……!」


 スターシャドウはその状態から膝を落としながら振り向きつつ、私の胸に肩を当ててきた!

 ま、まさか!


 悪寒は的中した。


 スターシャドウは肩を使って私を背負い、そこから引き込んで投げ倒した!

 そして投げた勢いを使い、倒れた私の首に対して肩から体重をかけて倒れこむ!


「あれこそはスターシャドウのフェイバリット技『令嬢絞首処刑(レディストラングラー)』!ああ、こんな!」



 引っ張り、投げ、倒れこみ。

 その3動作全てで首にダメージを入れる強烈な技が流れるように入り、私の意識は朦朧(もうろう)とした。


「ああ、神よ……!おわしますならば、マト様に力を……!マト様に、一筋でも光明を……!」


「くく、神か。もしいるとしても、妾の味方じゃろう、な」


 視界が脳に入ってこないが、ブーツの裏の感触が私の頭にある。


「あまりにも妾は幸運であった。プロレスが強く、貴族社会の世界に心惹かれる、若い女の魂。異世界とはいえそんな都合のいい奴がいるとはな。なんでも探してみるものじゃのう」


 私の頭をガツンガツンと衝撃が走る。


「貴様はユニエといったか?お前もまた、妾にとって都合よく動いてくれた」


 こんどは腹部に衝撃が走る。


「私が!?」


「ああ、本来なら転移した直後の中山田マトに対して、妾が直接ケンカを売る予定であった。じゃがお前がタイミングよく騒動を起こし、更に中山田マトに衣食住を提供した。妾が負うはずだった余計な手間を、お前が勝手に引き受けてくれたわけじゃ!」


「っ……!」


「敵も悪魔も、何も知らぬ者も!なにもかもが!妾の背を押している!妾に勝てと言うておる!!ならば妾は、全てを喰らって勝ち誇ってやるまでよ!!クゥアーーーーカカカカカカカカカカカッッ!!」


 ……。

 なん、て、邪悪な奴だ……。


 本当に、世界はこいつの味方をするつもりなのか……?

 成す術は、もう……?

 ……。




 …………?



『邪悪』……?



(じゃ)』………『(よこしま)』……。



 よこしまなる、ものを……………………。




 ……!!!


 一筋の光明(ひらめき)が、闇に呑まれそうな脳内を切り裂いていく。

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