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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

無機人

作者: 冨岡ユーギ

榊美頼さかきよしより。24才。コンビニのバイトをしているごく普通の一般男性。しかし彼には特技がある。それは暗算の速度がとてつもなくはやいということだ。


2023年。2月22日。16時42分。


榊は下町の横断歩道を渡っていた。スマホの記事を見ながら。

「タレントの〇〇 殺人で逮捕」

「殺人事件 各地で相次ぐ」

日本も平穏な時代は終わったんだな。と榊は思いながら横断歩道を渡った。

すると突然、大きなクラクションが右でなった。榊は右を向く。しかし、その時にはもう遅かった。

榊はスマホが手から放れ、自分が空を飛んだところで記憶にノイズが襲った。







ああ。俺、死ぬんだ。

24年しか生きてないけど、たいして楽しい人生じゃあなかったな。

ガキの頃は親がなくなって、一人でそこらへん歩いてて、

大きくなってからはコンビニのバイトに明け暮れた人生だった。

こんな人生、幕を下ろした方がましか。


そこで榊は気づいた。なぜ死なない。

なぜこんなにも考え事ができる。

普通ならばもう死んでいるはず。

榊は体をもたげた。さっき自分を轢いたトラックが何事もなかったように走っていくのが見える。

まだ、5秒もたっていなかったのだ。榊は立ち上がるとあることに気づいた。


顔が動かない。いや、表情を変えられない。なぜだ。言葉は話せるか。

「...あ。」

言葉は話せるようだ。俺の体で何が起こっている。俺の体に何をした。

榊はトラックに向かって歩き始めた。するとトラックが止まり、運転手が出てきて、近くのビルに入っていった。

榊はそのビルに向かって走った。ビルは廃れていて、誰も働いていないようだ。


ビルの中は真っ暗。どこかに電気のスイッチはないか。幸い、電気のスイッチはすぐ近くにあった。

榊がスイッチを押そうとしたその時、バンという銃声とともに、胸に強烈な痛みを感じた。


撃たれた。


榊は右胸を撃たれた。そしてそのままスイッチを押し、ビルの中を探索することにした。

しばらく階段を上がると、オフィスのような部屋があった。

紙が散らばり、椅子がバラバラ。机の上にはクモの巣まではっている。奥に目をやると、先ほどの運転手が。

榊はそいつのもとへ駆け寄り、右手で胸ぐらをつかんだ。するとまた、銃声が鳴り響いた。

運転手はピストルを片手に持ち、その銃口からは煙が上がっていた。銃口は自分を向いていた。

そんなことはお構いなしに、榊は左手で運転手の首をつかんだ。すると、運転手の手からピストルが落ちた。榊は胸ぐらをつかんだまま、ピストルを拾い、運転手の眉間に当て、引き金を引いた。


運転手は止まった。そしてその場に倒れた。そのまま榊はピストルをリロードし、倒れたモノに向けて5回引き金を引いた。

倒れたモノは動かなくなった。


榊はそのままビルを出て、帰宅した。そしてテレビをつけ、ニュースを見た。

テレビには先ほどのビルと倒れたモノの顔がうつされていた。

そこで榊はスマホの記事を思い出した。


ああ。仲間はたくさんいるんだ。

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