07 お願い
現在、地下9階からの下り坂。
ここまでは順調にクリア。
マーリエラさんも、ひとりで前衛無双するのではなく、
アンチさんが水弾でサポート出来るよう、動きを工夫してくれているようです。
工夫とは、要するに手加減。
つまりおふたりとも、ここまで全然余裕のよっちゃん。
置物状態なのは、俺だけ。
で、そろそろ地下10階。
どうやら、この下り坂の先にある地下10階が最終地点みたいですよ。
『いつも使ってる『探査』魔法をダンジョン向けにイジった『広範囲『探査』魔法』だと、次の地下10階が終点』
『で、そこはたぶんラスボスの部屋の大広間』
『かなり大きめのケイブウルフの周りに、大量の二枚歯ウルフ、かな』
ふむ、まさにラスボスですな。
さてどうしましょ、フォーメーションとか連携とか。
いや、分かってますよ、俺のポジションは。
それでも、あえて確認したくなる微妙なおっさんマインド、分かってほしいのです……
『おじさん、お願い聞いてくれる?』
何かな、アンチさん。
えっちっちなこと以外なら大抵のことはOKですよ。
『"スイッチ"入れたおじさん、見てみたい!』
おっと、どうしよ。
ここまでおふたりに任せきりだったし、
最後くらいは頑張んなきゃいけないかもしれないけど。
えーと、マーリエラさんは、どうです?
「あの状態のノアルさんなら、このダンジョンのボスならサポート不要で無双出来るでしょう」
「私も……見たい、です」
そこまで言われては……
ひとつだけ、約束してください。
あの状態は、俺自身にも全く制御不能ですので、
いつも通りののほほんな俺に戻るまでは、絶対に近付かないでください。
もしおふたりに襲いかかってきたら、躊躇せずに全力でやっちゃってください。
これは、絶対に、ですよ。
『はいっ』
「はい……」
うん、本当に久しぶりだな、"スイッチ"入れるの。
若造の時に不発して以来だよ。
ふーっ
それでは、
行きます!




