01 ダンジョン
時系列的にはリヴァイス01の数年前。
『リヴァイス 85 おっさん召喚者と千客万来な暴れ旅』の続きで、
召喚者ノアルのお話しです。
お楽しみいただければ幸いです。
はい、ノアルです。
ただ今、ダンジョン攻略中。
採取専門冒険者の俺が、なぜこんなことになってるのか、
詳しくは後述。
---
ハズレ召喚者にして採取専門冒険者の俺、ノアル。
特務司法官として俺を監視する任務中の嫁候補、マーリエラさん。
ゴーレムコアなのに今は『メタルっぽいスライム』と融合中の、アンチさん。
新パーティーでのお互いの実力の確認と役割り分担振り分けをしましょうってことで、
エルサニア王都を出立後、近場の町や村でギルド依頼をこなしてきた俺たち。
スゴいよ、新パーティー。
足りなかったピースがピタッとハマったって感じ。
超技術ゴーレムコアとしての能力と新たに得たスライムボディの特性を活かして縦横無尽の活躍のアンチさん。
安心して背中を預けられる相棒を得て、これまで以上に前衛無双出来るようになったマーリエラさん。
おふたりとも、マジハンパ無し。
俺は……ほら、パーティーの司令塔としての役割りを……
果たしていませんね、全く。
我ながらびっくりするほど何も出来てないですよ。
……だってさ、俺だもん。
迂闊に"スイッチ"入れちゃって意識トバすとナニ仕出かすか分かんないし。
そもそも、イケてる冒険者ムーブ出来てたら、採取専門冒険者なんて名乗ってないっての。
「私がこれほどまでに頑張れるのは、ノアルさんがいてくれるからこそですよ」
「あまり前に出て心配させるようならお仕置きです」
『そうそう、私をこんな身体にしたんだから、責任取って大人しくしててよねっ』
……なんすかね、これ。
ハーレムともヒモとも違う、なんとも言えないこの感じ。
あえて言うなら……お子様ランチの旗、かな。
料理の味にはこれっぽっちも関与しないけど割と必要とされてます、みたいな。
でも、採取専門冒険者として頑張ってますからっ。
めっちゃ長生きなアンチさんの豊富な知識と、
マーリエラさん経由の司法省最新情報のおかげで……
---
てな感じな新パーティーではありますが、
おふたりの連携はもうバッチシだし、そろそろ真剣に次の旅の行き先を考えようってことに。
そして、出来れば長旅の前に英気を養えるようなところでのんびりしたいな、となり、
リサーチの結果、人里離れたとある場所の草原が風光明媚なまったりプレイスでオススメ、となりまして、
お馬さんモードのアンチさんにふたり乗りして、ピクニック気分でいそいそとお出かけ。
そこで俺の広範囲『鑑定』が見つけちゃったのが、
地図に無いダンジョンの入り口。
マーリエラさんによる司法省最新情報でも、この辺りにダンジョンは無いはず、とのことで、
つまりは、おニューの未踏破ダンジョン発見しちゃいました。
ところが、ここでパーティーの意見が真っぷたつに。
一番近いエルサニア王都冒険者ギルドに報告して判断を仰ごう、という慎重派のマーリエラさん。
せっかくだし他の冒険者に荒らされる前に探索しちゃおう、というイケイケ派のアンチさん。
で、パーティーのリーダー(暫定)である俺に、
最終判断が委ねられたわけで。