2. いああいえんおうあ
走馬灯、それは人が死ぬ間際に見るとされる、それまでに体験した記憶の再生。その現象が、今正に自分の身に起きている。
楽しかった記憶、幸せだった記憶、悲しかった記憶、様々な記憶が、次々に再生されていく。――そして、小学生を助ける為に道路に飛び出して、俺の長い様で短かった16年の人生は終映した。
思えば、あの時の俺は死ねる理由を探していたのかもしれない。黒羽湊の人生、つまり俺の人生は辛く、苦しい事ばかりだった。逃げたくても逃げ出せなくて、死にたくても行動する勇気は無くて、だから必死に生きる理由を探し、求めていた――そんな人生だった。でも、そんな人生も……もう終わる。
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あれ、ここどこ?
目を開き、最初に抱いたのは、自分が何処に居るのか、というあまりにありきたりで純粋な疑問だった。此処は病院のベッドの上でも、自室のベッドの上という夢オチでもない。なら、と未だ困惑し、雑然としている思考を整理する為に、先程見た記憶を再生する。
トラックに撥ねられて、そこから……
トラックと死、これらを繋いで思考すると、1つの考えが浮かぶ。そのあまりに楽観的な考えに、期待に胸を高鳴らせるも、精一杯抑え込む。そして、自分と周りを見回し、状況の把握に努める。
木造の簡素な部屋。横に視線を向ければベッドが有る。次に、赤ちゃんの様な小さな手指、自身を囲む簡易的な柵、再生、そして……
ここまで揃ったら、もうあれしかないっ!何度も夢見て、切望し、熱望し、渇望していた、あの――異世界転生だ!!!
赤ちゃんの身体じゃなければ、踊り狂っていただろう。まぁ、俺はダンスが下手だから、文字通りになりそうだけど……
いや、待て、落ち着け。
まだ、異世界転生と決まったわけじゃない。
とはいえ、異世界だというのはほぼ確定、確信している。なぜなら、自分の身体の内から、今までに感じた事の無い力の流れを感じるからね。
その力が何なのか、それに勘づきながらも、心の底から喜ぶ為に、目を閉じ、身体に意識を集中させる。
――すると、先程よりも鮮明に力の流れを感じ取る事が出来た。
間違いない、これは魔力だ。
魔力、そんな不思議パワーを使った事は勿論無い。だけど、不思議と使い方が分かる。
昔から使っていた――そんな気さえする。
目を開くと、灰色だった俺の世界が魔力によって色を取り戻した。今直ぐに魔法を使いたいという衝動に駆られるが、まだ言っておかなければならない事を言えていない。物語では、お約束であり、決めゼリフであり、人生で一度は言ってみたいあのセリフ。
それは――
「いああいえんおうあ」
小説難しい……。皆さんがいかに凄いのかが身に染みて分かりました。上手く書けたと思っても、後々見返すと変に思えてきて、上手く直せたと思ったら……のエンドレスです。。




