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3-1


ラティス達が復興の為に奮闘している時、ラヴィニアも自分の体と戦っていた。


「……大丈夫ですか?」


「…………大丈夫です」


 ソファーに蹲るように座っているラヴィニアは月のものから来る体調不良と戦っていた。

 腹部の痛みと腰周りの鈍痛に体のだるさ、頭痛も起きてきている。

 普段あまり体に影響は起きないのだが、やはりストレスや負担が掛かっているのだろう、ラヴィニアの身体は正直だった。


「……もう4日経ちましたから、明日には良くなる……はず、多分、絶対に、です」


「…………どうぞ」


 心配そうに見つめるアンジェリーナは、体が温まるように生姜が使われた紅茶を差し出した。

 それを受け取りゆっくりと飲むと、横に置かれた鎮痛剤に手を伸ばす。


「……はぁ」


 コクリと喉を鳴らして飲み込んだラヴィニアは、ひざ掛けを引き寄せてソファーの背もたれに寄りかかった。


「ラヴィニア様、大変な所申し訳ありませんが、サーシャ様より今から一刻ほど後に大切な話があると」


「…………かしこまりました」


 体調不良の為、アンジェリーナとアビゲイルにはそのまま入室して良いと伝えていた為、そっと室内に入ってきたアビゲイルが申し訳なさそうに伝えてきた。

 眉を寄せて返事をするラヴィニアはそのままソファーにペタリと横になり目を閉じた。

 鎮痛剤が効いてくるのを黙って待つしかないな、と眉を寄せながらも一刻まで静かに過ごす事にしたのだった。




 


「……お待たせ致しました」


 部屋に入ったラヴィニアは礼をして顔を上げると、そこには予想以上に人数が多かった。

 驚いて目を丸くするラヴィニアにサーシャは笑いながら着席を促すので、それに黙ってしたがう。


「体調は大丈夫か?呼び出して悪かったな」


「ご心配おかけしました、大丈夫です」


 少し青白い顔で返事を返したラヴィニアに、少しだけ眉を寄せてから早く話を始めようと視線をはずした。


「今回呼んだのは、ルグニカから招待の手紙が来たことを知らせる為だ。」


「ルグニカから、ですか?」


 ラティスは首を傾げながら聞くと、小さく頷き一通の手紙を見せた。

 そこには確かにルグニカ王国から送られてきた公的文書であることが分かる。


「…………祝いの宴、ですか」


 ラティスが黙って手紙を見た後つぶやく。

 しかし、なぜこの手紙の事で自分が呼ばれたのかわからなかった。

 ラティスは迷い首を傾げていると、フロリアンが失礼します、とラティスから手紙を受け取り傍らに置いてある手紙を閉まっていたケースに戻した。

 その所作は美しく、また武人らしい隙のない動きであった。

 サーシャはフロリアンを見たあと、ラティスをそしてラヴィニアを見た。


「祝いの宴、とはいうが要はお披露目のパーティに参加しろって事だな」


「お披露目……?」


 ラヴィニアは顔を上げてサーシャを見る。

 大国ガネーシャについての最新の情報はファイライトには届いていなかった為、なんのお披露目なのかわからなかったのだが、それは同じ大国であるエスメリアも持ってしても同じだった。

 サーシャ達にとって寝耳に水だったのだ。


「……新たに生まれた正妃の子のお披露目」


「お子がお生まれになったのですか!?」


「ああ、まだ性別までは知らされていないが」


「…………それは」


 ラヴィニアは俯き下唇を噛み締める。珍しく周囲の目がある中であからさまに表情を歪めるラヴィニアにラティスは何かあるのか……?と眉を寄せた時だった。


「……それはまた、とても面倒な事になりそうですね」


「まったくだ」


 思わず零れた言葉にサーシャが返事を返して顔を見合せ、また息を吐き出した。


「……なんか、厄介な事なのか?」


「厄介どころじゃない」


 はぁ、と深い息を吐き出して言ったサーシャ。

 ラティスはよく分からないとラヴィニアを見ると、ラヴィニアは頷き説明を始めた。


「ルグニカ王国は三大王国のうちの一つ、海をさはんだエスメリア帝国のすぐ隣にある国です。この国は今エスメリアとは休戦していまして、国交も行っていますが、決して戦争が終結している訳ではありませんので楽観視できません。……我が国ファイライトは以前どこの国の庇護下にも入っていなかったのでエスメリアとルグニカが戦争になったら近い場所にあるファイライトは戦火に飲まれるので動向は見ていました。」


 この動向は巨大な国同士の為、ファイライトだけでなく全国が注視していた。

 表面上は仲良く手を取ったように見えているが、国の性質上は仲良くできる風土ではないのだ。


「ラティス様はルグニカ王国の事をどの位知ってる?」


 頬杖をついたまま聞くサーシャにラティスは顔を向けた。


「代々多くの妃を抱えてる国王だと。昔王族が流行病で次々と亡くなり、血を絶やさない為に妃を多く取るようになったと聞いているかな。今は正妃1人に側妃が3人。後は、食糧難等は数百年単位で無い豊かな国……くらいかな」


 自信なくチラッとラヴィニアに確認の視線を向けると、小さく頷いた。

 ほっとしながらもサーシャをもう一度正面から見る。ラティスにとって今まで短い期間ではあるが執務に同行した時の緊張感は忘れられず、意見を言う事に緊張していた。


「ああ、認識は合ってる。」


 机をコツコツと叩きながら答えるサーシャの隣に立つフロリアンの隣にはアビゲイルが居た。

 チラリとアビゲイルを見ると、無表情で成り行きを見守っている。

 アビゲイルにとってもこの話は他人事ではないのだ。

 エスメリアの海を挟んでルグニカ王国がある。

 その接触する最初の場所がアビゲイルの実家、エピリック辺境伯がまとめる領地なのだから。

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