表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/21

3. 練習

 異世界転生してから1週間が過ぎた。相変わらず、ベビーベッドの中で1日の大半を過ごす日々を送っている。そんな中でも、1週間の間に分かった事が大きく分けて3つほどある。


1つ目、父、母、姉の四人家族である事。

2つ目、言語が通じない系の異世界である事。

3つ目、転生後の俺は、ドアという名前で男の子として転生した事。


 1つ目、2つ目は、日中の赤ちゃん的活動、略して赤活をしている時にすぐに分かった。3つ目の自分の名前は、言語が分からないながらも、自分に向けて呼びかける温かな両親の声で自然に理解する事が出来た。



 ――うーん、改めて考えてみると、かなり理想的なシュチュエーションだよな。


 でもまぁ……確かに少しだけ、本当に少しだけ超絶美少女に転生してみたいという願望はあったけれど、前世と同じ男として転生できて良かった。


 そもそも、人間に転生できて良かった!最近は魔物に転生も普通だし、なんなら生物ですらない転生もあるからなぁ……うん、人間で本当に良かった!それに、転生の仕方も当たりを引けたし、最高だな。



 異世界転生ものの転生の仕方は、大体が2つに別れる。10歳頃に頭をぶつけたりなんなりして、前世の記憶を思い出す、これが1つ目。次に2つ目は、王道であり、今回俺が体験している、赤ちゃんの時から前世の記憶があるパターン。


 俺としては、赤ちゃんからの方が、より()()()を堪能できて良いと思っていたし、今もそれは変わらない。だけど…………何も出来ないっ!!


 ラノベとか漫画で、赤ちゃん編の話なんか無くて、大体がとばされている理由がよく分る。だって、立つことも話すことも出来ないからね。これじゃ何も語ることなんて無いし、読者(みんな)も飽きちゃうだろうしね。


 ……でもだからといって、この1週間何もしていなかったわけではない! ふっ、自由に動けなくとも、ここ()()()では出来る事が、やりたい事が山ほどある!!



 前世の記憶を思い出した1週間前、その日から既に、異世界を満喫する為、異世界でしか出来ないある事に取り掛かっている。


 さっきも言ったように、やりたい事は山ほどある。それに、最初というものは、何においても重要だ。それが大切なことやものであれば尚更大切に、慎重に考えなければならない。……だが俺は、迷わず魔力操作の練習から始めることにした。


 〈魔力操作〉とは、体内を循環する魔力を操り、指先に集めたり、全身に隈なく巡らせたりと、文字通り()()()()()ことを俺は〈魔力操作〉と呼んでいる。


 転生した直後は、あんなにも魔法を使いたがっていた俺が何故、最初から魔法ではなく、魔力操作の練習をしているのか?


  それは……転生してすぐ、魔法を使おうとしたら、全く制御が出来なかったからだ。ただの()()のイメージが、()()()()()()程の大きさになる事の恐怖は説明するまでもないだろう。その後すぐに形が崩れて、びしょびしょに濡れるだけで済んだのは幸いだった。


 ……だがもし、あの水の魔法、仮にウォーターボールが放たれていたと思うとゾッとする。あの時みたいに自分の意のままに制御出来ないのに魔法を使おとすると、自分だけでなく周りの人をも巻き込む大事故になってしまう可能性がある。そこで先ずは、前世では存在しなかった、もしくは感知出来ていなかった()()自体に慣れることから始めよう……と思ったわけだ。


 その1週間前の出来事から、寝る時以外は常に体内を循環する魔力に意識を向けて、操作する日々を送っている。――その甲斐あって、今では全身の至る所に魔力を集める事が出来るようになった!


  とはいえ、今はまだ2部位までしか同時に集める事が出来ない。同じ手だとしても、1本の指に集めるのは簡単なのに、親指と小指同時に集めようと思うと、途端に難しくなる。正確に言うなら、集めるだけなら簡単だけど、()()に集めるのが難しい。だからと言って、そこを疎かには出来ないし、したくない。魔力量を自分の想定通りに調整出来る様にならないと、魔法を自在に扱えないだろうし、リスクは高いままだ。


 今言った、操作する魔力量を調整する事は、〈魔力操作〉と言うよりは、〈魔力制御〉と言った方が適切かもしれない。……まぁ、取り敢えず自分の中では、操作する魔力を多くしたり、少なくしたりと()()()調()()()()()を〈魔力制御〉と呼ぶ事にしよう。細かく言えば、もっと色々あるんだろうけど、誰かに説明する訳でもないし、自分で分かっていればいいでしょ。


 ……とまぁこんな感じで、自分の中で整理しつつ魔力というものを少しずつ勉強し、慣れていっている最中だ。正直……めちゃくちゃ楽しい!!



▲△▲△▲



 〜〜1年後〜〜


 窓から月明かりだけが差し込む深夜。本来であれば、人々は活動を休止し、既知なる今日を学び、未知なる明日に備える時間。


 ……それと同時に、俺からすれば、人に見られる可能性が低く、誰にも邪魔される事のない貴重な時間。


 ――日中は、1歳の幼児として振る舞い、相変わらずベビーベッドで1日の大半を過ごす日々。そんな状況では、魔力なんて使えるわけもない。とは言っても、目を盗んで軽く使ってはいるけれど、基本的に日中は情報収集に勤しむ時間となっている。



 そして、家族全員が寝静まる深夜、漸く(ドア)としての今日が終わり、(黒羽 湊)としての今日を始める事が出来る。



 だが、それには先ず、皆が寝ている事を確認しなければならない。そんなに派手な事をするつもりはないが、念には念を入れる。



 そこで……寝息を確認する為、全意識を聴く事だけに集中する。勿論、魔力による聴覚の強化も怠らない。


 ――――うん、全員分聴こえる!


 家族全員の寝息を確認し、目視でも警戒しつつ、身体強化の練習に取り掛かる。



 〈身体強化〉とは文字通り身体能力を魔力によって強化するというもの。更に、先程寝息を確認した時の様に魔力を込めることで、聴覚や視覚等の()()をも強化する事が出来る。

 

 その身体強化を全身に、均等に行う練習の為、魔力を全身に巡らせ、魔力を込める。


 ……いや、俺の感覚としては魔力を()()()というより魔力を()()()()、と言った方が感覚としては近い。



 ――――よし、出来た! 昨日よりだいぶスムーズになってる!



 魔力を全身に巡らせる速度、魔力量を均等にする魔力制御もかなり良い感じ!……となると、一度に使える最大魔力量を増やしていく事が今後の課題かな?



 ――よしっ、次は魔力障壁の練習だ。



 〈魔力障壁〉とは、全身に魔力の膜を張り、堅固にした魔力の鎧の事だ。……とかっこつけて説明しているけれど、魔力の操作と制御の感覚は、今やった、身体強化と然程変わらない。


 そも、身体強化の練習中に、「これ、込めた魔力を硬くすれば防御魔法にもなるんじゃね?」という思いつきで生まれたものだ。……将来的な目標としては――――相対するは、御伽噺になるほどの最強にして最凶の黒龍。伝承では、かの黒龍が姿を現す刻、すなわち世界の終焉を意味するとされている。そして、今まさに黒龍のブレスが俺目掛けて放たれる。……誰もが世界の終焉の伝承が頭をよぎったその時!……「今、何かしたか?」と土煙の中から、何事も無かったかのように言う俺っ!!――これがやりたいっ!!




 ――――――11、12、13、14。……5分14秒か〜〜。確かに延びてはいるけど、これじゃ、実戦では全然使い物にならないし、そもそも魔力量が少なすぎない?……これは、やっぱりあれを試すしかないかな。



 魔法を維持するのは魔力の消耗が激しい。現段階では、魔力障壁を全力で張れるのは5分が精一杯だ。この短さの要因は、一重に魔力総量が少ない事。


 ……その為、魔力総量を飛躍的に増量させるべく、前世で熟読した魔法の教科書(ライトノベル)で学んだ方法を試す事にした。


 それは――魔力を全て使い切った際、枯渇した魔力を回復させようとして生じる魔力の超回復。それによって魔力の器が大きくなり、魔力総量が上がるとか何とか……まぁ、理屈なんてどうでもよくて、兎にも角にもこの方法を使えば、魔力の総量が上がるらしい。


 ――早速、残存している魔力を浪費する。



 っつ、これはやばいかも……



 体内の魔力が減っていき、0に近づくほど増す不快感。魔力が完全に無くなれば、ガンガンとまるで鈍器で何度も殴打されているかのような激しい頭痛。そして――――次第に意識が朦朧とし始める……そんな刻、1つの懸念と似た感覚を思い出す。



 ――――そういえば、魔力が0になったら死ぬ設定もあった……よう……。



 ▲△▲△▲



 窓から太陽の光が差し込む早朝。本来であれば、人々は活動を開始し、未知なる今を開拓し、既知なる今を創る時間。そんな今、ゆっくりと瞼を開き、今居る世界を確定させる。



 良かった、生きてる……。


 魔力を失うと死ぬという設定は、多くはないがたまにある。それに徐々に意識が薄れる感覚も相まって、このまま死んでしまうんじゃないかと恐怖も覚えた。だが、 どうやらこの世界では、魔力を枯渇させても死なないらしい。


 とはいえ、これだけ超時間気を失ってしまう程、体に負荷が掛かってしまう。となると、実戦で魔力を失うのは死に直結するか。……ならやっぱり、魔力は多いに越したことはないな。…………ってそんな事より!魔力を枯渇させても死ななかった今、一番重要な事は、本当に魔力の総量が上がったかどうかだ!今すぐ確認………………するまでもないか。


1話と2話、短いですし1つに纏めた方がいいと思いますが、1話の終わり方が気持ちよくて、2話に分けちゃいました……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ