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2-22


 あれから数日、やはりラティスの一夫多妻制をどうにか実現させたいのかサーシャの公務について行きつつも、どうすれば法案を通せるのか頭を悩ませていた。

 今までの中で頭を使って考えている内容がこれだなんて……とラヴィニアは残念に思っている。

 それはラヴィニアだけでなく、サーシャも思っている事で、


「何かを新しく変えるのには時間と納得させる理由が必要だが、あの法案を通す為の情熱を他に向けるべきじゃないか」


「まったくですね……」


「あんな真っ直ぐ愛人を作る発言をしてるのが潔いいと言うかなんと言うか……」

 

「……愛人」


 執務の途中でフロリアンは休憩をしないサーシャの為にお茶を侍女に頼む。

 それに反応したのはラヴィニアによって侍女から外されたオパールだった。

 にこやかに笑ったオパールは、まるで自分も一緒に飲むかのように2人分用意してソファに座り直したサーシャに渡すと、向かいに座ろうとする。

 しかし、それはフロリアンによって手で制され座ることはかなわなかった。

 眉を寄せてフロリアンを見るが、無表情のまま変わらず。オパールはスカートを翻してサーシャの後ろに立った。


「……サーシャ様」


「……なにかな?オパール嬢」


 サーシャの肩に触れて何かを言いかけた時だった。部屋にノック音が響きサーシャは口に着けたカップを外した。


「入っていいよ」


「失礼致します」


「……ん?アビゲイル、ラヴィニア嬢の護衛はどうした」


 現れたのはアビゲイルで、その手にはサーシャ宛の手紙を持っている。


「ラヴィニア様は現在体調が優れずお休みになっておられます。私は薬を取りに行く途中に頼まれましたのでこちらをお持ち致しました」


 フロリアンが手紙を受け取りチラリと見たその相手に軽く目を瞬かせた。


「我が君、どうぞ」


「ああ、ありがとう…………ん?」


 差出人はサーシャの父、エスメリアの王からだった。

 小さく首を傾げてから中を見ると、少しだけ眉が寄る。

 そして背もたれに寄りかかり息を吐き出した。


「……如何致しましたか?」


「……うん、急遽国を離れる必要があるな。フロリアン、アビゲイルも。数日中に長期の移動があるからその準備をしておくように。詳しくはまた全員が揃ったら話すから」


 2人は顔を見合せた後すぐにうなずき返事をした。

 アビゲイルはすぐに頭を下げて退室しようとした時、サーシャはふと顔を上げてアビゲイルを見る。


「……アビゲイル、ラヴィニア嬢の体調は大丈夫か?体に疲れが出たか?」


「いえ、大丈夫です。数日しましたら良くなりますので」


「……数日?」


「それ以上はラヴィニア様を思って聞かないでください」


 にっこりと深く笑ったアビゲイルにサーシャは少し考えた後、小さく返事を返した。


「……なるほど」


「では、失礼致します」


「ああ」


 アビゲイルが出ていった扉を見てから手紙をもう一度見る。

 そして日にちの確認をもう一度して何か計算を始めたのをフロリアンは小さく笑って見ていた。











「…………私が婚約者になる、これは絶対よ。だって、今まさに婚約者としてのしきたりを行っているんだから。他の候補者もしていないしきたりを私だけが!…………早く、早く言ってくれないかしら!私を婚約者として決めたって!!」


 ワゴンを押しながら廊下を歩くオパールはブツブツと呟きながら調理場へとワゴンを戻しに行っている。

 顔に狂気的な笑みを浮かべている姿に近くを通った人々が驚き2度見しているのを気付かないくらいに自分の世界に入っている。


 サーシャは現在婚約者は居なく、数名の候補者がいるだけだ。

 そしてオパールが言っていた婚約者となるしきたりとは、候補者が王宮へと居住を移し皇太子の隣で同じものを見て学び、時には侍女に混じりその幅広い知識を吸収する期間である。

 これにより未来の皇后の素質を皇帝、皇后や他の官職達が見極めるのだ。

 しかし、召し上げられた候補者は指示をされている訳では無い為自分で考えて動かなくてはならないのだ。

 オパールは侍女として知識を得るところから始めたのだが、結果的にサーシャの傍に常に居る結果となった。


「私がサーシャ様と結婚するのよ、ええ、そうよ!」


 まるで確定かのように夢見がちに呟いたオパールは笑いながら廊下を歩き続けた。

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