15 気付き
命名:『コレクショニア』
うん、我ながらイイ感じではなかろうか、と。
冒険者パーティー名としては、
やらかす一歩手前でどうにか踏みとどまってるし、
ちゃんとギリギリまで攻めてる感も残ってるし。
何となく、怪しげなセミナーばかり開いてるアレな団体ちっくな名前でもありますが、
俺みたいなおっさんがリーダーしてるっていう残念感で、
怪しげ感を上手く相殺出来てるよね。
本当は、パーティーメンバーの多様性を表現したつもりだったのですが、
哀しいことに誰も気付いてくれないので、いまさら大っぴらにも出来ず。
まあ、おふたりが気に入ってくれているので、諸々結果オーライってことで。
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「では、パーティー名も決まったことですし、次は活動予定ですね」
はい、それでは例によってメンバー会議で諸々決めましょうか。
マーリエラさんは、行き先とかやりたいことのリクエストは?
「ノアルさんと一緒なら、何処へでも、どんなことでも」
……ブレないですね、
初めて出会った時から、まっしぐらムーブ全開。
まさにイケてる冒険乙女。
これからもよろしくです。
「はい、こちらこそ末永くよろしくお願いします」
『いいなあ、らぶらぶ』
いえいえ、アンチさんもとっくに一心同体一連托生ですよ。
で、行き先とかやりたいことのリクエストは?
『美味しいものいっぱい食べて、楽しいこと出来れば、どこへでも!』
……ブレないですね、
合流した時から、まっしぐらムーブ全開。
まさにイカした冒険娘。
これからもよろしくです。
『おじさまは、どうしたいの?』
えーと…………
よくよく考えたら、具体的にどうしたいのかなんて、
野望も希望も持ったこと無いね、俺。
まさにイイ歳してぼーっとしてるおっさん。
"低職処分"でお城を放り出されてからは、
食うのに精一杯で、先のことなんて考えられなかったし。
マーリエラさんと出会ってからは、
ふたりでぶらり旅する日常が楽しすぎて、先のことなんて考えなかったし。
アンチさんとパーティー組んでからは、
みんなで冒険出来るのが嬉しくて、先のことなんて考えるどころじゃないくらい毎日が充実してるし。
それって、みんなで一緒に何かするってことの方が重要で、
内容は何でもアリってこと、だよね。
今までだって、足の向くまま気の向くままのぶらり旅で、
行った先にオモシロイベントがあったらラッキー、無ければすぐに次の場所、
ってな感じなエンジョイフリーダムジャーニーだったし。
要するに、みんな一緒だったら、どこ行ったって楽しいってことだから、
アレコレ悩まずとっととどっか行こうぜ、ですな。
『いまさらこんなこと言ってるんだよ、ホント鈍感だよね』
「これがノアルさんですよ」
まことに申し訳ございません。
ってなわけで、いよいよぶらり旅を再開することになったので、
一応、各ギルドの方に挨拶してくるね。
例のダンジョン関係は全部片付いてると思うけど、
やり残しとか無いよう、ちゃんと確認してから、
スッキリ気分で旅に出たいよね。
それじゃ、マーリエラさんたちは長旅準備の買い出し、よろしくね。
俺は各ギルドに挨拶まわりです。
それじゃ、行ってきまーす。




