表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/34

23話:「私達」の闘い

 勝利の興奮が冷めやらぬ場内。

 私はリングから降りて、ユニエに歩み寄った。


「ユニエ」


「マト様、鼻血が」


「えっ、うわ結構ドバドバ出てた」


「お拭きいたします」


 ユニエがハンカチを出す。


「自分でやるよこのくらいー」


「いいえ拭かせてください!私の為に汚れてくれたのですから!」


「べ、別にユニエの為だけじゃないし……」


「えっ、でも先程は『まかせて!』と……」


「いやそれは、その、ええと……ユニエにもっと甘えたかったから、やったんだよ」


「ええ??」


「いや、なんと言ったらいいのか、その」


 しどろもどろになっていると、後ろから声がした。


「マトさんはユニエを頼っているのですよ」


「フォスタ夫人」


「お母様」


「それほどに、マトさんの中で『ユニエの優しさ』は、心強いものだったという事です。優しさと嫉妬の葛藤(かっとう)という、ユニエの孤独な闘いは、決して無駄ではなかったのですよ」


「私の、闘い……」


「母も、これからは一緒に闘わせてね、ユニエ」


 ユニエは私の鼻血を拭いたタオルで自分の眼を拭ってから、私に言った。


「マト様。これからは、私も一緒です」


「え?」


「一緒に、闘わせてください。傷つかせてください。それならきっと、マト様も怖くなくなると思うんです」


「……今みたいに?」


 ユニエがハッとして、私とユニエ自身を交互に見る。

 どうやら、自分がボロボロの大怪我状態なのを忘れていたみたいだ。


「ふ、うふふふふ……」


「あ、ユニエのその顔、初めて見たかも」


「そうでしたか?」


「そうだよ」


「ふふふ……」


「へへへへ……」


 私とユニエが笑い、それを見た夫人もにこやかにしている。

 と、そこに割って入る声があった。


「なに笑ってんだ……」


「アーシ……?」


 アーシだ。

 その表情は困惑のような怒りのような羨望(せんぼう)のような、そんなカンジだった。


「お前らなに笑ってんだって聞いてんだし!次の相手はソヴェラ姉様だぞ!?国内最強!レイデ姉様だってソヴェラ姉様には一切逆らおうとしなかった!ただの一度だって!」


 アーシの顔がますます歪み、肩で息をしている。


「勝てる自信でもあんの!?それともレイデ姉様に殴られすぎて頭イカレたの!?」


「自信があるかって言われたら……わかんないよ」


「だったら!」


「でもさ、願っちゃったから。……変えたい、変わりたいって」


「! … …! ………!!! 意味わかんねえしっ!!」


 アーシは顔をひくつかせたまま去っていった。


 そう、アレグリッター姉妹は、まだ1人残っている。

 ソヴェラ……待ってろ!

 お前たちの非道がまかり通る貴族社会、私達が変えてやる!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ