16 ご指名
エルサニア王都から延びる街道を、
お馬さんモードなアンチさんの背に揺られながらのふたり旅。
おっとゴメン、今は3人旅だよね。
向かうは、例の新ダンジョン。
その名も"初心者向けダンジョン"
えーと、これが正式名称になっちゃった件に関しては、
俺は一切関わってませんから。
いやホントマジで。
『またあそこ行くの……』
ちょっと、アンチさん。
テンション低すぎですよ。
俺たちもギルドから指名依頼が入るほどのパーティーになれたってことですから。
ここが腕の見せどころ、ですよ。
「指名依頼……」
あー、マーリエラさんもテンションが微妙ですね。
詳しい説明しないで、いきなり連れ回しちゃってごめんなさい。
えーとですね、あのダンジョンにいたラスボス、覚えていますよね。
臆病ケイブウルフとその取り巻きたち。
ほら、アイツらって、ダンジョンのルールをガン無視して好き勝手にボス部屋から出てたでしょ。
それで、上の階層で冒険者パーティーと鉢合わせしちゃうらしくて。
あそこのダンジョンって、ギルド査定では初心者向けだったよね。
初心者パーティーがダンジョン探索の訓練に来たらいきなりラスボスとばったりって、
そりゃ不味いだろってことになっちゃって。
ああいうダンジョンのラスボスって、
コアさえ破壊しなければ何度でも復活するんだよね。
たださ、例の逃げ癖状態がデフォルトになっちゃってるらしくて、
何度倒されても、復活するのは逃げ癖ケイブウルフなんだって。
ギルドの方でも困ってるみたいでさ、
せっかく王都の側に初心者育成にちょうどいい感じのダンジョンが出来たのに、
見境なくラスボスうろうろじゃ、危なくてしょうがないよね。
で、責任問題になったみたいでさ。
ラスボスに変なクセ付けたのは誰だ! って。
そんなこといまさら俺たちに言われても困るんだけどさ、
俺がサインした書類のどれかに、責任問題に関する規約があったらしくて、
それで、どうしてもってことになっちゃって。
ホントごめんね、
ふたりを巻き込んじゃって……




