17 全力
到着した例のダンジョンは、現在一般の冒険者は立ち入り禁止の封鎖状態。
冒険者ギルドの担当者さんと、護衛してる真面目そうな冒険者さんたちが、
入り口の前で野営しながら住み込みの見張り番。
各方面の方々、本当に申し訳ない……
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担当者さんが指名依頼であることを確認し、
封鎖解除してもらったらすぐに突入。
勝手知ったる洞窟ダンジョンを、全力で地下10階目指す俺たち。
いや、マジで全力突破。
何せギルド査定では初心者向けなダンジョンですから、
すでに一度踏破している俺たちには、まるで無人の野を進むが如し。
……えーとごめん、嘘ついた。
確かに、マーリエラさんとアンチさんは無双状態ですが、
俺、息を切らせながらついて行くので精一杯。
つまりは、おふたりのおかげで通れるようになったところを、はぁはぁ言いながら進むが如し。
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はい、着きましたよ、地下10階のボス部屋入り口。
この先に、例のへたれケイブウルフどもがいるんだけど、
今日は上の階層まで上がってきてなかったみたいだね。
『違うよ、追い詰められてここまで逃げ戻ってきただけ』
『広範囲『探査』魔法でずっと見てたけど、ラスボスたち、何だか気の毒なくらいに慌ててた』
えーとつまり、連中は俺から逃げまわってるうちにここまで戻ってきちゃった、と。
どんだけへたれなんですか。
『だって、あの時のおじさま、本当に凄かったし……』
「私は……ケイブウルフたちの気持ち、分かりますよ」
ちょっとおふたりとも、このお茶目なおっさんを魔王扱いするの、やめてもらえません?
まあ、それはそれとして、
これからどうするかを、今からしっかりと話し合いましょうか。
『おじさま、もしかしてノープラン……』
「流石に、ちょっと困ってしまいます……」
えーと、てへぺろ?
『…………』
「…………」
さて、場も和んだところで、
ラスボス対策をじっくりと話し合いましょうか。




