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9. 情報過多

7話のあとがきでも書きましたが、単属性のルビをアリアからソロへ変更しました。

 



 村に出現するゴブリンの討伐及び原因を排除する為、森の中へと入った。一行は俺と姉さんを中心に囲む様にして索敵をしつつ歩いていく。

 


そんな時、隣から心配そうな面持ちで……


「ねぇ……ドア、大丈夫?もし、怖かったらお姉ちゃんが手……繋いであげるわよ?」




姉さんと手……それは全然構わないし、寧ろ嬉しい。けど、俺はもうゴブリンの弱さ知ってるからなぁ……いや、待てよ?ここで怖がってないと普通じゃない?……でも姉さんに心配はかけたくないし……



「姉さん、ありがとう。俺は大丈夫だよ。」



そう若干惜しみつつ心配ない事を伝えても、どこか不安そうで落ち着かない様子。



「そ、そう。……それならいいんだけど…………」




……そんな時、後ろから優しく肩を掴まれ、シッ、と唇に人差し指を立てる仕草。



「2時の方向、30メートル先、数は5、発見。」



 ――ミリエラの的確且つ端的な索敵報告――


どうやら、ミリエラさんも見つけられた様だ。

ミリエラさんよりも先に探知できていたが、力を隠している俺は勿論言わない。



 そんな、ミリエラの情報を頼りに歩いていくと、15メートル先、目視できる位置まで近づいた。



 5匹の反応……ゴブリン達は、すぐ近くに命を狙っている者が潜んでいる事に全く気がついていない様子で…………座ったり、自慢の棍棒を見つめたりと思い思いの日常を過ごしている。




「どうする、リーダー。私の魔法で殲滅してもいいんだけど……」



 杖を握りしめ木に身を隠しながら、ルネッサが小声で確認を取る。

それを聴いたエイクは、ふむと少しの間考えを巡らし、後ろに居る俺と姉さんの顔を見て、パーティーメンバーへ指示を出す。



「いや……ここは僕達の実力を知ってもらおう。このまま正面から行く。」



「「「了解」」」




 俺たちも頷き、指示通り身を隠すのを止め、ゴブリン()へ向かっていく。とはいえ、そこに恐怖は微塵もない。



 ザッ、ザッと足音や気配、それらをなに一つとして隠そうともせず向かっていけば、さすがのゴブリンでもすぐに気付く。



 こちらに気付いたゴブリン等は、すぐさま戦闘態勢に移り、走りよ…………って来ると思いきや、突然の静止――――そして、互いに顔を見合わせ、ギヒャギヒャと人の神経を逆撫で、魂を汚される様な嗤い声(不協和音)

そしてこちらへ向き直し、ルネッサとミリエラ、そしてエリシアを見つめ、ニタァ……と下卑た笑みを浮かべる。



「つっ!最悪!」 「死んでください。」



 ルネッサとミリエラ、二人の嫌悪の声が漏れる。隣からは、ギュッと袖を握られる感触。



 ――――姉さん?



 横を見れば、生まれて初めて見る姉の怯えた表情。

普段、真面目でしっかりとしていて、剣を振るう時の凛々しく美しい姉さんの顔はそこには無かった。


 そんな反応を見て気を良くしたのか、ゴブリン等が欲望のままに襲ってくる。




 こいつら…………絶対に殺す!!



 目の前のゴミを一片も残さず殲滅すべく魔力を――――ふー、落ち着け。大丈夫、大丈夫だ。たかがゴブリンだ、冒険者(こいつら)でも倒せる。それに、いざとなったら俺が――――



 ――――やはり、所詮ゴブリン……5匹の内、3匹をタテノが盾で攻撃を防ぎながらヘイトを集め、後方への侵入を防ぐ。そして女性を目掛けて横から攻めてくる2匹はエイクが瞬く間に切り捨てた。


 そして、タテノがヘイトを集めている隙に呪文の詠唱を始めていたルネッサが魔法を放つ。



「…………従い……かの敵を射よ!――水の矢(ウォーターアロー)!!」



 ルネッサが掲げた杖の周囲に生成される数本の水の矢。それが、斜め上に射出され、タテノを超える。そして、残りの3匹の頭上に到達した途端、ガクッと真下へと向きを変え、ゴブリンを突き刺していく。




「ふぅー、スッキリしたわぁ!」



「おい!ルネッサ、危ないじゃないか!僕にまで当たりそうだったぞ!」



 ゴブリンどもに下卑た目で見られた怒りを発散して晴れやかな様子のルネッサと、抗議の声をあげるタテノ。



「ふん、うるっさいわね。当たってないんだからいいじゃない。……それより、ねぇドア見たでしょ、私の魔法! 言っておくけど、ただの水の矢(ウォーターアロー)じゃないわよ? 本来真っ直ぐ飛ぶ矢の軌道を変えているのよ!どう?ほら、この美人な私に何か言ってみなさいよ!」



――ルネッサさんの魔法を褒める、今はそれどころじゃない。魔法の軌道を操作するなんて俺にもできる。今はギュッと手を握られている姉さんの事も心配だけど、それより――――


 そんな俺の様子を見てか、助け舟をミリエラさんが出してくれる。



「…………はいはい、ルネッサちゃんは凄いですね〜。最近習ったばっかりの()()()()をすぐに使えるなんて凄い凄い。」



「ちょっ、ミリエラには訊いてないわよ!ほら、ドア何か言い…………ってどうしたのよ?」



 こちらを心配そうに見つめる紫紺の眼。

そんな表情をさせる事に少しの罪悪感を覚えつつ、先程から抱いていた疑問を投げかける。



「あ、えっと……じゃあ……美人なルネッサさんに質問です。……どうして、倒したゴブリンの死体が消えているんですか?」



 そう。消えているのだ。エイク達〈黄金の誓い〉が倒したゴブリン等が、まるで幻だったかの様に消え、一つも残っていない。

死体が在るはずだった場所には、代わりに紫色の小石程度の魔石だけが落ちている。



「あ、そんな事?……そんなの、今の奴らがダンジョンで生成されたゴブリンだからってだけじゃない。」



その答えを聞いていたエイクが、軽く溜息をつきながら……


「ルネッサ、それじゃあ説明が不十分だよ。……でもこれは、今回のクエストにも関係あることだから、この先は僕が説明するよ。」



 無言で頷き、続きを促す。



「先ず魔物はダンジョンで生成された魔物と、普通にこの世界で生まれ、繁殖している魔物の二種類だ。それらの違いは沢山有るけど、その内の一つが、さっきルネッサも言っていた、死体が残るか残らないか、だね。」



……そうなのか。つまり、それが居るという事は――



「……という事は、村の近くにゴブリンが生成されるダンジョンがある。…………そして、そこから溢れ出てきている、という事ですか?」



「うん、正解。そしてそれは〈魔物の大津波(スタンピード)〉の前兆でもあるんだ。まぁ今回は幸い報告が早かったからね。この段階なら、ダンジョンに行って間引けば全然問題無いと思うよ。」



魔物の大津波(スタンピード)〉……大量の魔物が一気にダンジョンの外へと溢れ出る現象(災厄)のこと。その現象が起こる要因は幾つか確認されている。……その内の一つ。

――ダンジョンは何もせずとも魔物を生成し続ける。それでも、ダンジョンから魔物が外へ溢れ出る事は基本的にはない。……だが、何事にも許容量は存在する。よって、放置され続け、魔物の数が許容量を超えた時、それは起こる。


ゴブリンの〈魔物の大津波(スタンピード)〉となったら、最悪だ。奴らゴブリンには雌がいない。だから、子孫繁栄の為…………いや、奴らはただ自らの欲望を満たす為だけに他種族の雌を犯す。子孫繁栄はただの結果でしかない。そんな奴らが大量に、小さい村の様な戦力を持たない所に放出されたなら――――



 いや、そんな事より!

今、村の周囲に居るゴブリンが、ダンジョンから溢れ出たものであるなら、俺が一昨日倒した奴らは――――――



「まぁ、と言っても余裕がある訳じゃないし、ゴブリンはとても厄介な魔物だからね。先を急ごう!」





▲△▲△▲







カチ、カチ、カチと普段なら気にせず、意識すらしない一定のリズムで鳴る音。

ロアは魔力を込めるのを止め、ふと、音の発生源へと目を向ける。



「もう、こんな時間。」



おにいさまは、トケイと呼ぶ魔道具〈今奏具〉は10時を指している。いつもならこの時間は、お母さんから色々な事を教えてもらう時間となっているけど、今日は休みだ。


……なんでも、村にたくさんのゴブリンが来ているというのだ。



そのため、村の貴重且つ最高戦力である私のお父さんとお母さんは、大人達と対策会議に行っている。……だから、今は家の中で1人きり。



――初めてだ。

家の外に出たくない私を独りにしない様に、常に誰かが居てくれた。中でもおにいさまは特に―――



「ふっふふ〜ん♪」



一人、魔力障壁の自主練習をしながら、思わず鼻歌を口ずさんでしまう。

だって嬉しいのだ!たまらなく嬉しいのだ。



「おにいさまと一緒〜〜♪」



私の適正属性が闇属性である事は、ずっと前から分かっていた。………それはみんなも同じ。

なぜなら、属性の関係の無い〈魔力障壁〉〈身体強化〉…………とか色んな魔法を教えてもらったけど、その全部に〈闇属性〉が付与されていたからだ。


そして、この小さい村ではどんな情報でもすぐに全員に知られてしまう。……そうなれば、私の黒髪も合わさって、村の人間からは良い目では見られない。特に村の子供達からは、嫌な事を散々言われたりもした。



――私はそんな〈闇属性(魔族の象徴)〉が大嫌いだった。何より、私の所為で私の大好きな家族にまで嫌な思いをさせてしまう私自身が大嫌いだった。


でも――――昨日の適正属性の鑑定で、そんな気持ちは一瞬で吹き飛んだ……吹き飛んでしまった!



だって私の大好きなおにいさまが、私と同じ〈闇属性〉に適正があったからだ!

それに弱い適正ではなく、私と同じ……単属性(ソロ)と同じ適正の強さなのだ!




――――今、私はすごく魔法の練習をしたい!

私の闇属性魔法が強くなればなるほど、おにいさまにより近づける気がする。


それに――――



こっそり練習しておいて、魔法が大好きなおにいさまに褒めてもらいたい!




「よしっ、もっと頑張らなきゃ!」



大好きなおにいさまに褒めてもらう事を妄想し、一人二マニマしながら、魔力障壁の二枚同時展開、魔力障壁の一点集中……など今までに教わった様々な魔法の練習に力が入る。



おにいさまは、私の一番好きな御伽噺に登場する()()()()()の様に強く、誰よりも優しい。



「あ〜、おにいさまに逢いたい……。」



最近……おにいさまは、一緒にお風呂に入ってくれないけど、今日ぐらいはいいだろう。もし、ダメと言われても勝手に入ってしまえば、優しいおにいさまのことだ……優しく受け入れてくれるはず!



そんなおにいさまは今、お姉ちゃんと一緒に、村に来た冒険者と帰らずの森の中へ行っている。



――――でも心配は無い。おにいさまのことだ、きっととても凄い魔法を使って冒険者達を驚かせているに違いない!



…………だけど、お姉ちゃんは大丈夫かな?




――――1年ぐらい前、今回と同じく村にゴブリンがたくさん現れる現象が起きた。……その時は、お父さんがお姉ちゃんを連れてダンジョンを攻略したことで、すぐに事態は収まった。



…………でもその晩、お姉ちゃんは酷く疲労し、涙ぐんでいた。



どうしたのか訊くと、お姉ちゃんが一人でどれだけやれるのかを試す為に、お父さんがお姉ちゃんを一人で戦わせたらしい。

お父さんからしたら、お姉ちゃんの強さを知っていたし、信頼もあったからやったんだろうけど…………



初めての殺し合いで、しかも自分の命だけでなく、体までも狙っている相手に恐怖し、普段の実力を全く発揮できず、動くことすら出来なかった。



……そう小さな震える声で説明してくれたお姉ちゃんの目から流れる雫。

その理由は、ゴブリンへの恐怖なのか、何もできなかった悔しさなのか……それは私には分からない。


一応言っておきます。安心してください。父がすぐに倒した為、エリシアは何もされていません。

もしこの時、姉さんがヤられていたら、きっとドアがこの世界の魔王になってます。(適当)

それはそうと、皆さん異世界に行ったら使ってみたい魔法とかありますか?……参考までに教えてもらえたら嬉しいです!

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